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第99話 砂糖と氷河期?

◆テータニア皇国▪平民街バーチ自宅

カーナ視点


弟ちゃんデトックス。


まずはこれ以上、皇国由来の毒素摂取を避けなければなりません。

なので当面、弟ちゃんに皇国の農産物を口にするのを止めて貰います。



「それじゃあ皆さん、亜空間収納ストック大解放。そんでもって、大出血サービスを御覧あれ!」


パパラパパーパーパーッ


バラバラバラバラバラバラバラバラバラバラバラバラバラバラバラバラバラバラッ

ドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサドサッ



私がそう言ってカーテシーをすると、あらあら不思議。

某アニメ猫型ロボがお腹ポケットから出した時みたいな音楽がして、カーテシーで捲り上げたワンピーススカート裾から、バラバラと亜空間収納ストックが解放されていきます。

いや何でそんなとこから出る訳?

めちゃくちゃ恥ずかしいじゃん!!


それを二人と一羽は興味津々、目が釘付けになっています。

止めて━━━━━━━っ?!



私が恥ずかしさでのたうち回りながら卓上に出したのは、先ほど話に出したモロヘイヤは勿論、花召喚進化で日本にあった各種野菜と果物の盛り合わせで御座います。


しかもご丁寧に、仏事、法事のお供えに便利、ラッピングフルーツ盛り合わせ【かご盛 法事セット】で出てきました?(お線香付き)


は???

何で、カゴ盛り?

え?野菜かご盛りは胡瓜、茄子の馬牛用割りばしセットなの??

って、変なトコ気にしてる場合ではありません。

皆に何て説明しよう?!



「あ、あのね、これはね、手違いみたいだけど食べるには問題ないの。ちょっと縁起が悪いだけで……」

「きれい……!」

「素晴らしいです!」

『コケケ!』

「え!?」


二人と一羽、目に星がキラキラしてメッチャ感動しています。

これで良かった?!


「ああ、世界は、こんなにも色で溢れているんですね。生きる力が湧いてくる。有り難う、エフェメラル様!」

「こんな色の野菜や果物、見た事ありません。食べるのが勿体ないです」

『コケケ、コケケ、コケコケ、コケケ!!』

(何言ってるか、分からん)

「そ、そう?そんなに喜んでもらって、私も何だか嬉しいわ?」



出したカゴ盛りの内容は以下の通り。


◉フルーツ盛り

《林檎、桃、蜜柑、苺、スイカ、メロン、キウイ、パイナップル、プラム、ライチ、いちじく、マンゴー、バナナ、バナナ、バナナ、バナナ、お線香、お線香、お線香、お線香?》

(バナナとお線香、多くない?)


◉野菜盛り

《モロヘイヤ、ニンニク、トウモロコシ、トマト、ジャガイモ、さつまいも、大根、里芋、ネギ、人参、キャベツ、ニラ、小松菜、ほうれん草、胡瓜、 茄子、茄子、茄子、茄子、茄子、割りばし、割りばし、割りばし》

(何で茄子と割りばしが沢山……茄子の牛ばかり作ってどーするの?)


綺麗なカゴにラッピングされ、それぞれ紫のリボンで結んでます。

おまけに季節感がバラバラです。

んん?更に何か封筒が貼り付けてある?

封筒には御仏前との表記アリ?!

何故に御仏前?一体おいくら入っているの??(気にするのソコ?)

うーん、私の亜空間内は世界の七不思議並みに謎で溢れているのでしょうか。

一度、中を点検したく思います。



「とにかく、当面これを食べる事。また来るので必要に応じて食材を調達します。分かりましたか?残念バーチさん」


バーチさん、私が説明してるのにバナナの皮を剥いてます。テバサキがそのバナナの皮で滑って転んで頭を抱えてました。

話聞けや?

あと、やたら皮を床に捨てるの止めなさい。

子供か!


「は、はい。何か甘い匂いがして吊られてしまい申し訳ありません。でも、まるで夢の果物です。こんな甘い果物は街でも出回っていませんので私らにはご馳走なんです」

「甘い果物がご馳走?」

「果物というより、甘いものは街中に売ってません。砂糖は貴重品ですから……」

「砂糖が貴重品?ああ、そういう事ね」

「はい。砂糖は国内生産が出来なくて、遥か南方の暖かい国からの輸入に頼っていました。近年は南方の国も寒くなったらしく、砂糖の輸入も滞りがちなんです」



そう言いながら弟ちゃんにバナナを渡すバーチさん。

弟ちゃん、涙を流しながらバーチさんの手から口に入れて貰ってます。

涙もろい弟ちゃん、でも砂糖が貴重品ならバナナの甘さに涙流すのは仕方ありません。



「だんだん寒くなってるって事?」

「はい、この地もエフェメラル様の結界がなければ雪と氷の極寒の地。全てはエフェメラル様のお陰です」


砂糖の生産に代表的なのはサトウキビ。

でもサトウキビの発芽温度は25度から35度。寒冷化?が進むこの世界では現実的じゃありません。


けれど、甘い糖なら寒冷地でも作れるテンサイがあります。

さとう大根とも呼ばれていて、日本では北海道で生産されいます。


それでも生育温度は5度から30度の範囲内。最適発芽温度が20度前後とされていて、これより低いと生産量に問題が出てくるようです。

また、昼夜の温度差が大きいほど甘くなると言われています。

つまり、完全な寒冷に適する訳ではなく、発芽時はある程度の温暖な気候が必要なのです。

おそらく南方の国で作られているのはテンサイに違いないのですが、それすら滞るとなると、この世界は氷河期進行形なんでしょうか?


そんな世界に冷え性な私。

この先に希望はあるのでしょうか?


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