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第98話 魔力と食材

◆テータニア皇国▪平民街バーチ自宅

カーナ視点



「まずは簡単なデトックス。1日1〜2リットルを目安に水分を摂り体内の滞りを減らして循環を助けるの。極端に摂取する必要はないけど定期に心がける事が大事。あと食材にはデトックス食材というのがあり、基本は食物繊維が多く含まれている物や青菜類で毒素を体外に流し出してくれる。薬味として利用される物にもデトックス食材が多いの。こういった物を摂取し腸内環境を整える事を腸活デトックスって言うのよ」

「そんな食材があるとは……それは具体的に名前などは判りますか?」

「うーん、私の世界なら食物繊維はゴボウみたいな根野菜、青菜類ならホウレン草や小松菜の様な葉物野菜かしら。あと納豆や味噌などの発酵食品があるといいんだけど、この国にあるの?そういった食品を意識して食べる事が日頃のデトックスに繋がるのよ」


懺悔バーチさん、眉間にシワを寄せて考えてましたが首を振りました。

つまり、該当する食材が無い様です。



「今はどんな物を食べてるわけ?」

「皇国で育つのは芋と麦でしょうか。主食はパンで、あとは食材ではないエール原料のホッパーとかです。それ以外はたまに採取して食べるモロヘーイ、それと魔物肉や卵です」

「モロヘーイ?」

「これですが……」



懺悔バーチさん、奥の木箱から灰色の葉っぱを出しました。

何コレ?一見葉物野菜ですが葉が切れたところからヌメヌメ糸を引いてます。

しかも灰色で見るからに不味そう。


でも、形は何処かで見た事が有ります?


因みにホッパーは皇国エール工房で見ましたがホップの同等品。

ただ黒っぽい色のホップでした。

もしかしたらこの国で採れる野菜系は皆、灰色か黒?


「いやこれ、腐った野菜……」

「腐ってませんよ!」

「ああ?何か葉の形が似てるかと思ったらコレ、モロヘイヤに似てるのよ?!」

「モロヘイヤ???」


モロヘイヤは葉物野菜でダントツの栄養素を含む万能野菜。

β-カロテン、ビタミンE、ビタミンK、などの各種ビタミン類、カルシウムやカリウム、鉄などのミネラル類、ペクチンやマンナンといった水溶性食物繊維が豊富に含まれています。

おまけに料理も多種多様。

生でよし、煮てよし、焼いてよし、汁物よし、これを万能と言わずして何を万能と言うのでしょう。


ただ、唯一のリスクが種とサヤ。

モロヘイヤは日本では普通にスーパーに売っています。

ですが、家庭菜園等で育てた方はご存知ですが、モロヘイヤはサヤ状の実を付けます。

当然中は種ですが、実はこれが毒のある部位。

モロヘイヤの種子とサヤには、強心配糖体(強心作用のある成分)ストロファンチジンが含まれ身体に有害です。


意外かと思われますが結構、種に毒がある食材は多いです。

梅干しの種も割ると、お腹が緩くなったりします。(種毒はもしかしたら、植物の生存戦略かも知れません)


あと、葉にも結石等の原因物質シュウ酸が含まれます。

確かにキャベツ▪ブロッコリーなどより多い含有量ですが、ホウレン草より少ない程度。

とりわけ害になる量ではありません。


なお、シュウ酸が多い野菜は料理前に下茹でして使うことでシュウ酸を減らす効果が期待出来、これは奨励されています。

(だから生で食べる事が少ないんですね)


「モローヘイは、色以外はモロヘイヤそっくり。栄養素も似てるのかも。だけど皇国由来の毒素がある?」

「皇国由来の毒素、ですか?」

「魔力を免疫力の一種と考えると、そう考えるのが自然なのよ」

「メンエキ?」


私は弟ちゃんの状態を、極端な免疫力低下による症状だと見ています。


皇国には国土由来の毒素があり、そこで育てた作物がその毒素を吸い上げて内包してしまうのではないかと。

そして皇国人のほとんどに魔力が有り、それが免疫力として作用している可能性。


「単純な話、弟ちゃんが魔力を持てればいい話なんだけど、そもそも魔力ってどうやって有る無しを調べたの?」

「皇国では五歳になると、神殿で魔力測定を求められるんです。魔力量によっては魔法行使や魔道具の作成が可能になりますから」

「魔力測定?」


小学校の体力測定みたいなものでしょうか。

反復横跳び▪たち幅跳び▪握力▪上体おこし▪長座体前屈▪20mシャトルランとか?


「多分、違う事を考えてると思いますが、魔力を測る水晶があって、その輝きや色で魔力量を判断します」


私が首をひねっていると、懺悔バーチさんが再び私の考えを読んで話ます。

成る程、測定機械があり数値化されると。


「有る無しを測るのじゃなく数値化?」

「ええ、魔力量によっては魔法使い、魔道具職人、魔法騎士など、将来の職業選択の道が開けますから」

「は?たった五歳で将来が決まるの?」

「いえいえ、才能が見えただけで、その仕事に付けるかは本人の努力次第です。神殿はあくまでも道を示すもの。寄り道や無駄な努力をする必要が無いと皆、喜んでますよ」


早くから子供の適性を調べて英才教育。

結果が悪かった子との格差に繋がる構図じゃない?

ここでも日本と同じ格差社会。

全国統一テストの結果に一喜一憂した過去の自分を思い出しました。



「うーん、魔力って免疫力だけじゃなく、体力、知力に繋がるものなのかしら。やっぱりファンタジーだわ」

「ふぁんた?」

「とにかく弟ちゃんには、これ迄とは違う別の食材が必要ね。当面の食材は私が出すから、これからは日々それを食べさせて」

「カーナ様が弟の食材をご用意して下さると?」

「まあ、見ててよ。亜空間収納オープン!!」

「な?!」

「わあっ、凄い!」

「コケケ??」



実は私、ビール工場パートの傍ら、スキル花召喚を色々試しておりました。

すると花召喚はいつの間にかバージョンアップ。

種や苗でなく、そのまま野菜や果物をお取り寄せ可能になってました。

そしてそれを、コツコツ亜空間収納に貯め込んで貯蓄していたのです。

何というご都合主義。

素晴らしき異世界ライフに乾杯です。


これが私の集大成。

さあさ、みんな御覧あれ!



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