第162話 ダチョウと白鳥?
◆ダンジョン温泉
カーナ視点
ザババババッザババババババッ
「グワワワ!!」
「知らないのじゃ!妾はカーナたんの居場所なぞ知らないのじゃ!そうだ!?グルちゃんは?」
「グワ!?」
「わ、私もカーナおねえさまの居場所は知りません!」
「グワワワーっ!!」
サバンッ
「「きゃあああああーっ?!」」
何て事でしょう。
織姫ちゃんとグルちゃんがペリーに追われています。
何がなんだか!?
「あ、オルデアンがいたのじゃ!きっとオルデアンの側にカーナたんが居るのじゃ!」
「「え」」
「グワワ?」
追われていた織姫ちゃん。
ビシッとコッチを指差しました。
なんと、ペリーをオルデアンちゃんに擦り付けるつもりです。
「グワワ、ワーっ!」
ドババーンッ
「「きゃあああああーっ!?」」
大波と一緒にペリーが此方にターゲットオンしてしまいました。
今必死にオルデアンちゃんが逃げてます。
もちろん髪に紛れて私も一緒です。
「織姫ちゃん、酷い」
「オルデアンちゃん、気にしない。向こうの湯けむりに隠れよう」
「元はと云えばカーナさまが、元はと云えばカーナさまが、元はと云えばカーナさまが、ブツブツブツブツ」
「オ、オルデアンちゃん?」
ヤバっ、純心だったオルデアンちゃんが闇落ちしそうです。
身体から黒い何かが出てきてます。
これは本当にシャレになりません。
「仕方ない。オルデアンちゃん、後は私が引き受けるわ。今までアリガト」
「カ、カーナさま!?」
私はオルデアンちゃんから飛んで離れると、ペリーの顔の前まで飛んでいきました。
「アンタ、一応私の従魔なんだよね?だったら主人に迷惑かけるの止めなさい!」
「グワワ!」
「分かった、分かったっから!お腹空いてるんだよね?私と向こうにいきましょ」
「グワワワワ!!」
はあ、疲れた。
マジにとんだお荷物です。
でもこれ以上ペリーを放ってはおけません。
ガシッ
「うえ!?」
「グワワワ!」
うわわ、ペリーに捕まってしまいました。
うぐぐっ苦しい。
「ちょ、ペリー!苦しっ」
「グワ!?」
パッ
何とかペリーは理解したみたいで直ぐに放してくれました。
しかしこの主人を振り回すペットって何か覚えがあります。
前世ご近所さんが飼っていた犬がかなりの駄犬で、散歩は飼い主を引っ張りなからアッチコッチと自分勝手に歩きまわり御小水をするヤツでした。
ホントに困ったちゃんでしたので、何かそれを思い出します。
「はあはあはあ、ヤバ、死ぬかと思った。アンタいい加減にして!ココじゃバッテン魚は出せないのよ!出したら茹だって温泉が生臭くなっちゃうじゃない!アッチで出すから行きなさい」
「グワワ!」
「カーナさま、何処に?」
「オルデアンちゃん、向こうの岩場でペリーに餌ヤリしてくるわ。三人はこの辺りから動かないでいて」
「分かりました。織姫ちゃん達に伝えます」
「お願い!ほら、ペリー。あそこまで行くよ!」
「グワッ」
湯けむりの先に見つけた温泉の中の島?
そこは岩場で固めた庭園みたいになってました。
こんなところでペットに餌やりはいけない事なんでしょうけど、かと言って飲食コーナーで生魚の山を出す訳にもいけません。
辺りを伺いつつ、誰も居ないのを確認してペリーと一緒に上陸しました。
「えーと亜空間収納、キッチンセット、冷蔵庫っと、あったバッテン魚!えい!!」
ドサドサドサドサドサドサドサドサッ
「ギワワッグワ!!」
バクバクバクバクバクバクバクッ
私が出す側からバッテン魚が無くなっていきます。
ペリーは物凄く早食いで、マシンガンのように止まりません。
とにかくバッテン魚の山を一つ出し、無くなってはバッテン魚の山を出して三回目。
結局ペリーは三山平らげ、ようやく食がスローになりました。
一体何キロ食べるんだ、この駄鳥は?
「ダチョウだったら駄鳥でよかった?つまらんわ、はあ」
自分でつまらない駄洒落言って落ち込みました。くだらないです。
しかしいつまで食べるんですかね?
いくら無限にバッテン魚を出せるとはいえ、真面目に私は困ってます。
いい加減身体も冷たくなってますからね。
このままだと私は風邪をひいてしまいます。
ブルッ
「マジ寒いんだけど?!ペリー、いい加減にしてよ!」
「グワワ!」
バクッバクッバクッ
との私の言葉に引き続き食べ続けるペリー。
また動けなくなっても知らないんだからね!
「グッ!?」
「ペリー?」
ペリーが食べるのを止めました。
食べ終わったの?
ドッターンッ
「ふぇっ!?」
何とペリーが倒れ込みました。
いや、この場合は転がったと言った方が正解ですか。
何かこの展開、近視眼があります。
「グワグワグワワ」
「また胃薬くれ?!いい加減にして!」
やっぱりでした。
安定の駄鳥です。
本当にお荷物で困ったペリカンなペリーでした。
ん?
キーコーキーコーキーコーキーコーキーコーキーコーキーコーキーコーキーコー。
「へんな音が聞こえる?」
何か、ペダルを漕いでるような音が湯けむりの先から聞こえます。
一体何でしょうか?
「ん?おっきい白鳥???」




