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第181話 追いかけっこ?

◆ダンジョン温泉✹竜宮城

カーナ視点


「カーナおねえさま、これからどうします?」

「とにかくイベントの発生にはホタテが関わってるのは間違いないわ。会話を試みてみましょう」

「会話、ですか?」

「グルちゃんの矢印@は今何処を指してるの?」



私がそう言うとグルちゃんは、ランドセルに視線を移しました。

すると、ランドセル上部の矢印@が風車のようにクルクルと回転を始めます。

グルちゃんが再検索を始めたみたいです。



カラカラカラカラッ

ピタッ



止まりました。

ピタッと、それはもうピタッと、瞬時に止まりました。何の前触れもありません。

果たして再検索の結果は!?



「ホタテ?」

「ホタテです」

「ホタテなのじゃ」

「ホタテですね」



なんと、再検索の結果はホタテでした。

再検索の結果がホタテって意味分かりません。

どちらにせよホタテが次のイベント発生の鍵なのは間違いないでしょう。

やはり話合うしかありません。

私、ホタテ語は知らないのだけど。



「とにかく埒あかないからホタテをゲットよ!」

「カーナおねえさま、話合うは?」

「ゲットよ!」



先ずは捕まえて鍋に、じゃなく話合いです。

その後、鍋に?

ま、何とかなるでしょう。

私は何故か亜空間収納に入っていた拡声器とサングラス、そしてトウモロコシ葉巻を咥えるとホタテさんに言いました。



「えー、ホタテさん?無駄な抵抗は止めて投降しなさい。親御さんは泣いてますよ」

((しーん))


⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯


「反応無いわね」

「⋯⋯カーナさま、それが話合いなんですか?」

「何か違うのじゃ」

「カーナおねえさま、それって間違いでは?」



え、私の何が不満なの?

みんな要求が多すぎるわ。

こういうのはコチラが主導権を握るのが常套なのよ。

でもまあ、ホタテに反応が無いのも事実。

ちょと手法を変えますか。



「コホンッ、あ、あ、あ、ただいまマイクのテスト中ー。あー、そこなホタテさん、何もしないからお声掛け下さい。毎度 お騒がせ致しております ちり紙交換車です。ご家庭内の古新聞、古雑誌がございましたら 多少に関わらず お声かけ下さい。お声かけて頂ければこちらから参ります」



しーん



「カーナさま、駄目みたいです」

「ふるしんぶん、ふるざっしとは何じゃ?」

「カーナおねえさま、多分声掛けの根本が間違っていると思います」



グルちゃんの言う通りです。

今のは古新聞古雑誌が無ければ意味がありませんから、無ければ無反応は必然でした。

私とした事が失敗です。



「では手法を変えて⋯⋯⋯⋯何、グルちゃん?」

「その、もっと普通でいいのではないのでしょうか?」

「え、私の声掛けが普通じゃない?」

「⋯⋯⋯はい」

「仕方ないわね」



そうですか。

普通の声掛けをしていたつもりだったのですがグルちゃんに指摘されてしまいました。

また、呼びかけを変えましょう。



「えー、ホタテさん、話し合いをしたいです。応答下さい」

((只今留守にしております。ピーと鳴りましたらご要件をお話し下さい))

ピー

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」



たった今まで動きのあったホタテです。

そもそも殻を置いてホタテが中身だけお出かけなのはありえません。



「⋯⋯居留守を使われてる」

「え、今のは何なんですか?」

「ピーっと鳴ったのじゃ?」

「カーナおねえさま、失礼しました」



完全に無視されてます。

だいたい留守電のマネなんでおふざけです。

ここはお灸をすえてやりましょう。

実力行使あるのみです。



「うりゃっ、とっ捕まえてやるわ!」

((?!))



飛びかかりました。

ええ、タモ網を掲げて飛びかかりました。

待てや、このホタテです!



バシュー、バシュー、バシューンッ



「この、デカいくせにすばしっこい!?」

「カーナさま、アッチです!」

「妾も捕まえるのじゃ!」

「ああ、もう話し合いじゃないです」



この!

デカい貝がアッチにコッチに回転しながら逃げ回ります。

貝のくせに動きが早過ぎでしょ?!



「オルデアンちゃん、そっち行ったわ!」

バシューッ

「きゃああっ!?」

「逃げたのじゃ!!」

「ホタテさん、捕まって下さい!」



意外としぶとい。

それに回転するホタテは凶器です。

直径5メートルくらいのホタテがフリスビーのように飛んでます。

到底捕まえるのは困難です。



「何で逃げ回るんだろう?」

「カーナおねえさまが悪いと思います」

「グルちゃん、何故に??」

「アレです」



私が悪い?

グルちゃんの指摘にピンとこない私です。

それでグルちゃんが指指しした先は、グツグツと湯気をあげるコンロ上の鍋???



「ああ、アレはせっかく出したから仕舞うのもなんだと思い、お茶用のお湯でも温めようとカセットコンロにかけたままにした鍋よ。それが?」

「ホタテさんはカーナおねえさまがホタテさんを食べようとしてると思っています。あの鍋が原因です」

「濡れ衣よ、多分」

「たぶん⋯⋯」



そりゃあ最初は隙あらばと思っていたのは認めますが、思ってるだけで諦めでますよ?

だって、あんなデカいホタテなんて得体が知れないし、普通は食べようとは思わないです。

まあ普通はです。

最近食に飢えてまして、いつも同じ物(キッチンセットの冷蔵庫)に飽きてますし、ご褒美セットのストックはありません。(三人娘の腹の中)


いや、スイーツはいいんです。

スイーツは。

今、食べたいのはメインデッシュとなる食材、新鮮な海鮮です。

キッチンセットに醤油はあるのですから、バッテン魚(シャケ味)以外の鮮魚もたまには食べたくなるじゃないですか。

食べたくなるじゃないですか。(エコー)

ホタテとか。

ホタテとか。(エコー)

ホタテとか。(エコー)


あ、でもマグロはお腹一杯なんです。

何か《マグロさんの死んだ魚の目》が思い出すと気持ち悪くなるからノーグットです。

さて、鍋はと⋯⋯⋯⋯。



グツグツグツグツグツグツグツグツ



湯だったな。


((??!!!))





ピロン

《果たしてホタテさんの運命は???》


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