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第155話 何鳥?

◆ダンジョン平原

カーナ視点



えーと、これはどういう状況なんでしょうか?

私は一体どうなったの???

何か温かいヌメヌメした所に閉じ込められています。

視点は完全に閉じられてはいないのですが、脱出するにはいささか小さいのです。

ただ空気がやたら臭い。

生臭い臭いで鼻をつまみたくなります。

これは一体何なの?!



『カーナさま、大丈夫ですか?』

「だ、大丈夫みたい。だけど出れないのよ」

『今、出してやるのじゃ!』

『カーナおねえさま、お気を確かに!』



三人の声が聞こえました。

すき間に指が見え、若干視点が広がります。

指!?



「私、どーなってるの?」

『カーナさまは鳥さんのお口の中にいます』

「はい?」



私は鳥さんのお口の中にいる???

何なのソレ?

美味しいの?



「オルデアンちゃん、聞き間違えたかしら?私が鳥さんのお口の中に居るの?」

『はい。だから私が鳥さんのお口を開けようと指を入れたんです』



あ、なるほどザ世界。

この指はオルデアンちゃんのもののようです。じゃあ、こっちの指が織姫ちゃんで、この私サイズより小さめの指がグルちゃんでしょうか。

やっと自分が置かれた状況を把握出来ました。

私は現在、何かの鳥さんの口ばしの中にいて三人が絶賛救助隊をやってくれてます。

有難い事ですがこれ以上の事態好転には寄与出来なさそうです。

事実、鳥さんのアゴの力は強いようで、開きかけた口ばしがじわじわと塞がりつつあるのが分かります。

このまま事態が推移すれば私は鳥さんの胃袋の中、跡形もなく消え去るのみです。

ヤベェじゃん?!



「きゃああ、誰か助けて!」

『カーナさま落ち着いて。私達が助けます』

『そうじゃ。大丈夫じゃ!』

『カーナおねえさま、お気を確かに!』



グルちゃん、お気を確かにって、こんなの冷静でいられる分けないからね!

ハッキリ言ってパニック中だから。

とにかく早く出して!


と思いつつ、お空の雲を思い浮かべて深呼吸。いやマジ空気が臭いから?!


で、冷静に考えてみたら私は鳥さんの口ばしの中、つまり背後の暗がりは鳥さんの喉ですよね?

と振り返ると、見事なノド○○○がぶら下がってました。

やっぱりお約束。


そしてソレをかけ声と共に思いっきり引っ張ります。

せーのーっ!



「元気ハツラツ━━━━オロナミンA!!」

ギュッ

「フゲェエエ~ッ!?」

バカッ

ペッ

ドサッ

「あ痛~!」

「カーナさま!?」

「カーナたん!」

「カーナおねえさま!」

「おお、みんな元気?」



やりました。

上手くいって見事に吐き出されました。

よかった━━━━っ!


忙しいのに面倒事に巻き込んでくれて、トンダ鳥さんです。

全くどんな鳥が私を口ばしに閉じ込めたのでしょう。

仕返しで焼き鳥にして食べてヤリます。

そうして鳥さんを見た私は、ちょっとフリーズしてしまいました。


頭デッカチ寸胴な体。

羽根は白ですがやたら目立つその口ばし。

足は水かきで、いわゆる水鳥というヤツです。

ああ、野生動物特集で定番なアレだ!



「オメーかよ?!」

「グワワ?」



ペリカン便のペリカンです。

口ばしがデカイというか、口ばしの下アゴの袋が特徴というか、まあ普通に?普通にペリカンです。

だから何でペリカンなのって感じですが、惚けた顔が印象的な只のペリカンです。

いやペリカンだって。



「グワワッグワーッ」

「どう見てもペリカンだわ」

「カーナさま?ペリカンって?」

「ペリカンなのじゃ?」

「水鳥のペリカンさんです」



バカ騒ぎして羽根をバタつかせてます。

私をやたら睨んでますね?

そうしていると幼稚園ホラーゲームに出てくる鳥さんみたいで怖いです。


無理やりノド奥を引っ張られて抗議しているようですが、いや抗議ってアンタが先に私を襲ったのが悪いんでしょうが!?



「カーナさま、鳥さんと話し出来ますか?」

「出来ないわね、というより、私を襲ったペリカンと話ししたくないんだけど」

「カーナたん、コッコドゥとは話してたのじゃ?」

「アレは私の家来だから何となく分かるの」



確かにテバサキはニワトリですが鳥の種類が違います。

トリ違いです。



「グワー、グワー」

「でも困りましたね。ペリカンさん、カーナさまに懐いているようで、やたらカーナさまに、きゃっ!?」

「うわっ?!こっち来るな!近づくな!」



ペリカンがやたら私に近づくのをオルデアンちゃんが遮ってくれてたんですが、それを飛び越え私のところに降り立ちます。

いやオルデアンちゃん、ペリカンは懐いてんじゃなく私を食べようとしてるのよ?!

グルちゃんもいるのに何で私ばっかり狙うんですか。

勘弁して!


「カーナさま、何かペリカンさんが欲しがる物でも持ってますか?」

「あ、ナイス、オルデアンちゃん。きっとそれだ!」



キッチンセットがスキル亜空間収納の中にありました。

このキッチンセットの中の冷蔵庫は決まった食材が無限供給される仕組みです。

骨付き漫画肉、葉っぱ野菜、お魚の三種。

その中で、お魚は目がバッテン印でとても現実離れした魚なんですが、焼いて食べるとシャケ味で結構美味しいんです。

まあ、いつも食べてた時期はいい加減飽きましたけど。(贅沢)

まさか、このバッテン魚を狙って私を襲ってくるの!?



「えい!」ポーンッ


「グワッ」パクッ



食べました。

バッテン魚投げたら、パクッて飛び付いて食べやがりました。

やっぱりこの魚が目当てだったようです。



「カーナさま?」

「オルデアンちゃん。ペリカンは私の持っていたお魚食材が食べたくて私を追い回してたみたいだわ」

「おお?バッテン魚とな?食べてみたいのじゃ!」

「そういえば、ダンジョンに入ってまともに食事も休息も取れてなかったわね」



なんだかんだと次から次にイベントが続いて、落ち着いて食べてなかったでした。

皆もお腹空いてるみたいだし、ちゃんと?した食事にしましょうか。



ピロン

《新しい獣魔がティムされました》

「ん?」



ピロン

《ステイタスが更新されます》


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