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第141話 サードステージ21

◆カーナ視点


「成る程なるほど。そうしてダンジョンに入って此処に辿りついたと?」

「はい、カーナ様」



という事で、イケメンSに合流できた経緯を聞いているところの(わたくし)です。


う~ん。

でも、だいぶ端折(はしょ)ってなーい?


そもそもどうやって宇宙空間越えて来たの?

宇宙海賊、宇宙列車(新幹線?)、惑星イオ京都タワーからスキーまで。

ソレ全部クリアーしてこれたって事だよね?

ヒューリュリ様との馴れ初め(出会い)は?(やべぇ想像してやがります)



「ウチュウ?ですか??私達の場合、岩作りの通路が続き迷路のようになっていました。様々なトラップがありましたが直ぐに回避できるものばかり。ゴーストゾンビも少なく、難なく進む事ができました」

「え?ダンジョン楽々コースに当たった?何それズルい!このダンジョンは一本道じゃなかったの!?」


何と、ダンジョン楽々コースがあったと?

なら私達のコースは何コースだったのでしょうか。

(まつ)かな?

いやいや(たけ)かも。



「カーナ様、このダンジョンは侵入者の思考、潜在意識を反映した形に空間を変化させ、幻覚と合わせて人間を翻弄します。どんなに意思が強く強靭な人間でも潜在意識の中は無防備。しかもそこには本人が表に出したくない恐怖とか、他人に触れられたくない悲しみがあるものです。そういったものをダンジョンは本物の様に幻覚で再現。ゴーストゾンビや一部のアンデッドは、その幻覚に更に現実感を与える様な活動をする。そうして侵入者を排除する、それがこのダンジョンのやり口です」

「厳格、ゲンカク、幻覚ですか。え、あれが全部幻覚だったの?だって私の潜在意識の幻覚だとして、オルデアンちゃんも織姫ちゃんも見えていたし、あの黒装束達も反応してたよ?じゃあ何?この体育館やバレーコートも幻覚!?」

「どうやらその幻覚、カーナ様に見覚えがある世界観だったようですね」

「うんそう、新幹線が宇宙列車だったのは度肝を抜かれたわ」

「恐らく今回、ダンジョンが参考にしている幻覚はカーナ様の潜在意識を反映していると思われます」

「え?私の潜在意識?!」

「ダンジョンが見せる幻覚は一つのステージに一つです。だいたい一人の人物の潜在意識を反映させます。多人数の場合は特に秀でた潜在意識を持つ者を選び、様々に本物のような幻覚を作るのです。それに合わせてゴーストゾンビなどが現れ、シーンに合わせた活動をしてきます」

「ええと、それって」



ピロンッ

《究極の仮想現実です》



いや、ナビちゃん。

補足入れんでいいから。

今、言おうとしたところだったんだから。


何という事でしょう。

道理で新幹線に京都タワー、私が修学旅行で行った京都駅やスキーのゲレンデが出てくる訳です。

つまり、このダンジョン。



「仮想現実アトラクションじゃん!」

「あ、あとらくしょ?カーナ様?」

「な、何でもないですわ、おほほほ!」



ヤバッ!

一瞬、入場料を幾らにするか考えてしまいました。

いや絶対お客取れるでしょコレ!?

お台場にこのダンジョン開いたらTDLの2倍は料金取れるって!

ゴーストゾンビが居るから、ちょっと《命掛ければ》何とか



ピロンッ

《取らぬ狸の皮算用》


ナビちゃん、久しぶりに辛辣。



「じゃじゃあ、素のダンジョンって」

「多分私どもが目にした石作りの通路。それが直線的に地下に続きます。本来のダンジョンの姿はソレです」

「ほとんど幻覚無しって事?やっぱりイケメン優待券はあるのね」

「ゆうたい?」

「気にしないで下さい」



とにかく、このバレー試合が只の茶番だと分かります。


はて?

見回すと、オルデアンちゃん達はメイドと女中のところ。

私はイケメンSを一人占め。

その他イケメンは準備運動中。

テバサキは奥さんに耳掻きしてもらってる。

あれ?ヒューリュリ様は?



ペタッ

『ここだ(あるじ)、直ぐ横にいるぞ』

「うわおっ、冷た~い!??」

『何だ、我を捜しておったのだろう?』

「鼻先を付けないでって言ったよね?!」



ヒューリュリ様がいつの間にか、私の背後から鼻先を頬に付けました。

うっすらと口の端が上がってます??

わざと!?

わざとだよねぇ!!



「まさか、日頃の意趣返(いしゅがえ)し!?」

『何の事だ、(あるじ)?』

「………………!」



更に笑みを深めるヒューリュリ様。

ぬぬ、完全に確信犯のようです。

そりゃあね?

確かに最近、ヒューリュリ様には素っ気なかったと思いますよ。

よくお仕置き姿勢(チンチン)を強いる事もあったかも知れません。

ですがそれは、ヒューリュリ様を思っての行動であり、私はその場その場で最善のお仕置きを?

あれ?

最善のお仕置きって何ですかね?

うむむ。

過去を顧みて、確かに私が独善的でヒューリュリ様に当たっていた事は否めない事実。

ペット(ヒューリュリ様)の気持ちに寄り添うのが《良い飼い主》であるならば、果たして私はこれ迄ヒューリュリ様の気持ちに寄り添う事をしていたでしょうか?



ペタッ

(あるじ)、何を考えているのだ?』

……………。




良い飼い主、良い飼い主、がまん、ガマン、我慢、が



「だぁああーっ?!《良い飼い主》終了!!ヒューリュリ様、お座り!!」

『な、何故だあぁ、(あるじ)ーっ!』



過去は忘れました。

駄犬の鼻ペタ誰得よ!?

もはや私が嫌がる事をするペット(ヒューリュリ様)に躾をするのみ。


《良い飼い主》?

え?それ美味しいの?


知った事じゃありませんですよ、です!!


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