第144話 サードステージ24
◆ダンジョンサードステージ
カーナ視点
ボソ「………下らない」
「は?」
えー、私らがイケメン軍団の勝利に沸いていると、何やら黒字女子が吐き捨てるように言いました。
独り言でしょうか。
はい、悔しいので独り言でしょう。
ふふん、いかに怨霊ロボでも所詮は人形。
結局は木偶のボーでいやがります。
(文字通りですが?)
人間さまに勝てる訳もありません。
このままギブアップをおすすめしますコンコンチです。
「玉藻、邪魔者を排除」
ギギギギギギッ
ガキョンッ
「ひゃあっ!」
「きゃーっ!?」
「きゃうーっ!!」
「ひぃ!?オルでアン様、お気を確かに!」
「ふぇ、お化け!?織姫様、伽凛がおります!ご安心を!」
「な!?」
「アルタクス殿、あれは!?」
「「「「!!」」」」
ひゃあああっ、また変わったよ!
人形ロボの顔が!
ガキョンって!
ガキョンって変わって最恐焼きが顔を出しやがりました。
そんな菓子、食えるか━━━━━━っ!
「玉藻、戦闘変換。邪魔者全て排除」
キシャ━━━━━━━ッ
ダンッダンダンダンダンダンッダン!
ひえぇーっ!?
千手怨霊ロボが千手怨霊変換しただけじゃなく、足まで沢山出してきやがります。
更にその沢山の足で地団駄を踏んでる?
これが本当の《手も足も出る》???
いやほとんど蛇足でしょ、こんなの!?
ゴオオ━━━━━━━━━━━━ッ
そんで目にも止まらぬ足技で、くるくるくるくる大回転!
更に千手も千足も個別に回転、何だコレ!?
なんと、怨霊ロボの回りに遠心力が加わり、つむじ風を呼んでます。
それも一つでなく二つも三つも現れます。
な、何が始まるの!!?
「玉藻、真空切り」
「うそ!?」
はあ?!
それは赤胴ナンチャラの技でしょうが!!
アンタ、バクリは止めぇ!!
と、叫ぶ間もなく振り下ろされる数本の腕。
そしてたちどころに巨大トルネードの出来上がりって、そんなナボナ!?
(まんねんどう様、ごめんなさい)
ゴオオ━━━━━━━━━━━━━━━━━カーナ「きゃーっ目が回るー??」━━オルデアン「カーナ様ーっ!!」━━織姫「オルデアン、くるくるなのじゃ!」━━ライラ「オルデアン様!」━━伽凛「織姫様ぁ!!」━━アルタクス「オルデアン様!」━━メイ「アルタクス殿!巻き込まれます!」━━近衛隊「「「「うわあああ!」」」」━━ヒューリュリ「主ーっ!?」━━テバサキ「ゴケケ?!」テバサキ奥さん「コケ!!」━━レオナルド「俺は審判だーっ!?」━━ステージBOSSカメヘンカメヘン「こんなのは反則やで。イエローカー!?カメヘンカメヘン」━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ッ!
◆◇◇◇
ヒュルルル━━━っ
ゴチンッ「ぎゃう!?」
「あう、あ!?カーナ様!!」
「星が見えーる。土星でカッシーニが輪投げしてるわぁ???」
「しっかりして下さい。私です。オルデアンです、カーナ様!」
「は?オルデアンちゃん?!」
「はい、そうです」
なんと気づいたらオルデアンちゃんに抱っこちゃん人形?
何処よココ!?
「痛っ!?頭痛い?」
「カーナ様、落ちてきたんです。私の頭に。それでゴチンって」
「?」
オルデアンちゃんが自分の頭撫でながら私に事の次第を説明します。
落ちてきてゴチンと???
「あーっそっか。私の頭がオルデアンちゃんの頭に落ちてゴチンって事?」
「はい」
回されて飛ばされて落っこちたって事だね。
そんで辺りを見回せば、薄暗い世界が続く平原があり地平線が見える、ってどんだけ広いんだこのダンジョンは!?
んで、私とオルデアンちゃん二人だけ。
織姫ちゃんやイケメン軍団、ヒューリュリ様もテバサキもメイドも女中も無し。
つまり生き別れてしまったのね、状態です。
「良かった。オルデアンちゃんは怪我ないようね?じゃなくて、私達吹き飛ばされたのよ、あの怨霊ロボに。負けるから実力行使とか、短気過ぎない?きっと目がつり上がってるでしょ、黒字女子は!」
と、嘆いてみたところで意味はナシ。
ようは現在進行形でオルデアンちゃんと二人、遭難中って事なんだよねーっ。
さてさて、これからドースンベェかね。
まあ、幸いな事に怨霊ロボもエラソー男もモヒカン世紀末も黒装束も見当たらない。
そこはラッキーって喜びの踊りでもしましょうか?
ドンドコドンドコわおーっわおーっ!
「カーナ様。私の肩に乗って下さい」
「いいの?一応飛べるわよ」
「大丈夫です。カーナ様と二人だけですから。出来るだけ側にいたいです」
ああオルデアンちゃん、ちょっと震えてるわね。まだ幼いだもん。心細いから近くにいたいって事だわ。
ここは大人の私がシッカリしましょうか。
「だいぶ広くて寂しいところに飛ばされてきたわね。何処かしらここは?」
「気づいたら薄暗い世界に一人でした。カーナ様が来てくれて本当に良かったです」
「大丈夫よ、オルデアンちゃん。私が今はアナタの保護者。安心して任せなさい」
「はい、嬉しいです、カーナ様」
ありゃりゃ、オルデアンちゃん涙目だわね。
よっぽど寂しかったみたいだわ。
「さてと、いつまでもココに居るわけもいかないし、とりあえず地平線に向かって歩き出しますか。行ける?オルデアンちゃん」
「行けます。カーナ様と一緒なら何処までも歩きます」
「それじゃ、行きましょう。レッツゴー!」
こうして私とオルデアンちゃん二人、新しい冒険が始まりました。
この先に待つのは何でしょうか?
火を吐く亀?
それとも宇宙人?
或いは機動怨霊ロボ?
でも私がついてますからオルデアンちゃんには指一歩触れさせはしませんわよ!
と、意気がっている小さく無力な私でした。




