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第183話 誰?

◆ダンジョン温泉✹竜宮城

カーナ視点


とんでもない事になりました。

な、何と、メンバーが5人+一羽?になってしまいました。

ついに戦隊ものの完成です。

これで悪の組織に対抗する準備が揃いました。

皆は新メンバーに大騒ぎです。

ですが、私はそれどころではありません。



ガクッ

「おーマイが?!」



思わず絶望して膝を付いてしまいました。

サングラスとモロコシ葉巻が地面に落ちました。

暫く立ち直れそうにありません。

全身の力が抜けて白髪になりそうです。

セコンドに片目のハゲ頭オッサンの幻影が現れ、私を立たせようと必死に激を飛ばします。

ツバが汚く飛んでくるので、正直近寄りたくはありません。

当然の事ながら片目ハゲ頭オッサンの激がいかに私を奮い立たせようとしても、バッチイ唾が私をさらにネガティブの底に落としていく悪循環。

迷惑な雑音は願い下げです。

ですが、それよりも私は今モーレツに悲しい!



「ホタテの中身が無い⋯⋯⋯」



もはや立ち直れません。

さっきまでホタテを追い立てていた頃は、さまざまなホタテ料理に思いを馳せておりましたが、この《ホタテ中身消失事件》は、これまで私が期待に胸焼けするくらいの思いを一瞬で葬り去るには十分なインパクトがあったのです。



「終わった」



ジッと手を見る私。

汚れてるわ。



⋯⋯さま、⋯⋯カーナおねえさま⋯⋯⋯



また幻影が見えてます。

何かセコンドが天使に変わりました。

でも、片目ハゲ頭オッサンの腹巻き衣服はそのままです。

ダブついて全く身体に合ってません。

駄目よ、ちゃんと身体に合った似合う服を着てなさい。



「カーナおねえさま、しっかりして下さい。カーナおねえさま!」

「は?!グルちゃん??今、私は何を?」

「ホタテの殻の前で座り込んでました」

「ホタテの殻?そうだ、中身は!?」

「ありません」

「本当に殻だけだわ⋯⋯」

「カーナおねえさま、ホタテより重要な事が」

「盗んだ?」

「え?」

「グルちゃん、ホタテの中身盗んだでしょ?」

「いえ、盗んだりしません」

「だったら何で中身が無いの?おかしいじゃない!」

「いえ、真っ先にロープに絡んだホタテに駆け寄ったのはカーナおねえさまだけです。私は皆様の最後尾でその有り様を見ていただけ」

「そのランドセルの中ね」

「え」

「グルちゃん、怒らないから素直に出して。そのランドセルの中にホタテの貝柱があるんでしょ。早くランドセルを開けるのよ!」ギュ

「きゃああ!?止めて、下さい、カーナおねえさま。ランドセルの中にホタテの貝柱はありません!ランドセルを放して、下さい!」

「いいからランドセル、を、貸し、なさーい!」

「嫌あああ!」

バカンッ「あ?教科書と白いテスト用紙??!」

「見ないでください!」がさがさっ

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

「見ました?!」

「み、見てない。100点満点中、国語が35点の答案なんか見てないわよ」

「バッチリ見てるじゃないですか!あんまりですカーナおねえさま!」

「ま、まあ、次回頑張ればいいんじゃない?」

「うわあーん!」

「あら?こっちは算数だわ」

「見ないでください⋯⋯」

「かけ算のテストね?まあ、98点じゃない。頑張ったのね。でも何で見ないでほしかったの?」

「⋯⋯⋯恥ずかしいです」

「あらあら、この子ったら可愛いわね。うーん、グルちゃんが犯人じゃないとすると、結局ホタテの貝柱は何処にいったのかしら?」

「だから言ってます。最初からホタテ貝の中は空洞だったんです。だって人が入ってたんですから!」

「⋯⋯そうだった」ガクッ

「カーナおねえさま、そんな事より大変なんです!」

「ホタテの中身が無かった事以上の大変な事なんてないと思う」

「おねえさま、まだ正気ではないのですね?」

「私はホタテに婚約破棄されたの。つまりホタテに裏切られたの。暫く傷心だから放っておいて」

「おねえさま、ごめんなさい」

「え?」

パパパンッ

「オウチッ!」

「目が覚めましたか」

「私は誰?ここは何処?」

パパパンッ

「目が覚めましたか?」

「ありがとう。頬が痛いけど目が覚めたわ」



気付いたらグルちゃんに私が往復ビンタをかまされてる最中でした。

何で?

前後の事情は不明ですが、これ以上ビンタされるとコブ取り爺さんになってしまうので目覚めた事を伝えました。



「何でこんな事になってるのかしら?」

「分かりません。私は分かりたくありません」

「?」



首を左右に振りながら答えるグルちゃんは、眉間にシワがあってかなり疲れている様子でした。

理由は分かりませんが、これ以上聞くのは酷というものです。

ここは軽くスルーしてあげるのが年長者としての心得です。



⋯⋯⋯!

⋯⋯⋯⋯⋯⋯!?



はて?

向こうで言い合う幼女三人。

どうしたんでしょう?



「グルちゃん、向こうにいるのはオルデアンちゃん達よね?三人??言い合いをしてるの?」

「はい。その事でカーナおねえさまに助力をお願いしようと呼びかけたんですが、その、色々あって疲れてました」

「色々って?あ、言いたくないなら言わないでいいから」

「疲れました」



グルちゃんは本当に疲れている様子でした。

彼女を疲れさせた出来事って何なんでしょうか。


誰か知らない?


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