第182話 二人はプリ◯◯?
◆ダンジョン温泉✸竜宮城
カーナ視点
はあはあはあはあ
「カーナさま、無理です」
ふうはあふうはあ
「無理なのじゃ」
ふうふうふうふう
「やめましょう!」
はあはあふうふう
「そ、そのようね」
数分後、私達は全員下を向いてました。
飛び回るホタテ✹フリスビーに凶器になる殻。
回ってる内は手が出せないし、アイドルタイムで動きが止まった時に捕まえようとするのですが、その時間が数秒で難しい。
駆けずり回りましたが、私達はホタテさんに振り回された感じです。
ちょっと手詰まりですね。
「そうだ!ロープを張ってホタテ✹フリスビーの飛べる範囲を少なくしよう」
「カーナおねえさま、ロープですか?」
「そう。《絡めて作戦》でホタテをゲットよ!」
「そうしましょう」
早速、亜空間収納の中のガラクタをまさぐり、太めのロープを取り出します。
亜空間収納、ホントに何でも入ってます。
まさに底が知れません。
「結構、太めロープが手に入ったわ」
「カーナさま、何処に付けます?」
「のじゃ?」
「おねえさま、辺りの壁に出っ張りがあります。適当に引っ掛けますか?」
「そうしましょう。皆、手分けしてお願い」
((??))
こうして私達は、ホールの掛けられる場所全てにロープを掛けていきました。
幸いホタテさんは高くは飛べません。
丁度オルデアンちゃん達くらいの背丈の高さですから、私達が設置したロープの高さで有効です。
「だいたい良いかしら」
「カーナさま、きっと上手くいきます」
「妾が掛けたのじゃ。大丈夫に決まっておるのじゃ」
「おねえさま方、準備オーケーです」
最後にちょっと高めにグルちゃんがロープを設置して完了です。
だいたいホールの四隅はロープを張れました。
つまり四隅にホタテ✹フリスビーを追い込めれば私達の勝ちです。
「それじゃ皆、追い込むわよ。先ずは円陣組んで、一人は皆の為に!皆は一人の為に!!」
「一人は皆さんの為にです!」
「皆は一人の為なのじゃ!」
「えいえいおーです!」
「「「「えいえいおー!のじゃ!」」」」
((?!))
さて合言葉も決まって、ホタテさんを追い込みます。
それぞれが持ち場に立ち、ジリジリとホタテさんを追い込んでいきます。
モチロン、怪我をしないよう手出し無用です。
ギュンッ
シュパッバカンッ
((?!!!))
案の定でした。
直線的にしか進めないホタテ✹フリスビーは、私達の追い込みに驚き飛び出しましたが、制御が効かずにロープ網に突っ込みました。
そこで藻搔いているんですが、藻掻けば藻搔いただけロープに絡まる悪循環。
シュパッガタッ
シュパパッガタガタッ
「勝ったわ!」
「やりました、カーナさま!」
「捕まえたのじゃ!」
「でも、何か可哀想です」
可哀想ってグルちゃんはホント博愛主義です。
私は食べる気満々ですけど。
「グルちゃん、勝ちは勝ちよ」
「でもホタテさんに申し訳なくて。カーナおねえさま、ちゃんと話し合いして下さいね」
「いいのよ、今夜はご馳走だから」
「え?」
「今夜は美味しいホタテカレーよ」
「???」
ついに手に入った大ホタテ。
私は食べる気満々です。
その貝柱は何人分になるのか。
さあ、お料理前の下ごしらえ♫下ごしらえ♪
((待って、待って欲しいのじゃ!))
「へ?のじゃ???」
「「「のじゃ??!」」」
ええっ幻聴!?
ホタテから聞き慣れた声が聞こえました。
凄く身近で聞き慣れた声です。
私とオルデアンちゃん、グルちゃんは一斉にメンバーの一人に視線を向けてしまいました。
そう、メンバーの一人にです。
そのメンバーの一人も訳も分からず落ち着かない様子。
そうこうしてる内にホタテさんに動きがありました。
パカッ
「へっ?」
「あ、ああ、中から人が!?」
「な、何じゃと?!」
「え?!ええ??」
な、何で?!
これはどういう状況なんでしょうか。
ホタテ貝が大きく開き、中から何と人が現れたのです。
しかも驚きは、それだけではありませんでした。
出てきた人物が問題なのです。
流れるようなツヤのある長髪に愛らしいお顔と白い肌、小さいお口。
それと黒曜石のような美しく大きな黒い瞳。
衣装は古代中国の宮廷官衣のよう。
対して同じく流れるようなツヤのある長髪に愛らしいお顔と白い肌、小さいお口。
それと黒曜石のような美しく大きな黒い瞳。
衣装は日本の着物風ドレス。
「お、お主は何じゃ!?」
「お、お主こそ何じゃ?!」
お互いに指指し言い合う二人は双子というにはあまりに似すぎでした。
これから一体どうなるの??!




