表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

182/428

第179話 チャリーン?

◆ダンジョン温泉▪竜宮城

カーナ視点


「じゃあ、マッコウクジラさん?」

((アイツらはモグリだ。お前、我がモグリに見えるのか?))

「………え、何のモグリ……」

((クジラの振りをしているクジラだ。そうやってズルをしている汚い奴らだ))

「……………」



待って下さい。

クジラの振りをしているクジラって、ようはクジラなのでは?

それがズルって訳が分かりません。

クジラである事に何か特典でもあるんですかね?



「あの、《クジラの振りをしてるクジラ》って、どういう事なんですか?」

((その言葉通りだ。奴らはクジラの皮を被った《何か》だ。その《何か》が何なのかは分からんがな。諸説あるが《一つ目で牙がある》と言う者もいる。所謂、宇宙クジラというわけだ))

「怖っ!?」



そうだったんですね。

モグリもとい、マッコウクジラさんは実は宇宙人ならぬ宇宙クジラだったと。

ピロン《信用に値しない不確かな情報です》


しかし困りました。

実は私、マグロほどクジラに詳しくありません。

何せ情報源が前世のスーパーです。

ピロン《夕飯の献立情報です》


あとは当時の図鑑と水族館、それと国営放送(エヌエッチケー)の大自然ドキュメンタリー番組くらいです。

ここは無けナシの記憶を頼りに言ってみるしかないようです。

ピロン《情報源が狭い範囲に留まってます》



「シャチ、さん?」

((お前、我をあんな海賊風情と同じだと言っているのか?))

「新情報頂きました。シャチさんは海賊だったと?!」



シャチさんは海賊だったんですか。

クジラ的にアウトローぽいから?

まあ、カッコいい種類ですけどね。



((そもそもシャチはクジラ目イルカ科だ。イルカのデカいのだ。純クジラではない))



そうですか。

シャチさんは《イルカのデカいの》だったんですね。

勉強になりました。

ところで純クジラって何でしょう?

純喫茶の仲間なんでしょうか。

因みに純喫茶はアルコールを出さないコーヒーや紅茶などを提供する喫茶店を指します。

しみじみ昭和レトロです。

冗談はともかく、本当にクジラの知識がありません。

やっぱりここはナビちゃんに頼る事にします。



コソッ

「ナビちゃん、彼の種族を教えて下さい」

ピロン

《容姿判定▶哺乳綱偶蹄目ナガスクジラ科に属する海洋哺乳類ヒゲクジラ亜目ナガスクジラ科ナガスクジラ属と推定されます》

「哺乳綱偶蹄目ナガスクジラ科に属する海洋哺乳類ヒゲクジなんちゃらかんちゃらって、覚えられるかーっ!?」

ピロン

《通称シロナガスクジラとも言います》

「それだけでいいじゃん!その前の、要らないよね?要らないよね?!」

ピロン

《正式理解は大事です》

「要らんわ!」



ナビちゃんの無駄知識で脱線しましたが、ようやく彼の名前が知れました。

さっさと伝えて、この無駄な禅問答を終わりにしたいと思います。



((分かったか?))



クジラが催促してきやがりました。

早速伝えてやりましょう。



「あなたの名前はシロナガスクジラ」

((!))



” ” ” ” ” ” ” ” ” ” ” ” ” ” ” ” 



何でしょう?

一瞬クジラさんが龍になって昇っていった気がしましたが多分気のせいでしょう。

しかしもクジラさんは無言なんですが、高笑いをしている気がします?!

表情筋は動いてないのに不思議。

これは一体??



ズゴゴゴゴーッ



「こ、これは?!」

「カーナさま!」

「飛び上がったのじゃ!」

「クジラが空に?」 



そう、あの大きなクジラさんが一息吐き出したと思ったら、そのまま空中に浮き上がりました。

クジラが飛んでいるんです。

白鯨が空を飛ぶって、懐かしのアニメにありましたよね?

もちろん水の無いこの空間で、です。



((そうだ、思い出した。我が種族はシロナガスクジラ。それが時間(とき)を越え我がここに在る理由。よきかな、よきかな))



クジラさんは大きく身震いすると、竜宮城を囲っているシャボン玉の膜に飛び込みました。

その瞬間クジラさんはシャボン玉の外、温泉の海?に躍り出たのです。

シャボン玉が割れたら水没します。

ヤバくない!?



((歓喜!我、種族名を得たり。《連なる者よ》、我らクジラ族を代表して礼を言おう))

「いえ、礼はいいので竜宮城のシャボン玉は割らないで下さい。水没が困ります」

((ふははは。そなたには礼として、我を刻んだ記念硬貨をやろう。我が姿を刻印したブローチは要らないようだからな))



私の危惧を無視して勝手に《贈り物の押し売り》に走るクジラさん。

ブローチとかってお前もかよ?!

記念硬貨も含めて要らねーよでごぜーます。


しかもそのブローチ、1メートル級で頭に赤リボン付けたクジラがウインクしたブロマイド入り。

更にそれを見せつつ、渡せず残念そうに語るクジラさん。

まさかアンタ、女だったんですか?



「私の話、聞いてます?それと、余計な贈り物の押し売りは勘弁です」

((サラバだ、《神の欠片の一柱》よ。全ての海の記憶が戻る時、再び相まみえようぞ))

「人の話は聞けよ?!」



ズズズズズズズッ



巨大宇宙船が真空の宇宙を航行すると《何故か音が聞こえる》を具現化し、その後のアニメでは当たり前になってしまった功罪を生んだ偉大な某漫画家の効果音(オノマトペ)

それを纏いながら温泉の海?に出ていく自分勝手なシロナガスクジラさん。


幸いシャボン玉は自動修復されて事無きを得ましたがホントに自分勝手だな、でごぜーます。



チャリーンッ

!?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ