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第128話 サードステージ12(体育館?)

◆ダンジョン内ゲレンデ?

カーナ視点


(あるじ)~っ、我は何を間違ったのだ?勘弁なのだーっ!』

「ヒューリュリ様?いつまでこの格好を続けるんです?」

「ヒューリュリ様、泣いてるのじゃ?」



チンチンで10分経過。

ヒューリュリ様は使い慣れない筋肉を酷使した結果、全身プルプル震えて死期が迫ったお爺ちゃんワンコにしか見えなくなりました。

これではさすがに可哀想です。

だから《《更に》》10分追加後解除してあげました。

私って優しいです。(鬼)



さてさて、急勾配を降りれた場所はゲレンデの終点でした。

とにかく前に進みましょう。

ゲレンデの先はかなり濃厚な霧が立ち込め、景色が全く見えません。

いわゆるお先、真っ白ってヤツですかね?



「カーナ様、何も見えません」

「でも、暖かいのじゃ?」

『先ほど、空気を遮断する結界を越えたようだ。ここから空気が変わっていくぞ』

「もう雪は無いって事?なら、スキーは要らないわね」


せっかくオルデアンちゃん達にスキーを教えられたのに残念です。

先生としては何だか寂しい気持ちがこみ上げます。


「カーナ先生。私、スキーを教わった事は忘れません。皇国でも引き続き練習します」

(わらわ)もじゃ。これは国に流行らしたら国民も喜ぶのじゃ」

『我はもう、やらん』



有り難う。オルデアンちゃん、織姫(おりひめ)ちゃん。

先生はモーレツに感動しています。

ヒューリュリ様はスキーがトラウマな様で残念です。

あ、私のせいですか。




皆が板やスキーウエアーを脱ぎ捨てます。

私も雪ウサ毛皮セットを亜空間収納して重い革ツナギを脱ぎました。

バイク用カワサキ製です。

返却しなきゃって思ってたら、脱ぎ捨てたスキーセット一式と共に煙になって消えました。自動返却システムですか?

だとしたら大変に画期的です。




「オルデアンちゃん、何か見える?」

「見えませんカーナ様」

「真っ白なのじゃ!」

『だが何かの力を感じる。この先に何かあるぞ、(あるじ)

「何かって?」

『分からん。我もダンジョンは初めてなのだ』

「長く生きてるのに?ああ、森で《引きこもり》ヤってたんだっけ?」

『……森の守護者だ、(あるじ)

「ヒューリュリ様、泣いてます?」

「よしよし、なのじゃ」



うーん。和服幼女に頭撫でられシッポ振り振り馴染んでるヒューリュリ様。

とても伝説の聖獣(フェンリル)には見えません。只のワンコでよくね?

だけど出口を目指す為にも、ここは一歩でも前に進むしかありません。



ゴゴゴゴゴゴゴゴッ


「「「?!」」」

『!』



重厚な地曳きと共に、白い霧がカーテンの様に左右に別れて消えていきます。

景色が鮮明になり向こう側の状況が分かると、唐突に学校の体育館が現れました。

何故に体育館?!

ん?



ペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタッ

カチャ

『やっと来たか。待ちわびたぞ、お前ら!』



んん?

何か小さい珍獣のようなものが近づきながら何か言ってます。

鳥みたいですが二足歩行の頭トゲトゲしたヤツです。

一見、ペンギンの種類のようですが、やたらエラソーに声を掛けてきました。

皇帝(こうてい)ペンギンかしら?

(注▶種類であり偉くはない)



「誰アレ?オルデアンちゃん、知ってる?」

「知りません。織姫(おりひめ)ちゃんは?」

(わらわ)が知るわけがないのじゃ」

『何だ、ヤツは?』



えーと?

種類はともかく、偉そうで馴れ馴れしい双眼鏡抱えた変なペンギンが現れました。

私達にどうしろと?



『オレはフン▪ボルトペンギンのレオナルド▪ダ▪ビンチ。レオって呼んでくれ』



ペンギンの種類なのか芸術家なのかよく分かりません。

が、皇帝ペンギンでないのは理解です。

まあ雪ウサギやヒューリュリ様もいる世界。当たり前なんでしょうが唐突感が否めません。

おまけに初対面で名前の愛称呼びを要求されました。ライオンの愛称みたいで詐称疑惑が否めません。



『タワーで見かけた時からスカウトしようと待ってたんだ。メンバーが足らない。さあ早く来てくれ。試合が始まっちまう!』



何か勝手に話を進めてます。

タワーで見かけてたって?

双眼鏡でずっと私達を観察してたって事?

過度なストーカー行為は感化出来ません。

このまま無視して素通りしたい気分です。

試合?

は?何の試合?

訳が分かりません。

これは巻き込まれたらアカンやつです。

私達はスクラム組んでコッソリ作戦会議を始めます。



(カーナ様、どうします?)

(オルデアンちゃん、相手にしたら駄目よ。無視しましょう)

(シアイって何の事じゃ?)

((あるじ)、思い出した。アヤツ、聖獣だぞ)

「は?ヒューリュリ様、どさくさに何か言いました?」

『アヤツは聖獣だと言ったのだ』

「聖獣……雪ウサギ達と同じの?」

『そうだ。何でダンジョンにいるのか分からぬが、大陸のずっと北の地方に住んでいる一族だと思う。会うのは初めてだがな』



驚きのあまり、途中から通常ボイスで会話してました。

聖獣フンボルトペンギンなんでしょうか。

種類が知れましたが、なんか ポマード頭テカテカでオッサン (しゅう)が止まりません。

覗き魔(ストーカー)だし、関わる要素が全く無いのでは?




「まあ、聖獣だろうが性獣だろうが無視して先にいっちゃいましょう。面倒事しか想像出来ません」

『う、うむ。そうだな』



神の森の守護者、ヒューリュリ様にとっては聖獣は守るべき対象。

複雑な思いがあるようです。

だけど私には動物園のペンギンが喋ってる腹話術ショーでしかありません。

そこに信用も何も無いのです。

だからヒューリュリ様には悪いですが、ここは無視を決め込みます。

私達はダンジョン脱出を優先してるんですからね。



『おい?!お前ら無視するな?試合に勝たないとダンジョンから出れないぞ』


私達が無視して通り過ぎようとすると、ペンギンは体育館を指しながら呼び掛けてきました。

は?

《試合に勝たないとダンジョンから出れない》




「どうゆう事!?」

『は、やっと反応したな。どうゆう事も何も試合に勝ったチームだけがサードステージを出れるって事だよ』



何ですと?!



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