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第97話 デトックス

◆テータニア皇国▪平民街バーチ自宅

カーナ視点


「ええっ?!」ガガーンッ

(ショックを受けた私、真っ青になってます)

『ゴケっ?!』ガガーンッ

(ショックを受けたテバサキ、羽根が抜けてます。あ、最初からか……)



「あ、あはは、判ってた事ですが、私の技は派手なわりに見かけ倒しなんでした。じゃっ、そゆ事で」シュタッ

『ゴケケ、クエクエッコケケッコッコックエクエッコケケ』シュタッ


え~、この場のドーシヨー感がいたたまれず適当に場を流して退場です。

何故かテバサキが猿マネならぬ鳥マネで私を真似て後に続きます。

こうして私は何事もなく去っていくのでした。

メデタシ、メデタシ。



「カーナ様、全然メデタシじゃありません」



ああ、懺悔バーチさん。

逃げようとした私をしっかりと呼び止めました。逃げられたのはテバサキだけの様です。

私の心の声を的確に捉えております。(何で?)

さっきのキラキラした純真さは何処へやら。

どす黒いオーラを出し、目がギラギラしています。


ヤバいです。

詐欺被害者が加害者を断罪する目をしています。ここは黙秘権行使で逃げ切るしかありません。


パタパタパタパタッ

「…………」


耳を塞ぎ聞こえてない事を懺悔バーチさんにゼスチャーでご連絡。

背を見せシラーと上手く場を離れます。

これならバーチさん達、呆気にお見送り頂けるはず。

そのまま出口を出れは私は逃げ切れ……






「スプリング、エフェメラルさま?」



「ひぃ!?わ、私の名はカーナです。スプリングなんちゃらじゃ………」


しまった、しまった、シマジロウ?!

弟ちゃんに言われ、思わず振り返ってしまいました。

毎回言われるから、つい反論しちゃいます。

すでにパブロフ犬でした。

えっ私、ベルを鳴らしただけでだ液分泌するようになってる?

嫌だなそれ。



「エフェメラルさま。僕の手足はあまり動かないけど、身体の調子は良くなったみたい。あと目もハッキリ見えて、エフェメラル様のお姿が良くわかる。本当に僕の為に来てくれたんですね。有り難う御座います」


あう。

純真ショタが涙を潤ませて私に感謝する姿、感動的で神々しい。

おねーさん、身震いが止まりませんわ!



「ホルス、本当に身体は良くなってるのか?!あの《妖精さん》のご機嫌を取らなくていいんだよ?」

「本当だよ兄ちゃん。だからカーナ様を悪く言っちゃ駄目だよ」



ああ弟ちゃん、えー子や。

ちゃんと解ってくれたのね。

ってバーチさん?

《あの妖精さんのご機嫌を取らなくていい》って、何か私の扱いタダ下がり?!


でもこの子ホントえー子やぁ。

よく見ると将来性有りそうなクッキリした顔立ちで間違いなくイケメンの卵。

懺悔バーチさんの弟ちゃんなのに全く似てなくてそこが良かった?

お目目にお星さまがある王子顔の庇護欲満点スーパーショタじゃない?


こりゃあ、ツバ付けとかなゃあアカンです。

はっ?私の守備範囲が広がってる?!

ショタもいけるって犯罪臭がただ漏れです。

あああ、なんて罪な私でしょう。

でも、いいんです。

Going my way、これが私の生きる道(ショタ▪イケメン鑑賞)なんですから。


「コケケ……」

「煩悩臭いです……カーナ様」


私がこんな事を思っていると、二人(バーチさん▪テバサキ)が呆れ顔で語ってきます。

アンタラ、人の顔見て勝手に心読んでんじゃないわよ!

あら私、そんなに顔に出てたかしら?

不味いわね。

あ、ヨダレか。



「カーナ様、弟を元気にして頂いて有り難う御座いました。これで少しは寿命が……長くなりそうです……」

「そんな奥歯に大量の残飯挟んだ言い方しなくても諦めずに全快させるわよ。私も全力で考えるから。何せスーパーショタ、勿体無いじゃない!」

「スーパー?」

「こっちの話、ところでバーチさん」

「はい、何でしょう、カーナ様」

「上手くいったら報酬にこの子ちょーだい」

「………………」

「や、やーねぇ、冗談に決まってるじゃない。本気にしないでよ。そんな光源氏男の子版狙う訳ないじゃない?わ、私を誰だと思ってるの?神さまなんでしょ?スプリングなんちゃら?そんな神さまが煩悩まみれの話、するわけないわよね。機嫌直そう?ね?」

「……………………………………」


バーチさん、私の言葉にピカソ顔を止めてくれません。

口と目が変なところに行ってて怖いんです。

弟ちゃん、何の事か解らず清らかな顔でニコニコしております。

この子、天使や。



はあ、ちょっと暴走しちゃいました。

(作者▪ちょっとか?)

さてさて軌道修正です。

まずは魔毒病について考察しましょう。




魔毒病とは基本、体内に毒が蓄積され身体の機能が奪われる病です。

原因は皇国で生産される全ての食材に毒が含まれるのが問題で、これはよくわかりませんが土壌が何らかの汚染されているという事かも知れません。


ただ、この世界の住民には魔毒に対する耐性があり、魔毒にかかる人は稀らしいです。

いわゆる日本における難病指定(患者数は18万人または人口の0.142%未満)に属するもの。

具体的な解決方法はなく当然特効薬もありません。

私の銀鱗粉でも効果が限定的。

ならば弟ちゃんと魔毒に掛からない一般市民との差は何でしょうか。


「それは魔力の有る無しの差なんです」

「魔力………」


うーん、ヤッパリこの世界はファンタジー。

魔力ってもの?が有る世界なんですね。

で、懺悔バーチさんの説明では魔力が有れば魔毒は毒にならないとの事。

魔力が有れば毒にならない??

それってもしかしたら…………


「カーナ様?」

「それ、デトックスの差じゃないかしら?」

「デトックス???」

「デトックス、解毒とも言うけど、いわゆる毒素を排出促進させる事。毒素はどんなに注意していても体内に溜まるもの。実は私達は、日頃の一般生活の中で様々な毒素を取り込んでいるの。体内に入った多くの有害物質は通常肝臓で解毒、無毒化される。そして胆汁を使って便の中に排泄されたり、血液から尿に排泄されたするの。割合は少ないけど汗や爪・髪の毛も排泄ルートの一種よ」

「カンゾウ?ハイセツ?それが皆にあって、弟はそれが弱っているから???」

「確かに肝臓の機能が弱まったり、生活が阻害されるくらいの毒素が溜まったりすると、人は免疫力が低下して病気なったりする。だけどその排出力は体質や加齢、生活習慣の乱れでも差が出るもの。ましてこの世界には魔力なんて特殊な事情があるようだから、色々と検討が必要ね」



だからデトックス。

ここを基本に弟ちゃんの(やまい)改善を進めていくのを最善とするしかありません。


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