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第151話 図工の時間

◆ダンジョン異空間

カーナ視点


ビカッビカッ


はい?

矢印がある一方向を向いてビカビカ金ぴかに光ります。

うーん、どっかのモーテルへの道案内のようで安っぽさ満載です。

でも、グルちゃんの愛らしさでそれもほとんど相殺されます。

全然オーケーです。


チーン、チーカタカタカタッ


えー?

レンジの完了シグナル音みたいな音がしたと思ったら、電送音とともにランドセル下からペーパーが排出されます。

そのランドセル、昔ファックスみたいなんだけど、って突っ込みたくなるんですが真剣な顔で抜き出すグルちゃんが私の突っ込みを抑えます。

やっぱりどんなに突っ込みたくとも、真剣にやっている子にチャチャを入れるみたいになるのはいけません。

その子がその事に気づくまで大人の私は見守ります。


カタカタカタカタッ


長!?

めっちゃ長い紙がどんどん出てきます。

オルデアンちゃんも織姫ちゃんも突っ込みたくてウズウズしてますが、額に汗をかきながら真剣にやっている小さな子にやっぱり突っ込みは出来ないようです。

私と同様、大人顔で見守ります。


あ、グルちゃんがランドセルを開きました。

中から定規とハサミを取り出します。

中には他に教科書らしきものが見えます。

私もオルデアンちゃんも織姫ちゃんも突っ込みたくてウズウズしますが、そこはグルちゃんの真剣さにどーしても口を閉じてしまいます。ここは三人とも大人顔で見守ります。


チョキチョキチョキチョキッ


ランドセルから排出された紙の長さは約10メートル。

小さなランドセルから出た割に大きく広がり、紙の巾は30センチはあります。


でも長い。

丸めれば反物みたいになるでしょう。

それを彼女は3メートル位に切って三枚に切り分けました。

そして川の字になるような感じで並べます。

私もオルデアンちゃんも織姫ちゃんも突っ込みたくてウズウズしますが、そこはグルちゃんの真剣さにどーしても口を閉じてしまいます。ここは三人とも大人顔で見守ります。


えーと?

今度は切った端を1センチくらいで折り込みます。

そして再びランドセルに手を突っ込み、中から黄色い丸容器を取り出します。

取り出した丸容器は糊容器の様です。

え、まさか!?


ああ、やっぱりそうでした。

グルちゃんが必死に折った紙の端に糊を付け始めました。

あの折り目は糊しろだったようです。


ですが長さが約3メートル、幅が30センチの紙の端。

ただでさえ私より小さなグルちゃんが糊付けするんです。

一枚の紙の端に糊を付け終わる前に、最初に付けた場所の糊が乾いてしまいます。


グルちゃんは仕方なく、もう一度乾いたところに糊付けをするしかありません。

滴り落ちる汗が虚しく紙の上を濡らします。

これはもう無駄糊の上塗り状態。

やり直しても、やり直しても作業が終わる事はありません。



「くすんっくすんっ」



ああ、何という事!?

グルちゃん、悔しいのか遂に泣き出してしまいました。

このままでは余りに不憫です。

私とオルデアンちゃん、織姫ちゃんは無言でお互いに頷きました。

ここまで心一つになったのなら、後は行動あるのみです。



「グルちゃん、私達も手伝うわ」

「可愛いグルちゃんのお手伝いがしたいの」

「妾も手伝うのじゃ!」

「お、おねえさま方、有り難う。とっても嬉しいです」



私達の申し出にグルちゃん、感激で舞い上がりながら嬉し泣きです。

良かった良かった。

チャチャっと皆なで終わらせましょう。


そして数分後、三枚の長紙は一枚の大判紙として完成しました。

このヤりきり感は格別です。

4人が心一つとなった瞬間でした。


ところで繋ぎ合わせた大判紙。

これは一体何なんですかね?



「これはこれから向かう方向の地図になります。最短でダンジョン出口を目指せます」

「マジ?!」



そーかあ。

この幅広の紙ってデカイ地図だったんですね。

説明貰うまでワカリマセンでしたよ。

正直驚きです。

え?何に驚ろいたかって??

いや余りの非効率にですけど。

だって繋ぎ合わせた意味あります?

最初から小さくとも繋ぐ必要ない地図を出せば良かったんじゃ?



「おねえさま方が良く見える様にと思って」

「うっ」



ズキューン

うっかりグルちゃんに私の心を読まれました。俯いて涙が地面を濡らします。

胸が痛い。



「す、素晴らしい地図が出来たわね。大きくて隅々までよく見渡せて、これなら見落としもないわ。有り難う、グルちゃん」

「本当にそう思います?カーナおねえさま」

「も、勿論よ、ね、皆もそうよね?」

「グルちゃん、有り難う。これで迷わず先に進めます」

「よくやったのじゃ、グルちゃん」

「嬉しい。オルデアンおねえさま。織姫おねえさま。カーナおねえさま。グル子は今後ずっと、おねえさま方の為に力を使います」

ズキューン

ズキューン

ズキューン



赤いほっぺで涙を拭いながら、そう宣言する私達のグルちゃん。

ほとんどタラシ。

絶対タラシ。

何処までいってもタラシなグルちゃんでした。



ではでは早速、地図の確認に進みます。

さて、私達の向かう先はどの様な場所なんでしょう。


グルちゃんの地図が頼りです。


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