空からコタツがふってきた!
赤色と黄色の葉っぱが落ちる秋の日。
空からコタツがふってきました。
「びっくりしたね」
「おどろいたなあ」
大きなコタツに、タヌキさんとリスさんはびっくり。
「ねえ、入っていかない?」
大きなコタツが話したので、タヌキさんとリスさんは驚きました。
「ほら、みかんもあるよ」
テーブルの上に、美味しそうなみかんのカゴが乗っています。それを見たタヌキさんのお腹がぐう、と大きく鳴りました。
「おじゃまします」
「はいどうぞ。ごゆっくり」
タヌキさんとリスさんがコタツに入ると、ぬくぬく、ぽかぽか。みかんの皮をむくと、甘酸っぱい匂いが漂います。
「ああ、あったかいね〜」
「うん、おいしいなあ」
タヌキさんとリスさんがぬくぬくしていると、ウサギさんとシカさんがやってきました。
「ねえねえ、入っていかない?」
大きなコタツが話しかけたので、ウサギさんとシカさんもやっぱりびっくり。
「ほら、みかんもあるし、おせんべいもあるよ」
テーブルの上に、美味しそうなみかんとおせんべいのカゴが乗っています。それを見たウサギさんのお口から、たらり、とよだれがたれました。
「おじゃまします」
「はいどうぞ。ごゆっくり」
タヌキさんとリスさんの隣に、ウサギさんとシカさんがコタツに入ると、ほかほか、ぽかぽか。おせんべいの香ばしい匂いもしてきます。
「はあ、あったまるね〜」
「ああ、どんどんたべちゃうなあ」
タヌキさんとリスさんとウサギさん、それにシカさんがパリポリおせんべいを食べていると、イノシシさんとキツネさんがやってきました。
「ねえねえねえ、入っていかない?」
大きなコタツに声をかけられたので、イノシシさんとキツネさんもやっぱり驚いています。
「ほら、みかんとおせんべいがあるし、アイスクリームもあるよ」
テーブルの上に、美味しそうなみかんとおせんべいのカゴ、それからアイスクリームが乗っています。それを見たキツネさんの瞳が、きらり、と輝きました。
「おじゃまします」
「はいどうぞ。ごゆっくり」
タヌキさんとリスさん、ウサギさんとシカさんの隣に、イノシシさんとキツネさんがコタツに入ると、ぬくぬく、ほかほか。アイスクリームがみんなを誘います。
「ん〜、ごくらくだね〜」
「コタツとアイス、たまんないなあ」
タヌキさんとリスさん、ウサギさんとシカさん、それからイノシシさんとキツネさんの後にも動物たちが次々やってきました。
大きなコタツは、動物たちでいっぱいになりました。
みかんやアイスクリーム、絵本やあやとりをして、みんなはぽかぽか、ほかほか。
「ふあああ〜ねむたくなっちゃった……」
コタツの中は心地良すぎて、みんなはうとうと夢の中へ──
「あっ、雪がふってるよ!」
トナカイさんの声で、みんなが起きました。雪がつもって辺り一面真っ白になっていたので、びっくりぎょうてん!
すっかり冬です。
寒さの苦手な野ネズミさんは、あわててコタツの中にもぐりました。トナカイさんとクマさんは、雪をあつめてコタツの上に大きなかまくらを作ります。
「お疲れさま。ほら、おしるこあるよ」
コタツの言葉にテーブルを見ると、あつあつの湯気がのぼるおしるこが乗っています。それを見たトナカイさんの口から、わあ……! と嬉しそうな声がこぼれました。
「おじゃまします」
「はいどうぞ。ごゆっくり」
みんなの隣に、トナカイさんとクマさんがコタツに入ると、ぽかぽか、ほかほか。おしるこをはふはふ、ふうふうして食べました。
「あったまる〜」
「かまくらとコタツ、最高だなあ」
ぬくぬく、ぽかぽか、ぬっくぬく。
ほかほか、ぬくぬく、ぽっかぽか。
ぬくぬく、ほかほか、ほっかほか。
「ふあああ〜ねむくなってきたよ……」
やっぱりコタツの中は気持ちよすぎて、みんなはまたすやすや夢の中へ──
ぽた……
ぽた……ぽた……
ぽたぽた…………ぽたぽた…………
「わっ、大変! みんな、かまくらが溶けてきてるよ──っ!」
ハリネズミさんの大声で、みんながかまくらを飛び出すと、かまくらはぐちゃぐちゃに溶けて壊れてしまいました。
「コタツは──?!」
みんながあわててコタツを探しても見つかりません。不思議なことにコタツもかまくらといっしょに消えてしまいました。
「いっぱいコタツで寝ちゃったね」
「コタツ気持ちよかったね」
「うん、コタツ最高だったね」
また来年も空からコタツがふってくるといいな──
みんなはそう思いながら、春の空を見上げました。
おしまい
読んでいただき、ありがとうございました!
広告の下にあるお星さまを青色に塗りつぶしてもらえると、作者がコタツで喜びます(*´˘`*)
読み回りリンクがあるので、他の作品も読んでくださると嬉しいです……!
別名義ですが、絵本も描いています♪
他サイトですが、よかったら覗いてもらえたら飛び上がって喜びます|ૂ•ᴗ•⸝⸝)”チラッ