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第103話 ほら、ホラーよ。

◆貴族街と平民街の境▪神殿

カーナ視点


[ギギギ、キシャーガキョンッガキョンッ]



((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル

((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル


結局あの人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)悪霊人形の怖さに驚いた私とテバサキ。

震えが止まらず、屋根裏の隙間から動く事が出来ません。

二人して心臓がチキン(テバサキは元々チキン)だった事が判明し、オルデアンちゃんの救出に萎縮しております。


え?たかが人形だろうって??

いやいやそこのアナタ、あの人形を間近で見たらそんな事は云えません。


だってあの人形、ずっと生きてるみたいに目をギョロギョロさせてるんです。

ヤバくないですか?!

めっちゃ怖さが1000パーセント。

アメリカの某恐怖映画シリーズ並みに暗黒瘴気を放っています。

オルデアンちゃん達も涙目のまま、黒装束と共に恐怖に打ちひしがれております。

はい、黒装束と共に。


「お(かしら)、何とかして下さい!俺ら、怖くてどうにもなりやせん!」


お、一人の黒装束が堪り兼ねて喋りました。

他の黒装束やオルデアンちゃん達がうんうん頷いております。

素晴らしい連帯感。

さあ、希望のお(かしら)はどうしてくれるでしょうか?


「待ってくれぇ、あの人形は俺も怖い。勘弁してくれぇ!」


(かしら)、可哀想に代表して皆から前に押し出されました。

全員がお(かしら)の後ろに隠れています。

いわゆるスケープゴート的な状態です。

(かしら)の冥福を祈るばかりです。



「じゅ、呪術師の旦那(だんな)、そ、その人形を引っ込めてくれ。怖いんだ!」

旦那(だんな)?!」


ああ、黒子の雰囲気が変わりました。

あの声はヤッパリです。

どうやら、お(かしら)は、虎の尾を踏んだみたいです。


「あたいは(おんな)!!」

ガブッ

「ぎゃああああ━━━━━っ?!!」


うわああ、お(かしら)が悪霊顔の人形に噛みつかれました?!

泡を吹いて倒れ込みます。


恐ろしい、何と恐ろしい光景でしょう。

それを黒装束達とオルデアンちゃん達が肩を寄り添いガタガタと震えております。

そ、そして、私とテバサキも抱き合ってガタガタと震えていました。

震えがドウニモ止まらない、です。

(ウララ、ウララ、ウラウララ)



「テ、テバサキ、作戦変更よ。暫く様子を見ましょう」

『コ、コケケ』


こうして私達のオルデアンちゃん救出計画は、大きく変更を余儀無くさせられたのでした。



◆◇◇◇



◇数時間後、平民街▪神殿裏

ダンジョン入り口

カーナ視点


意識を取り戻したお(かしら)が、ようやく気を取り直して本来の予定に戻ったのは、あの呪術師の黒子女性が背中に背負った棺桶みたいな箱に人形を仕舞って一時間ほど経ってからでした。

完全に泡を吹いて伸びていたお(かしら)。ヨタヨタと起き出したんですが威厳も何もありません。


因みに黒子女性は、依然として顔が見えませんが、声から察するにかなり若い女性の可能性があります。

普段はほとんど喋らず、それが不気味感を漂わせており、人形の事もあってか黒装束達も彼女に近づくのを恐れている次第です。


あと、オルデアンちゃん達のおトイレは、彼女が連れていってくれてます。

男に連れていかれたら速攻、蹴りを入れて救出に飛び込むしかないところでしたが、黒子が女性で無謀な救出計画を遂行しないで済みました。


オルデアンちゃん達も人形が怖いのか、女性にはやたら従順です。

なので現在、屋根上からの追跡で彼らに付いて行ってます。

え?私のおトイレはどうしているかって?

それは聞かないのがお約束です。


それで黒装束らしく闇夜に紛れて動きだし、オルデアンちゃん達を背負って平民街に入り、たった今石作りのギリシャ神殿?見たいな造りの神殿に到着、その裏に回ります。



オオオオォ~ッ


「な、何なの、あのただならぬ気配のする扉は!?うっ、気持ち悪い……」

『コケケ?!!』


黒装束達の後を付けて神殿裏に来ましたが、物凄く瘴気を放つ扉が現れました。

近づくごとに動悸と息切れがします。

救心が必要ですが、日本の薬局が近くにあるわけもありません。(処方箋もないしね)

何で神殿裏にこんな禍々しい扉が在るんでしょうか?

まったく訳が分かりません。


「「「「「お、お(かしら)

「お、お前ら心配すんじゃねぇ、満月は3日後だ。ゾンビは溢れてこねぇ!」



黒装束達も、ただならぬ気配に怖がっています。

だけど今、お(かしら)が変な事を言いました。

ゾンビが溢れる?それも満月の日に?

それが本当ならバイオ○ザードです。

めっちゃヤバくない?!


「満月でも護符の有る家の中には入ってこねぇ。そんな怖がるんじゃねぇ!」


ふう、動悸もだいぶ落ち着いてきました。

救心は大丈夫です。

護符?退魔師のお札でしょうか??

何だか番組が違います。

ファンタジー物から、いつの間にかホラー物に変わってます。

何にせよ、この国の人々には普段からバイオ○ザードに対抗する手段があるようです。

じゃあゾンビが溢れる事に、この国の人は慣れっこって事でしょうか。

私は慣れたくありません。

ホラー映画は苦手なんで。


オルデアンちゃん達は大丈夫でしょうか。

あ、ヤッパリ青い顔をしています。

結構、苦しそうで不味いですね。

特にオルデアンちゃんが苦しそう。

私が感じてる動悸、息切れみたいなものと一緒でしょうか。

何にせよ、早急な救出が必要です。


ところで私とテバサキは現在、神殿の屋根の上にいます。

ここからは彼らの動きはよく見えるのです。


あ、お(かしら)と黒子女性が離れました。

どうやら親玉を呼びに行ったみたいです。

連中はここで親玉と合流してオルデアンちゃん達を引き渡す予定でした。


これはチャンスです。

ここまで何も出来ずにきましたが、そろそろ限界かもしれません。


「テバサキ、敵が合流して数を増やす前、今しか救出のチャンスはないわ。いくわよ!」

シュタッ

『コケケ!』


テバサキの敬礼がいつもより頼もしく思えます。

背中に万字が見えましたが気にしません。


さあ、突入しますよ!


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