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証明 〜Gray Secret〜  作者: 狐猫嶺
Ep.1 恨救の傘
5/8

芽生えた想い

詳しい取り調べが県警で行われた。

永田が実行役の牧本に指示を出していた。

そして、牧本は永田に弱みを握られていたため殺さざるを得なかったそうだった。

私は、二人が逮捕された数カ月後、牧本に面会請求を出した。


だが、あっさり断られてしまった。

だけど、どうしても思いを伝えたかった。

「そうだ、手紙も送ろう」

そして私は、牧本への手紙を綴った。


「久しぶり、牧本さん。」と安易な文章から書き始める。


……牧本さんは、弱みを握られていたんだってね。

殺した方も悪いけど、指示したほうがよっぽど悪い。

だからこそ、情状酌量をもらったのは本当に嬉しい。……


手が進むのは、きっと思いが強いから。

手が止まるのは、きっと悩んで書いてるから。

自分の書いていることは正しいと信じて、書き続ける。


……それにしても、この前一緒に飲んだときはとても楽しかった。

だからこそ、釈放されるまでの間は、こうして手紙を送っていたい。

そして、一つ言いたいことがあるんだ。

それは、釈放してから会って話したい。

その時は、メールで教えるから

あと、手紙は返信しなくていいからね!……


思いが溢れてしまった。

まあこんな内容でもいいだろう。


月日は流れ、牧本さんが釈放された。

「夜19時にスカイツリーの前に来て」

メールを送った。

牧本さんからは「分かった」と送られてきた。


夜19時…。

私は少し早めに来てしまった。

周りを見渡すと、牧本さんのいつもの鞄が見えた。

私が牧本さんを好きになった『あの日』と一緒だーー。

私は牧本さんのもとへ駆ける。

「来てくれてありがとう」

牧本さんは少し微笑んで「どういたしまして」と言った。

私は話し始める。

「あのーー、好きでした!付き合ってください!」

言葉が思い浮かばなかった。

牧本さんが話し始める。

「俺も、あの手紙をくれた日から、心が明るくなった。俺の心を救ってくれてありがとう。」

「そして、僕もその日から好きでした。僕で良ければ是非ーー。」

私も牧本さんも笑みが溢れた。

私達は二人で抱き合った。


そして何より、牧本さんの心の雨に傘をあげれてよかった。

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