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第147話 漁り火漁

◆ダンジョン異空間

カーナ視点


ドッドッドッドッドッドッ


更に近づくエンジン音。

いったい何処から!?



「カーナたん、何か眩しい光が近づいてくるのじゃ!」

「眩しいです」

「は?何、あの光は??」



ここは薄暗いゾンビ世界。

そこに現れた光は太陽のように明るく、世界を照らす天照大神のよう。

その凄まじいまでに明るい光はエンジン音?と共に徐々に近づいてきます。

一体この先どうなるのでしょう。

全く先の展開が読めません。



ザザッザザザザッ


「へっ?」

「カーナさま、ゾンビが光に寄っていきます?」

「光がゾンビを呼び寄せているのじゃ!」



おお、何と光がゾンビを呼び寄せています。

まるで集魚灯のよう…………ん?

集魚灯??



バサッ



「網?!」

「カーナさま??」

「なんじゃあれは?」



えーと?

光に群がるゾンビ集団に、何やら網のような物が光側から掛けられました。

網のような物じゃなく網?そのもの??


しかも光源側が高いようで上座からの投網になります。

光側に人影が見えますね。

何やってんでしょうか?



((よっしゃ、今日もゾンビが大量だな))

((おうよ、これなら暫く漁はやらんで済みそうだ))



何やら男共の声が聞こえます。

よく見たら彼らは、船のような物に乗っていました。

マストのような物の先端には大漁旗のような物。漁船?

漁船のようです。


それも水上でなく、陸上を進む車輪付き漁船で、つまりこれはゾンビ漁?!

じゃあ、あの光は漁り火漁って事ですかね?

訳分からん。




「カーナさま?」

「うーん、漁船がゾンビ漁してる……」

「ゾンビりょう?それはどんな意味が?」

「サッパリ?分かんないわね」

「で、どうするのじゃ、カーナたん?」

「いや、どうするも何もアレに関わる理由はないわ。このまま私達はやり過ごしましょう。幸いゾンビは居なくなって安全になった。あの漁船が居なくなってから出発しましょう」

「カーナさま、出発するって何処に向かえばいいのです?」

「次のステージ?或いは出口?」

「道も何もない薄暗いだけの広い平原のような場合じゃ。道しるべも無くて進む方角が分からんのじゃが?」

「!」



そうでした。

ゾンビの群れが居なくなって安全だと思っていたら道も何もありません。

あるのはあのゾンビ漁漁船だけ!?



「これは漁船に付いていけって事だわね」

「ギョセンに?」

「付いていくのじゃ?」



このダンジョンには恐らく運営側が存在します。

ゴーストゾンビに役柄を与え何らかの意図を持って誘導してるなら、あの漁船にも何らかの意味があるのではないかと考えた方が自然なのかも知れません。

だけど、何故か私の知りうる知識から引き出したような漁船とかゾンビ。

う~ん、この謎は中々に深そうな気がします。



「ゾンビが一掃されて安全になった訳だし、他に道しるべも無いのだから、とにかくアレ(漁船)の後をつけましょう。そうすれば道が開ける気がするわ」

「分かりました。カーナさまに従います」

「カーナたん、分かったのじゃ!」



こうして私達は光を垂れ流す漁船を目印に、その後を追って歩き出したのでした。




◆◇◇◇




ドッドッドッドッ…………



その後、漁船を追って歩き始めた私達だったのですが、オルデアンちゃんも織姫ちゃんも幼い子供です。

追い続けられる訳もありません。

あっという間に距離を引き離されて、今では漁船の光が遥か彼方です。

どうしましょうか。



「だいぶ引き離されたわね」

「カーナさま、疲れました。歩けません」

「もう、ヘトヘトなのじゃ」



座り込む二人。

一時間は歩きましたか。

幼女にこれ以上は酷というものでしょう。

やがて漁船の漁り火は地平線の彼方に消えました。

参りました。

これで、向かうべき目印がありません。



「ごめんなさい、カーナさま」

「本当にすまぬのじゃ」

「いいのよ、二人とも。二人が元気でないとダンジョン出口を目指せないもの」



これは私の本音です。

二人に何らかの問題が起きれば、ダンジョン出口に向かう事すら困難になってしまいます。

ここはゆっくりでも確実にダンジョン出口に向かわねばなりません。


それにしても宇宙列車に京都タワー。

更にピラミッドにスキーとバレー、そしてゾンビ漁ですか。

内容に一貫性が無く、無秩序に並べられたテーマは理解が及ばない領域にあります。

もしかするとこれには、深い意味があるのでしょうか。

深い深い、深海より深い意味が………………って無いか?

ただの嫌がらせかも。



「ライラやアルタクスは無事でしょうか?それにヒューリュリ様達も」

「そうじゃ。伽凛も心配なのじゃ」



そうでした。

あの怨霊ロボが作り出した竜巻は、全てを飲み込み吹き飛ばしてしまったのです。

《真空切り》なんて反則です。



「私達が無事だったのよ。きっと皆無事だわ。無事な事を信じましょう」

「そう、ですね、カーナさま」

「そうじゃそうじゃ。皆も無事と信じるのじゃ」



二人はとっても心配そう。

当然といえば当然です。

彼女らにとっては家族同然の人々なんですから。

すると、今の私の家族同然はヒューリュリ様?テバサキ?雪ウサギでしょうか?


どっちにしろケモノしか居ませんね。

ほとんどジェーン状態。


ケモノまみれという事でしょうか。



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