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第131話 サードステージ15

◆ダンジョン体育館

カーナ視点


えーっ?

私ら、これからどうすればいいのでしょう?



「コ~チ、このまま練習続けていいの?」

(あわ)てない(あわ)てない一休(ひとやす)一休(ひとやす)み』

「誰だお前」


ウンコ垂れペンギンが頭に手羽やって目をクルクルさせて言いました。

駄目です。聞いた私が馬鹿でした。

んん?



ガコンッ


「何かな、アレは?」

「カーナ様?」

「何じゃ?光が観客席を照らしとるのじゃ」

『只の光であろう?』

『ギャザース俺コーチ!』


ギタギタの整髪剤を頭に塗り羽根()?をとかし始めたフンボルトペンギンは無視して、皆スポットライトが当たる観客席を見ています。

するとどうでしょう?!

まるで舞台装置さながら観客席の一部に穴が空き、下から何者かがポーズしながら出てきます?


((オーレオーレ、殿様サ、ン、バ~っ。オーレオーレ、殿様サ、ン、バ~っ))



はえ??

えーと今度も?顔はサングラス▪ツタンカーメンなんですが何かチョンマゲが付いてますし?服装が金ぴかカーメンから金ぴかバカ殿ルックに変わっていてサンバを踊ってます。

何なのアレ?


((いやいや面倒臭いんで影武者に丸投げしてたら何か盗撮で?捕まってカメヘンじゃなかったみたいでホントかなわんわーっ。皆さん時間の無駄遣いゴメヘンゴメヘン。そんじゃ押してるから試合すぐ始めまひょか))



ステージBOSSのカメヘンカメヘンが何か勝手な事を言ってます。

影武者だったんかい?!

はれ?

「練習は???」


((はん?練習って要らへんやろ?アンタら十分練習しとったやないか。ほれ始めよか))

「ええーっ!!?」


いきなり練習が無くなりました。

そのまま本番になっちゃいます。

どうしましょう!?


「うう、まだ二人足らないフォーメーションが決まってないのに……」

「カーナ様?まだ何か?」

「どうするのじゃ?」

『我が穴を埋めるのだ、(あるじ)



ヒューリュリ様が穴埋めるなんてカッコつけしてますが、練習中に私がこぼしたバレーボールをシッポ振り振り追いかけていただけでレシーブも何もありません。

全く宛にならないのがバレバレですが、ワンコはそれが分かってないのです。


ルールを知り試合が出来そうなのはペンギンズ隊長ですが、隊長はコーチはやるのに選手として参加する気概がありません。


『俺はフン▪ボルトペンギンのレオナルド▪ダ▪ビンチだ。芸術家はバレーはしない』


「芸術家?あんた、コーチじゃないの?」

『バレーコーチをアルバイトする芸術家だ』

「アルバイトのコーチだったんだ……」



それ依然に芸術家って何の芸術家???

いや今はそれどころではありません。

マジどうしましょう!?

ネットの向こう側は既に3人3人で前衛、後衛でフォーメーション組んでます。

様子見なのか、黒装束だけのチーム組。

モヒカン世紀末や黒子女子、偉そう男はベンチスタートです。



「お前ら、頑張るだっちゃ!頑張ってダンジョン脱出して家族の元に帰るだっちゃ!!」

「「「「「お頭(かしら)~!」」」」」



哀愁が漂い鬼気迫る黒装束達ですが、ブルマ姿は見苦しいのひと言です。

ですがこれはチャンスかも知れません。


練習中のチラ見では、彼らは楽しそうにボールの投げっこをしていただけでした。

多分、ルールもよく分かっておらず、先制を取れてサーブが入ればボールは返ってはこない可能性があります。

だとしたらここは、何としても先制になるように祈るしかありません。



((そんじゃ先制を決めるで。神、様、の、い、う、と、お、り、や!よっしゃ先制は黒装束に決定。皆、気張ってや))


はあ?バカ殿が勝手に先制を決めました。

いきなり(神様の言う通り)で決めるとか、あり得ません?!



「ジャンケンで、せめてジャンケンで決めて下さい!」

((いいで。んじゃジャンケン、ポンや。おや、ワイの勝ちやな))


「いや、私とアンタがジャンケンしてどーしろと?」

((アン?ワイとジャンケンしたかったんじゃないんか?))

「当たり前でしょ、このバカ殿カーメン!」

((バカ殿カーメン?))



不味い、不味いです。

唯一の勝機が無くなってしまいました。

こうなったら、何とかレシーブしてサーブ権を自力で獲得するしかありません。

それには皆の力を結集して立ち向かうしかないのです。



「とにかくボールをレシーブする。そしてサーブ権を獲得するわ。皆、お願いね!」

「カーナ様、分かりました!」

「分かったのじゃ!」

『任せろなのだ』

『俺はアルバイト▪コーチで芸術家だ!』

「じゃあ、誓いを」

「カーナ様?」

「誓いってなんじゃ?」

(あるじ)?』

『俺は芸術家だ。バレーはコーチだけだ』



役立たずペンギンは放っておいて私は皆に手を出しました。


「バレーは連携が大事。それには誓いを立てて気持ちを一つにするの。誓いは【一人は (みんな)の為に。(みんな)は一人の為に】!」

「はい!【一人は (みんな)の為に。(みんな)は一人の為に】!」

「うむ【一人は (みんな)の為に。(みんな)は一人の為に】じゃ!」

『【一人は (みんな)の為に。(みんな)は一人の為に】か。良い合言葉だな』

『【一人は (みんな)の為に。(みんな)は一人の為に】?だが、それでも俺はアルバイトコーチで芸術家だ!』




これで皆の心は一つです。

さあ試合が始まります。

全力でレシーブをして見せましょう!


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