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第133話 サードステージ17

◆カーナ視点


ピィーッ((0ー12))

ピィーッ((0ー19))

ピィーッ((0ー24))



それからは私の独擅場でした。


正直、予測していた事ですが、サーブで相手コートにさえボールが届けばそのボールが返される事は万に一つもありません。

ええ、万に一つも。

何故なら、黒装束達にレシーブという概念は存在しないからです。



「おら、ボールが来ただっちゃ?!早く取れだっちゃ!」

バコンッ「(オウチ)!突き指が~」

「お頭、ボールが手に付きません!」

「お頭、ボールが怖い」

「お頭、助けて!」

「何やってるだっちゃ~!??」

「「「「「お頭~っ、無理ですー」」」」」



と、こんな具合にコートの中で右往左往、チームワークもありません。

元々、バレー事態が初めての状況で未経験者に僅かな練習。

こんなの、付き焼き刃にもなりません。

まあ、コッチも幼女にワンコ、妖精じゃあ打ち返されたらアウトでしたけどね。



「カーナ様、大丈夫ですか?ふらふらです」

「カーナたん、顔が血ダラけなのじゃ!」

「ふ、ふふふ。だ、大丈夫、よ。あと、少しで……」

「全然、大丈夫に見えないです?!」

「ふらふら血ダラケでゾンビ妖精じゃぞ!」


織姫(おりひめ)ちゃん?ゾンビ妖精は失礼ですよ。

とは云え確かにこれはヤバい、です。

景色が回ります。

顔がパンッパンッです。

顔面サーブはコントロールしやすいのですが両刃之剣(もろはのつるぎ)

このままでは脳震盪(のうしんとう)にマッシグラタン。

グラタンは好きですが脳震盪(のうしんとう)は願い下げです。


だけど、あと一点は!!


「どりゃあああ!顔面がヤバいわーっ!!」

バチこーんっ


ヒョロヒョロヒョロッ

バン、コロコロ。


ピィーッ((0ー25))


『やるじゃねーか。俺様の指導が良かったお陰だ。感謝しろよ、お前ら!』

((おお、ワンコ居ないけど【幼女ワンコチーム】、(ワン)セット先取や。幼女ワンコだけに(ワン▪セット)、なんちゃってや))


フンボルトペンギンとカメヘンカメヘンが馬鹿言ってます。

ワンコでワン▪セット、幼女何処いった?

くだらねーダジャレにイエローカードです。そんな事は無視して、とにもかくにもやりました。

ヤりきりました。

顔面25サーブで25連続ブレイク、第一セット先取です。



「カーナ様?!」

「カーナたん!真っ白になって椅子に座り込んでしまったのじゃ!?」

「は、は、は、は、燃え尽きたわ、ジョー」


二人の幼女に抱えられ、コーナーポストに下がります。

剥げ頭眼帯おっさんゴーストゾンビが何か言ってますが脳震盪(のうしんとう)中の私に聞き取れる訳もありません。

きゅうっ


「カーナ様!?」

「カーナたん!」



◆◇◇◇



偉そう男(ビゲル)視点



モヒカン世紀末「ちっ、ガキと妖精相手に何やってる。このままダンジョンに捨て置かれたいか!」

黒装束「「「「「「ひえぇえ~」」」」」」

黒子女子「役立たず」




部下のカーン▪モーヒ(モヒカン世紀末)が黒装束達を叱咤しているが、あのステージBOSS、カメヘンカメヘンの言葉を信じるなら、このバレーというゲームは、あと最低二回のゲームを奴らがクリアしない限り勝利条件を満たす事は出来ない。


このダンジョンは通常のダンジョンと違い直接危害を加えるモンスターは現れないが、様々なステージで強制力のある事象が発生する。

そうして侵入者を混乱させ、場合によりゴーストゾンビ化を狙ってくるのだ。

ある意味、非常に狡猾であると云えるが、ダンジョンクリアの為には、各ステージが設ける《イベント》というものをこなさなければならない。

まったく面倒な事だ。



「仕方ない。呪術師、出番だ」


黒子女子「……承知」



ここは役者を交代させるのが正解だろう。

黒装束達を引かせ、呪術師を前に出す。

我々は後には引かない。


こんな所で足踏みしている時間は無いのだ。



◆◇◇◇



◉カーナ視点


……カーナ様!

……カーナたん!


うーん、フランス人形と日本人形が私を優しく介護します。

眼福、ガンプク、目の保養。


「カーナ様!」

「カーナたん!」

(あるじ)!』

「ふげ?!」


ぎゃあああ!

突然に眼福人形達を退け、駄犬が私の顔に目一杯鼻面を付けてきました。

ひんやりペタペタ湿ってます。

いや、要らんがな。


「起きた、起きたから離れて!ヒューリュリ様!」

(あるじ)~っ!!良かったのだっ』

「だから起きたって。顔に鼻先押し付けんな!!」


ヒューリュリ様、いい加減にして下さい。

しっぽ振り振り今更ボールも渡さない。

私はアナタの飼い主ではありません。


「カーナ様、大丈夫ですか?」

「目がグルグルだったのじゃ」

「え~?本当に大丈夫。完全復活したわ」


織姫ちゃん目がグーグルって、私のはiPhoneだったんだけど。

どーでもいいか。



「で?ヒューリュリ様、何か申し開きはある?」


そして私はクルリとヒューリュリ様に向き直ると、ニコニコしながら彼の言葉を待ちました。

ええ、出来るだけ取って付けた笑顔でね。



『あ、(あるじ)、圧がキツイのだ……』

「それは、しょうがないでしょう?私がこうなったのはアナタが駄犬だからです」

『聖獣フェンリ「駄犬」……駄犬なのだ』



やっと認識させました。

ヒューリュリ様が子犬並みに小さくなりました。

え?可哀想?


こんな幼女ワンコ混成チーム、率いてる私が一番可哀想です。


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