第175話 竜宮城
◆ダンジョン温泉海底
カーナ視点
ドスンッ
「「「「!?」」」」
少し衝撃がありました。
カメが海底に着低したようです。
見ると丁度、竜宮城の目の前です。
槍のような物を持った半身半魚の兵士が立ってました。
興味深げに見ている三人。
半魚人は珍しいのか三人は兵士に釘付け。
まあ私も珍しいけど。
「ノー?」
「おねえさま方。ええと、多分ですがファイブステージ(Ⅴ)に着いたとカメさんが言ってると思います」
グルちゃんがカメ言語を翻訳してくれました。
いつもはペリーのペリカン語を介して間接翻訳してくれていたのですが、今はペリーが熟睡中なので仕方なく慣れないカメ言語を翻訳してくれたようです。
やっぱりお荷物ペリーです。
「ZZZZZZZZZZZZZZZZ」
「ペリーは夢の中。このままココに置いて行こう」
「でもカメさんが迷惑そうです」
「飼い主としての責任はどうするのじゃ?」
「カーナおねえさま。それは駄目です」
ちょっと、いつから私がペリーの飼い主になったんですか?
言う事聞かない従魔は従魔じゃありません。
「勘弁して。ただでさえお荷物なのに更に私の足を引っ張るって最悪なんだけど」
「それは仕方ないのでは?」
「飼い主はちゃんとペットの面倒をみるのじゃ!」
「この件には私も二人のおねえさま方と同意見です」
うう、まるで愛犬を近所で散歩させたのに《落とし物》を回収しない駄目飼い主認定されてるみたいに攻められています。
あんまりです。
私は無実ですよ!
「ノ━━━━━━━━━━━━━━━ッ!」
「「「「!?」」」」
突然カメが咆哮?をあげました。
更にブルブルと身体を揺らし始めたのです。
当然ながら依然として甲羅に乗る《居眠りペリー》と、その背に乗り未だ降りられてない私達は同じように大きい揺れに見舞われてしまいました。
「「「「きゃあああ?!」」」」
「グ?ZZZZZ」
ズルズル、ドタンッ
「グワワ?ZZZZZZZZZZZZ」
「「「「????」」」」
その揺れで私達は《居眠りペリー》と共にカメの甲羅からズリ落ちたのでした。
ビックリした?!
しかもそんな事がありながらペリーは呑気に夢の中。
彼はその大きさ並みに肝はデカかったようです。ある意味大物なのかも知れません。
幸いにも私達はペリーの羽毛に守られているせいか、ほとんど衝撃はありませんでした。
初めてペリーが役に立った??
「ノ━━━━━…ッ?」
カメは一声いな鳴くと、シャボン玉を割って出て行きました。
何がしたかったんだか?
私達は未だ爆睡中のペリーの背中から降りると、辺りを見て回っての情報収集。
門まではおよそ50メートル。
門番の半魚人は気になるのか、こちらを凝視してます。
ですが、門から離れられないのか、怪しそうに見つめてくるだけで此方に来ようとはしません。
その間に自分達の状態を確認です。
「ありゃ?シャボン玉が割れても濡れないわね」
「カーナさま、今更です。ここは水が無い場所みたいです」
「水の中でなくて良かったのじゃ!」
「まったくです」
水着は亜空間収納にありますが、流石にアクアラングセットはありません。
だいたい妖精用のエアボンベとか羽根の間に付けるんかいです。
「とにかくカメは居なくなったんだし地上?には戻れない。あのマグロ顔の兵士さんに帰り道を聞きましょう」
「え、カーナさま、もう帰るんですか?」
「オルデアンちゃん、何がしたいの?」
「あそこのお城に行ってみたいです」
「行ってどうするの?言ったでしょ?乙姫って人がいて、私達に玉手箱って箱くれるんだけど、開けるとお婆さんになっちゃうの」
「だけどお魚さんの踊りや歌が見れてご馳走が出るんですよね?プーリンとか?」
「妾も歌や踊りが見たいのじゃ!」
「カーナおねえさま、確かコンパニオンとかいう人が接待?してくれるんですよ」
「ま、待ってグルちゃん!?ソレ誰に聞いたの??」
「カメさんが言ってました」
「私はグルちゃんから聞きました」
「妾もじゃ!」
「全部カメさんが教えてくれたんです」
「………………」
コンパニオンは《キャバレー竜宮城》の話です。
それにコンパニオンじゃなくキャバ嬢の間違いでしょう。
あのカメ、トンデモ情報をグルちゃんに授けていきやがりました。
カメの種類はロクデモカメでしょう。
頭痛いんですが。
はあ、ポヨン、ポヨン
「どちらにせよ、ここも大きいシャボン玉の中みたいだし、何処にも行けないみたいだから竜宮城を訪ねるしかないようね?」
ちょっと他に行こうと進んだら見えない壁がありました。
今も触ってますが感触が同じなので間違いありません。
竜宮城を含むここ全体が大きいシャボン玉の中のようです。
これは竜宮城自体がファイブステージ(Ⅴ)なんでしょう。
仕方ありません。
先ずは兵士さんにお話を聞いてきましょうか。




