道化師殺人事件
私は最近『ダイイング・メッセージ』という小説を読んでいる。
作者の佐々倉栄都は「ミステリーの道化師」の異名を持っている。
そんな私は、佐々倉のSNSを見た。
私はすぐさま、毎日更新しているはずのSNSが更新されていないことに気が付いた。
心は何か削ぎ取られたような気分になった。
私はいつの間にか眠りについていた。
今日もまた県警へと向かう。
行きの電車は窮屈で、ニュースをただ見ているだけだった。
捜査一課へといつも通り歩いていた。
到着するとすぐさま、上司に話しかけられた。
「佐々倉栄都という男の遺体が栄團社の職員により発見された。今すぐ行け!」
「場所は…、近くの奴らについてけ!」
私は驚きを隠したまま、刑事の精神で出発した。
佐々倉の自宅は至って普通だった。
遺体は作業部屋で横たわっていた。
その奥には、普通の紙に書かれたダイイングメッセージ。
「男に俺は殺された」というA4の用紙に書かれた文だった。
私は、まず警察に復帰したばかりの傑に話を聞いた。
「殺されたのは何時ですか?」
「午前2時台です」
「死因は?」
「首に紐の跡があるため、窒息死だと思われますがーー」
傑が口を止めた。
「いや…、頭を鈍器で殴られた可能性もあります。」
髪の毛で隠れた傷がかすかに見えた。
部屋の端には、第一発見者の円良田夏美に話を聞いた。
「あなたは何をしにここに来たんですか?」
「佐々倉さんの、連載小説の納期が過ぎてたんです。なので家に来たら…」
「では、午前2時頃にあなたは何をしていましたか?」
「家で寝てましたけど」
「それを証明できる人は?」
「いませんよ、1人暮らしなので」
「ご協力ありがとうございました」
私は、県警に帰った。
その後の捜査会議では、先輩刑事である熊谷千鶴の報告から始まった。
「自宅付近の監視カメラからは、事件の後に4回、白い乗用車が映っていました。」
「現在、その車を運転していた人物を怪しいと見て捜査を進めています。」
つまり、佐々倉の自宅に2回行ったということだろう。
続いて、新人刑事の江島結城の報告があった。
「机の上に置かれていた『男に俺は殺された』というダイイングメッセージは、
机に置かれていた、A4サイズのスケッチブックで書かれたと見て良いと思います」
つまり、佐々倉は最後の気力このダイイングメッセージを残したということだろうか。
にしては長すぎないか…。
また、『男』という表現から知らない人に殺害されたのだろうか。
私はそんな想像を膨らませながら考えていた。
次は、桜の報告だった。
「死因は、頭を何かで殴られたからだそうです」
「あと、首にあった縄の跡については現在捜査中だそうです」