第180話 料理?
◆ダンジョン温泉✹竜宮城
カーナ視点
ズゴゴゴゴ⋯⋯⋯
「行ってしまった⋯⋯⋯」
クジラさんは温泉の海?に出ると、名残り惜しそうに竜宮城のシャボン玉の周りを一回転して温泉の海に消えていきました。
一体あのクジラさんは何だったんでしょうか。
いろいろと重要な言葉を残していったような??
「カーナさま、大丈夫ですか?」
「大丈夫だったのじゃ?」
「カーナおねえさま、ご無事ですか?」
来たな薄情三人娘。
ここで背後に下がって様子を伺っていた三人が私に合流しました。
酷くない?
「アンタ達、そーいうのを《ツラの皮が厚い》っていうのよ」
「はい?」
「があついって何じゃ?」
「カーナおねえさま、よく聞こえませんでした。もう一度言って貰えますか?」
「⋯⋯⋯⋯⋯いいわ、もう」
ここは精神年齢大人の私が折れましょう。
三人はまだまだ子供なんですから。
私は大人、私は大人、私は大人、私は大人、私は大人、私は大人、私は大人、私は大人⋯⋯⋯。
「カーナさま、これはどうします?」
「何、オルデアンちゃん?」
「クジラさんのコインです」
「え」
ああ、さっきの金属音の元、クジラさん押し売りの記念硬貨です。
何かクジラさんが宝くじのマスコットみたいに蝶ネクタイをしています。
大きさはコチラの金貨並みの大きさ。
でも銀色でどちらかといえば、日本の五百円硬貨です。
あう、コレどーしましょって感じなんだけど。
「ま、いいか。あの凶悪なブローチよりマトモそうだし,亜空間収納に保管しておくわ」
「せっかくだから、その方がいいです」
「要らなくなったら妾が貰うのじゃ」
「カーナおねえさま、クジラさんのお礼です。大事にしたほうが良いでしょう」
「そうね」
こっそり買った惑星イオ京都タワーのペナントとクジラさんの記念硬貨が揃いました。
これでミニ提灯が揃えば《お土産三種の神器》が揃います。
通行手形もありましたか。
昭和だよ昭和。
「それじゃ皆、先に進みますか」
「はい、カーナさま」
「進むのじゃ」
「カーナおねえさま、進みましょう」
こうしてクジラさんを見送った私達は、クジラさんが出てきた大扉の中に進んでいきました。
すると中は大きなホールになっており、その先に何故か大きなホタテ貝?!
「中は随分広いようです」
「誰も居ないのじゃ?」
「でも進む方向は合ってますね」
「あのー、何で誰もホタテ貝に言及しないの?」
おかしい。
皆が目の前のデカいホタテを無いもの扱いしていて、最後尾にいたハズの私がいつの間にか先頭になってます。
また?またなの??!
「ちょっと、私が先頭になってるんだけど」
「カーナさま、お願いします」
「お願いなのじゃ」
「カーナおねえさま、ガンバです」
「アンタ達ねぇ⋯⋯⋯」
すっかり定着したこのパターン。
何か虚しいんですが。
致し方ないですか。
私は大人、私は大人、私は大人⋯⋯
ところで話が変わりますが、こういう貝って中に宝物か人が入ってたりするものです。
ほら、ミロのビーナスはホタテに乗ってます。
ホール中央、これ見よがしの上座。
どっかり置いてある直径3メートル前後の巨大ホタテ貝。
当然中は宝物かステージBOSSか。
はてホタテ貝?
あれ??
こういうスチエーション、普通は宝物なら真珠貝ではないんですかね?
流れ的に。
ピロン
《地球上で最大級の貝は《オオシャコガイ》。熱帯の海に生息し1メートル以上の大きさまで成長。重量は数百キロにまでなります。よくダイバーが足を挟んで死ぬから危険、などと言われていますが実際には、そんなに事故は起きてなかったようです》
はい、ナビちゃんウィキペディアありがとう。
いつも余計な情報ご苦労さんです。
とはいったもののホタテを無視して進むにしてもホールは袋小路で他に進める通路がありません。
さて、どうしたものですかね。
パシューッ
「へっ?」
「「「??!」」」
私達が貝に近づくと貝が動き離れました。
ホタテだけに逃げた?!
ピロン
《ほたてはとっても動きが活発な二枚貝です。貝柱が発達しているのでピンチの時はその持ち前の貝柱で貝殻を開閉させ、すき間から水をはき出してすばやく移動します。1回の移動で1〜2メートルの移動が可能です》
そーなんですね。
貝のくせに魚みたいに泳げるなんて凄いです。
刺身にダシにムニエル、様々な活躍が期待できるホタテさん。
素晴らしいです。
ピロン
《スーパー献立情報です》
では早速アクションでホタテさんにコンタクトをとりましょう。
きっと先に進めるにはそれしか方法がないようです。
いわゆる《第一次接近遭遇》というやつです。
タモ網と鍋を亜空間収納から出しておきます。
便利ですからね。
鍋?
便利ですからね。
ガタガタガタガタッ
「カーナさま、貝さんが震えています」
「私達に会えて感動してるのよ」
「そうは見えないのじゃ」
「カーナおねえさま?そのタモ網と鍋はどうするんですか?」
「え?」
「「「え??」」」
グルちゃん、余計な事を指摘します。
仕方ないわね。
「ほら、そろそろお腹がすくでしょ。ここでお料理しようと思って。回りは安全みたいだし食材もあるからね」
「タモ網はどーするんですか?」
「ああ、これは⋯⋯イケメン用よ」
「「「イケメン用」」」
「は!?間違いよ。ほら、ホタテさんと話合うにも先ずは捕まえないと」
「捕まえるだけですよねカーナさま?」
「オルデアンちゃん、モチのロンよ」
「なら安心なのじゃ」
「織姫ちゃん、何に安心したの?」
「カーナおねえさまがホタテさんを食べようとしてるかもと疑ってるんです」
「いやだわ、グルちゃん。私をそんな目で見ていたの?否定は難しいけど」
「「「え?!」」」
「冗談よ⋯⋯」
私はこっそり亜空間収納に入れた片手が掴んでるカセットコンロを手放し、鍋も収納して店終いしました。
久方ぶりのボイルホタテ、食べたかったです。




