第113話 セカンドステージ
◆ダンジョン▪セカンドステージ
カーナ視点
ゴゴンッゴゴンッゴゴンッゴゴンッゴゴン
はいはい皆さん。
日本人から妖精に転生したカーナでーす。
よろー。
現在、私達は無限軌道を線路にする宇宙列車に搭乗中。
な、な、なんと!
ダンジョン第二ステージはメトロポリス宇宙列車発着駅でした。
顔の見えないゾンビ車掌がお出迎えです。
((皆さん、メトロポリス宇宙列車発着場にヨウコソ。私が車掌です。ダンジョン第三ステージ、惑星イオ行きは此方、宇宙特急ピカリ号にご搭乗下さい))
「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」
ほぼ、ほぼ全員、口をアングリ開けてお登りさん。超未来的駅の作りに最早、見上げるばかりです。
あの後、ぎゃーぎゃー泣きながら最前列にされた黒装束達を先頭に真正面の通路に進んだ私達。
さらに真っ暗な空間とゴーストゾンビの群れを予想していた私達の前に現れたのは、めちゃくちゃ照明が明るい超未来建築物でした。
しかも、そこはイオという惑星に向かう宇宙列車発着駅だったのです。
どこがダンジョンやねん?!
「ば、ば、ば、ば、ば、ば、ば、ば、ば、」
「か、か、か、か、か、か、か、か、か、」
「な、な、な、な、な、な、な、な、な、」
「?、?、?、?、?、?、?、?、?、」
と云うことで皆さん、こんな感じ。
いやいや分かりますよ?その気持ち。
だって中世的世界観からいきなりSF世界です。こんなの、誰が想像できるの?
まあ、顔の見えない車掌さんは襲っては来ないようなので、彼の案内に従って新幹線ソックリな宇宙列車?に搭乗してしまいました。
え、何で蒸気機関車じゃないのかって?
何の事?
あ、因みに私の閉じ込められていた箱は、度重なる黒子女子の暴力に耐え兼ねて崩壊寸前。あちこちに亀裂が入り外の音が鮮明に入るようになりました。
どんだけ叩いたらこーなるのよ!
それに耐えた私っていったい……?
ま、まあ、いいです。
彼女はまだ気づいてませんが、たぶん何時でも脱出可能。
隙を見てオルデアンちゃん達を救出しちゃいます!
パアアア━━━━━━━━━━━━ンッ
ガコンッガシャガシャンッ
ガコンガコンガコンッガコンガコンガコンッ
おおーっ!
発車の警笛が鳴り、ついに宇宙列車が発車しました。
駅の見送りは黒コサック帽を被って黒毛皮を着た美人お姉さん。
どっかで見た事あります?
走り出した宇宙列車、一気に大気圏を突破しました。
青い地球?が眼下に拡がったかと思うと、みるみる小さくなりました。
次々に変わる車窓の風景に皆さん圧倒されています。
ダンジョンなのに不思議ですねー。
((名物味噌カツ弁当、旅の土産にトラ焼きはいかがですか?サンドイッチ、アイスクリーム、新聞もありますよ?なお、ワゴン販売は今月で終了です。これまでのご愛顧、有り難う御座いました))
おお!
パーサーお姉さんゾンビによるワゴン販売です。
ええーっ!?
ワゴン販売終わっちゃうのーっ!
パーサーの皆さんご苦労様ですって、なんのこっちゃねん!?
「お、お姉さん、味噌カツ弁当一つ!」
「こっち、サンドイッチね?!」
「オ、オレ、新聞をくれ!」
すっかり馴染んで最前列三列シートに仲良く座っていた黒装束達。
ワゴン販売に興味津々で、すかさず注文しまくってます。
いるんですよねー。
順番守らず我先に殺到する不届き者が!
「馬鹿!お前ら、それを手に取るな!!」
「「「へっ?!」」」
ああ!?
モヒカン世紀末が叫んだけど時既に遅し。
パーサーお姉さんゾンビから品物を手に取った黒装束達、既に身体が半透明に変わってました。
だけど何食わぬ顔で三列シートに座ると、各々に食事と読書を始めます。
因みに新聞はキョーフ新聞でした。
読むと寿命が縮むんですよ。
コワイですねー。
((私は宇宙海賊ダイヤモンド。宇宙特急ピカリ号よ、ただちに止まりなさい))
なんでしょう?
宇宙海賊??
列車外に巨大飛行船です。
新しいイベントが始まったようです?!
ロープにぶら下がった宇宙海賊達が此方に乗り移ろうとしています。
いったいどうなっちゃうの!??
「不味いぞ!奴らを乗り移らせるな!」
おーっと!ここであのローブイケおじが叫びました。
黒子女子が頷き、千手恐怖人形の出番です。
車外に出た千手人形、迫る海賊ゾンビ達に突入しました。
次々と乗り移ろうとする海賊ゾンビ達のロープを、その持ち前の千手でスパスパと切り刻みます。
その千手、ある時から見えなくなりました。
あまりに早く繰り出される千手は最早、人の目で捉える事は出来ません。
凄?!
哀れ海賊ゾンビ達、すべてのロープが切断され宇宙の深淵に消えました。
圧倒的完全勝利。
千手観音さまさまです。
((己れ、面妖な人形を使い我を妨げる愚か者よ。列車ごと宇宙の藻屑と消えるがいい))
おお、癇癪を起こした宇宙海賊、ついに武力に出るようです。
飛行船のあちこちが開き、大砲のような物が現れます。
ひゃああ、この冒険活劇ドラマはいったいドコに向かっているの?!




