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第100話 追っかけ(推しの?)

◆皇国貧民街

カーナ視点


タッタッタッタッタッタッタッタッタッ

ポリポリッポリポリポリッ


「アンタ、その葉っぱ好きねぇ。ずっと口に咥えてるし」

『コケケ』

「構わないけど、葉っぱに夢中になって屋根から落ちないでよ」

『コケケ、ケケ。ポリポリッ』


テバサキは今、大根の葉っぱに大夢中。

彼は片手羽に大根葉を束で持ち、1本づつ咥えて食べてます。

その様子はまるで某漫画に出てくる葉っぱを咥えた野球選手のよう。

何だか行儀が悪いです。




私達は現在、皇国貧民街を屋根から屋根に移動してます。

え?何でここに居るのかって?

だってバーチさん()に弟ちゃんの食材を提供出来たので、それ以上は私の出る幕はありません。

なので今緊急の案件、オルデアンちゃん達の誘拐事件解決に尽力中なので御座います。


弟ちゃんとの別れは辛かったけど、オルデアンちゃん達の捜索が最優先ですから致し方ありません。

あ、因みに香典は回収しました。

後で中身は確認です。(ワクワク?)



さて、貧民街に参りましたが、何処から捜してよいものやら。

取り敢えず、高い屋根に登ったものの、中々広い町並みに手を付ける場所を決めかねております。


「さて、ワトソン君(テバサキ)。誘拐犯は何処にいると思うかね?」

『コケケ?コケーッ??コケケ』


トウモロコシのヒゲを付け、探偵のマネごとを始めてみます。

ムムムッ良い案が浮かびません。

おっかしーな?


「ああ、ワトソン君(テバサキ)にヒゲが足らないのだよ。ホレホレホレ。うむ、貫禄がついたわ」

『コケー!??』


私が使ったトウモロコシのヒゲを上手くワトソン君(テバサキ)に付けました。

よし、これで雰囲気はバッチグー。

きっとワトソン君(テバサキ)が良い案を出してくれる事でしょう。

あ、こういうのは何といいましたか?

待てば海路の日和あり、でしたか。

え、他力本願とも言う?

いやいや我ながら名案であります。

やっぱり何事も形からですから。


『コケ!』


おっ、ワトソン君(テバサキ)が何かを言いたげです。

さあ、今こそ助手として本領を発揮する時です。


コケケ、コケコケ(大根葉はご馳走)

「おお!ワトソン君(テバサキ)、いきなりの名案が浮かんだと?流石、私が見いだした助手です。ふむ?このままでは埒が明かないので先にテリアさん達の安否確認をした方がいい?成る程。確かに無駄に時間を費やすより、テリアさん達の安否確認をした方が早道かも。もしかしたら新しい情報が聞けるかも知れないしね。早速取り掛かりましょう」

コケケ、コケ(ご主人は迷走中)?』



ワトソン君(テバサキ)の提案により、捜索予定を転換。

先にテリアさん達の安否確認をする事になりました。

バーチさんの話では、テリアさん達は崩壊した橋に巻き込まれて川に流されたとの事。

考えてみたら大変心配な事です。


ただ、バーチさんが懺悔で教会を訪れたのが1日経過してからであり、その事情を聞き弟ちゃんを治療して食材を渡してから半日が経ってます。

果たして彼女達は無事なんでしょうか?


「あ!?」

『コケケ?』


私達が屋根から貧民街の路地を見下ろしていると、数人の騎士達がある家屋から出て来ました。

その中に私の知った顔があります。

間違いありません。

あれは私の推しイケメン図鑑1ページ、アルタクス様!(カーナが勝手に編集中)

唾付けをしてあるホストナンバーワンです。

あの方ならジャンジャン貢いじゃうわ!



ガタンッ


(「くそっ、ここはもぬけの殻です!」)

(「最初から放棄していたんだろう。手掛かりは?」)

(「見つかりませんでした」)

(「おそらく第二部隊が向かったもう一つのアジトがメインだろう。我々もそこに向かおう」)

(「分かりました」)

(「……テリア達は?」)

(「二人とも疲労してましたが命に別状ありません。一緒にいた護衛騎士による救出が早かった為、たいして水を飲まずに済みました」)

(「そうか、(さいわ)いだったな」)




良かった。

アルタクスさん達の会話から、テリアさん達は無事に救出されたみたい。

なら、今から私もアルタクスさんに合流し、オルデアンちゃん達救出に力を貸す方がベストでしょうか。

私はテバサキに指示し、屋根を降りてアルタクスさんに声を掛けようとしました。




(あるじ)、何故だ。其奴からは、沢山の仲間の匂いがするのだ。多くの仲間を手にかけたに違いないのだ。許さん、許さんのだぁ!》



「………!」

「コケ?」



今、声をかけようとして、躊躇して止めました。テバサキが不思議そうに見つめています。


ふと、ヒューリュリ様の、あの時の言葉が耳を(よぎ)ります。(第45話 別れ 参照)

もしかしたらアルタクス様は、多くの聖獣の仇?


いやいやあれは、きっとヒューリュリ様の勘違い、いや鼻違い?

そんな事を考えていたら、アルタクスさんと騎士達は足早に路地を走り抜けて行きました。


ありゃりゃ、置いていかれちゃう?!


慌ててテバサキに後を追うように指示。

騎士達の後を屋根越しに追いかけていく事になりました。


待っててね、オルデアンちゃん!


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