第142話 サードステージ22
◆カーナ視点
((あ、あ、あ、只今マイクのテスト中や。虫チーム、和んでるとこ悪いけど苦言をいうで。そろそろ試合開始時間や。位置についてや。遅れたらペナルティやで?))
「?!」
私がヒューリュリ様をムチ打ちしていると、ではなく、話し合いをしていると、ステージBOSSカメヘンカメヘンが茶々を入れてきました。
何なの?
今忙しいんだけど!
それと、また虫って言ったぁ?!
ああ、試合開始時間が来たってお知らせね?
いちいち云わんでもコッチ、イケメン達がスタンバイ済みです。
はい?イケメン達、バレーのルールは大丈夫かって?
なんか皇国の体力増進運動として似た球技があるらしく、コートの様子を見て直ぐに理解できたとの事です。
一応イケメンSがフン▪ボルト審判にルール詳細を確認し、それを他イケメン達に説明してました。
何事もそつがないイケメンS。
顔面偏差値に能力が比例するようです。
やっぱりイケメンSは推せるわぁ!
たも網は何処だっけ?
「カーナ様?で、宜しかったですか?」
「はい?宜しかったです」
ええっと?
知らないイケメンAに話しかけられました。
元々このイケメンA、他イケメンとの練習に加わらずイケメンSの後ろに控えていたのですが、現在イケメンSが他イケメンとの調整に行った為、一人、何故か私のヒューリュリ様ムチ打ち、ではなく、話し合いの場に残っていたのです。
え、何で?
「あの、失礼しました。お初にお目にかかります。私、第一近衛隊副官のメイ▪オーガスタともうします。姫様達をお守りくださり、有り難う御座いました」
「あら御丁寧に。アルタクスさんの部下の方です?」
金髪ショートで細身の中々のイケメンです。
でも、ちょっとジャンルが違うような?
筋肉少なめビジュアル系な感じです。
んん?
何か目付きが他のイケメンと違います。
顔を赤らめ何かを愛でるような?
「はい、そうなります。あの、随分と可愛らしい御方なのですね……」
「可愛らし?ええと?」
可愛らしいって?誰が?
私の事ですかね?
確かにイケメンAからしたら人形サイズ。
前世の私からしてもこんな《ちっちゃ人間》いたら可愛らしいって思います。
お人形さん愛でるみないな、そんな感じ?
でも何て返したらいいんでしょう。
ここは社交辞令的に相手に合わせるべきですかね?
という事で、くるっと空中で一回転。
ピタリと止まって片手カーテシーを決めてから投げキッス。
「はあぁい、金髪ショートで中々格好いいイケメンのメイさん?私が皆のアイドル、妖精カーナ▪アイーハです。お助けに来ていただき、本当に心から感謝感激飴アラレです」
この人はどうやら、小ちゃいもの大好きっ子みたいです。
ならばその趣向に寄り添ってあげましょう。
おほほ、ほら可愛らしかろう?
「いえいえ、私はアルタクス隊長に従ったまで。む?金髪ショートで……………?!」
ピキッ
あれ?
ビジュアル系イケメンのメイさん、急に雰囲気が変わりました。
何か我慢してるのか全身プルプルしています。
まさか、おトイレですかね?
ガマンは身体にヨロシクないので、お早い内に行かれた方がいいと思います。
「……その、カーナ様には、私が《イケメン》に見えているのでしょうか?」
「?え、ええ、まごう事なきイケメンだと思いますよ?さぞかし女子にオモテになるのではないかと……」
ピキッ
あれれ?
ビジュアル系イケメンAさん、額に青筋が立ったような?
「メイ!打ち合わせに参加しろ。此方に来てくれ」
「わ、分かりました。それではカーナ様、失礼させて戴きます」
「はい。それではご活躍、ご期待申し上げております」
イケメンSに呼ばれたビジュアル系イケメンA、一礼してコート内に向かいます。
ええと?
さっきの感じは何だったんでしょう?
ま、いいか。
正直、ビジュアル系は私の趣味ではありません。(あれ?イケメンAの名前何だっけ?)
嫌いではありませんが、例え鑑賞用としても多少の筋肉くんを感じられる方が理想です。
まあ、イケメンSの汎用品くらいのレベルでしょうか。
ピィイーッ
((そんじゃ試合開始でカメヘンカメヘンや。ほら、スタートやで))
はい。
ステージBOSSカメヘンカメヘン号令下、遂に試合が始まりました。
私達はイケメン軍団の邪魔ですので、ゴーストゾンビ女子達の遥か後ろ、観客用二階席(何故かあった)に着座して試合を観戦する事になりました。
座席には左から《女中→織姫ちゃん→私→オルデアンちゃん→メイド→→→駄犬》の順で何故か予約席になってました。
誰がネット予約したのでしょうか?
謎でしたが、私が躊躇する皆を説得して座らせた次第であります。
いやだって一席、白金貨一枚(日本円で約1000万円)って書いてあったし絶対勿体無いじゃない?
これは《座らいでか》でしょ!
「よし、今言った通りで攻めに徹する。間違っても無理にボールを拾おうとするな!」
「「「「「ははっ」」」」」
おお、推しの号令が皆の心を一つにします。
まさにスポコンの極み。
そしてイケメン軍団のブルマ姿は流石に見苦しいかと思いましたが、中々に様になってました。
特にあのビジュアル系イケメンA、何かめちゃくちゃ似合っているんだけどボディーラインがほぼ女性?
あれ?
そういえば一人だけ別更衣室でブルマに着替えてたような……?
「………………………」
ギギギッギギギッ
ガキョンッガキョンッガキョンッ
ひっ?!
ずっと試合開始待ちをしていた機動怨霊ロボが待機姿勢を崩して戦闘体制に入りました。
待機中は巧く手足を折り畳み、限りなく小さな固まりになっていたんですが、それが手足を展開すると数倍の大きさになり、コート一杯にその千手を展開します。
まるでコンパクトに格納されてた戦闘機が大きく羽根を拡げる様、無表情な人形顔がハッキリ言って不気味です。
黒子女子はイケメン達がスタンバイするまで無言で腕組みしていた様なのですが、今は腕組みを解いて両手を掲げて機動怨霊ロボの制御を行っています。
まったく、どうやってあの複雑な動きをしているのか謎ですが、向こうもスタンバイできたみたい。
因みに先行はイケメン軍団。
果たして試合の行方はどうなるのか。
ワクワク
あれ?こんなワクワクしてる私って、もしかしたら不謹慎では?




