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第163話 温泉スワン?

◆ダンジョン温泉

カーナ視点


キーコーキーコーキーコーキーコー


「あ、あれは?!」

「カーナさま、ご存知なんですか?」

「うえ?!いつの間にオルデアンちゃん、ココに来たの?」

「ごめんなさい。カーナさまが心配で付いてきてました」

「妾も来たのじゃ!」

「カーナおねえさま、遅くなりました」



何と三人と温泉島でランデブーです。

まあ、いいけど。



「それでカーナたんはアレを知っておるのじゃ?」

「カーナおねえさま、ご存知なんですか?」

「うん、ご存知もご存知。よく水の遊び場にある乗り物よ。私も結構お世話になったわ。だけどどうしてココにアレがあるの!?」



現れたのは私ですら何度か利用した事のある《アレ》でした。

《アレ》、いわゆる《スワンボート》っていう日本全国の水系観光地に必ずあると云われる足漕ぎなヤツです。

いや、スワンボートは分かったのですが、それが湯けむりの中、此方に向かってくるシチュエーションが謎です。


だってココは銭湯内の温泉プール大浴場ですよ?

何であんなモンが浮いてるのか。

あり得ない状況にフリーズしてる私です。

まあオルデアンちゃん達は不思議乗り物程度にしか感じてないようですが。



((いらしゃい、いらしゃい。温泉スワンボート乗り場はコッチだよ。《楽しく漕いで温泉プールを周遊しよう》キャンペーン実施中。今なら初回記念に無料搭乗可能だよ?いらしゃい、いらしゃい))



握りハチマキに腹巻きした昔漫画の八百屋の店主?みたいなオヤジがスワン乗り場で呼び込みしてました。

さっきまでそこに居なかったよね?って、いつの間にか桟橋がありました。

何で?



「カーナさま、私はあの鳥さんに乗りたい」

「出たよ?!子供の無限好奇心!」



オルデアンちゃんが目をキラキラさせて言いました。

やっぱり子供はあの手の乗り物に目がないんですよね。

ただ状況的に怪しさ満点ですから迂闊に許可は出せません。



「いや、怪しさ満点だから乗るなんて駄?ひゃああ!??」

ドッ

「妾も乗りたいのじゃ!」

「おねえさま方が乗るなら私も……」



はい、織姫ちゃんとグルちゃんが追随です。

私がオルデアンちゃんの説得を試みていたところ、突っ込まれて吹き飛ばされました。

子供の連帯感をばかにしてはいけません。

やってられるかーっ!


こうして4人でスワンに乗る事になった私達。もう流れに任せるしかありません。





キーコーキーコーキーコーキーコーキーコーキーコーキーコーキーコー。



「織姫ちゃん、もっとゆっくり漕いで。右に回ってしまうわ」

「オルデアンこそ、ゆっくり漕ぐのじゃ!左に曲がってしまうのじゃ」



借りたのは二人乗りスワンボートでした。

私とグルちゃんはペダルに足が届かないから当然の選択ですので各々二人の肩の上です。

ですが二人乗りは足漕ぎの強さで方向が決まる結構デリケートな操船タイプ。

基本的に漕ぐ二人の息を合わせなければ進む方向もままなりません。



「ほら、二人とも!進むには連携が大事よ。私が掛け声をかけるから合わせて漕ぐの。いいわね?」

「はい、カーナさま」

「分かったのじゃ」



無駄に漕いで徒労に終わった二人。

私の言葉に意味を理解してくれたようです。



「ではいきます。いち、に、いち、に」

「「いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に」」



おお、二人とも連携がバッチリでスワンが真っ直ぐ進み出しました。

めちゃくちゃ息が合ってます。



「「いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に」」


ザババババババッ



ん??

連携が凄すぎでスワンがスピード出過ぎです。

ちょ、早くない?!



「二人共連携が上手いわ。だけどスピードが出過ぎよ。ちょっ、きゃあ!?」

「カーナおねえさま、危ない!きゃあ!?」

ザババババババッ

ドババババババババババッ

「「いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に、いち、に」」



スワンがスピード上がり過ぎで、先端が上がってモーターボートみたいになってます。

そんなバナナです。



「オルデアンちゃん?織姫ちゃん!?ちょっとボートを止めて!」

「カーナさま、止められません?!勝手にペダルが動いてます!」

「止まらないのじゃ!!」

「ええっ?!」



二人が足を離しても激しく回転している二つのペダル。

まさか、流行りのペダル付き電動スワン!?


(流行りかどうか知らんけど)


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