表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

135/429

第132話 サードステージ16

◆ダンジョン体育館

カーナ視点


「お、お頭、サ、サーブしやすね」

「おおう、《《やったれ》》だっちゃ」


おーと?

黒装束の一人、うやうやしくエンドライン向こう側に立ちました。

お頭に宣言してサーブ行動に入ります。

何か足腰がブルブルしてますが、大丈夫でしょうか?


応援女子ゴースト(((((そーれ)))))

黒装束B「おりゃああ、あぎゃ!?」

バチンッズデンッ



おお!?

掛け声だけは勇ましかったがボールを打った瞬間、サーブした黒装束はコートの上でスッテンコロリン、お尻を床に着けました。

見事にやらかしましたね。

果たしてボールの行方は……と、何とかボールが飛んできたようです。


あと突然、観客席に現れた応援女子ゴーストゾンビ達が応援の掛け声を合唱します。

そういえば最近のバレー中継、この掛け声がありません。

何か問題ありました?

ご存知の方、後でファンレターをお願いします。

送り先は以下へ。

《神奈川県横浜市港区郵便局私書箱99999》

え?そんな私書箱無い?

そうですよね。

異世界から届く私書箱なんて私も聞いた事はありません。

まあ冗談はさて置き、ボールの行方を追いましょう。

さて、ボールの行方は?


ヒョロヒョロヒョロッ

ぱさっ、ポンポンポンポンッ

コロコロ


あら残念。

黒装束がサーブしたボールは、ネットに阻まれ虚しく床に転がります。

女子ゴーストゾンビ達の掛け声が無駄になりました。

これでサーブ権の移行、チャンスです!

さあ反撃ですよ。


「で、誰がサーブ打つのかな?」

「フン▪ボルトさんがヒューリュリ様だっていってました」

『待て、人間の小娘。何故に我に振る?!』

「お犬様、サーブを打つのじゃ!」



何と、ヒューリュリ様がサーブ順だったようです。

でも何かヒューリュリ様は躊躇しています。

練習はしていたはずだし、何を今さら躊躇する事があるのでしょうか?



「ヒューリュリ様、往生際が悪いです。さっさと位置について下さい。はい、ボール!」

ぽいっ


『あ、主っ?!』


私は、モタモタしてるヒューリュリ様にバレーボールを投げつけます。

あれ?

そういえばヒューリュリ様、練習の時はボールを追いかける姿しか見てません。

ボールは追いかけていたから、しっかり練習はしていると思っていたのです。


サーブを打つ姿は見てない……?



ぽーん、ぽん、ぽん、ぽん。


私が投げたバレーボールが転がってヒューリュリ様の前を通り過ぎました。

パスしたんですから、ちゃんと取ってとヒューリュリ様を見上げれば……??


『わうっ!』


ヒューリュリ様、ボールにじゃれつきながらシッポを振ってボールと一緒に退場です。

そのまま体育館を出ていってしまい、私はフリーズするしかありません。

はあ!????


「な、何が、どうして??」

「ああ、ヒューリュリ様が《《また》》行っちゃいました」

「《《練習の時と同じ》》じゃな」

「ちょっ!オルデアンちゃん、織姫ちゃん、また?練習の時と同じ?って?」

「カーナ様、練習通りのヒューリュリ様です」

「だから同じなんじゃ、カーナたん」

「?!」


ああ、何という事でしょう。

ボールという玩具を得たヒューリュリ様は《《只のワンコ》》だという事を失念しておりました。

つまり練習で私が見ていたのは、(ヒューリュリ様)がボールとワンコ遊びをしていたところだったという訳です。

聖獣フェンリルの肩書きが跡形もありません。


ピーッ

『ほら、後がつかえてる。さっさとサーブしやがれ!』

すっかりベタな審判に成り下がった元コーチ、いや、フンボルトペンギンが煩く喚き立てます。

コッチ、只でさえメンバー足らんのにヒューリュリ様行方不明でこれ以上どうしろと?

あ、居ても無意味か。


「カーナ様……」

「カーナたん……」

「はぁ、仕方ないわね」


取り敢えずは、私がサーブするしかないようです。

果たして背丈10センチ、1歳の私にサーブを打つ事が出来るでしょうか?

むむむどうしましょ、って感じです。

とにかくボールを持ち上げ、エンドラインの先に立ちました。

皆が私に注目します。

でも問題はここからです。


まあ、このミニマムボディ。

実は意外とパワフルなんです。

自身の身体より大きいバレーボールを軽々持てる位は正直朝飯前というか、普通に余裕に持てます。

昆虫のアリさんが身体の何倍もの獲物を運べたりするみたいに、私もそんなスーパーパワーがあるみたい。

凄いでしょう?

つまり


「マイナス50度ならバナナで釘が打てますサーブ!!」(意味不明)

バインッ

レオ『はあ?なんだ、その掛け声??』

ゴーストゾンビ女子応援団

((((((((((そーれ、釘~っ?)))))))))


キーン、ババンッ

『『『『『!!!』』』』』

『だっちゃ?!!』



殆ど頭突き釘サーブ。

いや顔面です。(痛い)

私の顔面で蒙スピードを得たボールは、みるみるネットを飛び越え棒立ちの黒装束達、その中央コートに突き刺さりました。


妖精の様に舞い、ハンマー(顔面)のように打つ。

魔球【釘サーブ】の完成です。

《マイナス50度ならバナナで釘が打てるサーブ》は長いから却下で。

因みにこのサーブ、鼻血が出ます。

やべぇです。



「カーナ様、凄いです!」

「流石、カーナたんなのじゃ!!」


そうであろう。

そうであろう。

よきに計らえ、であります。

二人の幼女から絶賛の褒め称え。

ピノキオより鼻高々ですよ~、あ、嘘ついてないから。


ピィーッ((0ー1))


おっと、点数掲示板を係のゴーストゾンビさんが捲ります。

先ずは1点、先取です。

でも先は長い。

6人制バレーはワンセット25点、5セットマッチ で 3セット を先取したチームが勝利をつかみます。

つまり


「私の顔面、何時まで《《もつ》》かと言う事よ!」



鼻血を足らして絶叫した私でした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ