表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
証明 〜Gray Secret〜  作者: 狐猫嶺
Ep.1 恨救の傘
4/8

怒りの証明

証拠を集めているうちに、太陽が大きく昇っていた。

昼ご飯を食べてから、私は上司に「必ず落としてみせます」と告げた。

私は決戦の場へと向かった。


それから二十分ほど、家に到着した私はインターホンを押した。

私は「県警捜査一課、椿原晴海です。大山さんの事件についてお話を伺いに来ました」と言う。

永田はすぐ出て来て「またか」みたいな顔をしていた。

私は家の中に入った。


私は話し始める。

「あなたは事件当日、外に出ましたか?」

永田は、「それ前も言ったんですけど…。出てません」

同じ質問をする私に呆れているようだった。

私はまた口を開く。

「傘が濡れていたのはなぜですか?」

永田は、少し焦りを見せていた。


私はまた話す。

「今日、昨日には雨は降っていません。あなたが外に出たなら一昨日(おととい)しかないんです」

永田は話した。

「ちょっと外に出ただけで…」

「矛盾してるじゃないですか。外には出たんですね」

このときの私は少し怒りがこみ上げていた。


「話を変えます。大山さんは浮気をしていました。それには気付いていましたか?」

「そうだったんですか?全く気づきませんでした」

私は、この答えを完全に『噓』とみた。

平然と嘘をつかれるのが苛立つ。


「ではまた話を変えます。牧本さんとはどこで出会いましたか?」

「大学ですけど。ていうか、関係ありますか?」

私は永田のこの言葉を完全に無視し、また話す。

「大学の違うお二人、しかも相当遠い…。なのに二人は出会えたんですか?お二人は、東京の「つるかめ劇場」というところで出会ったのではありませんか?」

心の雲が少し晴れた。

きっと雨が降りそうな曇り空ほどだろう。


永田は話しはじめた。

「証拠はあるんですか?」

「ええ、牧本さんに聞きました。劇場には問い合わせてあります。」

空がどんどん晴れていく。

雨が降る様子はない。

「電話では、あなたは当時『No.1』だったと聞いていますよ。」

永田は話した。

「ええ、そうですよ。でも何が関係してるんですか…」

きっと怒ってる。

だけど私には関係ない。


私は話し続ける。

「あなたは、これまでの証言でいくつかの『嘘』を積み重ねていませんか?そしてあなたは、事件現場に行ったのではないですか?偶然を装って…。あなたは大山さんが殺されることを知っていたのではないですか」

そして一息置いてからまた私は言った。

「浮気に怒ったんですよね。」

空の雲はもう少ない。

あともうひと踏ん張りだ。


永田は反論する。

「でもそんな証拠ないですよね…」

私はすぐさま話す。

「大山さんの遺体は、階段から落とされた少し上にあったんです。普通なら痛くて、上になんて登らないんですよ。そこから分かるのは一つ。あなたは、傘を持って行った。そして大山さんは何かを話したかった…。そうですよね?」

「しかし大山さんを殺したのはあなたではない…。ですよね」

「ええ、勿論です。私が樟葉を殺すわけないじゃないですか」

永田は少し笑みを浮かべていた。

「あなたは、最近占いに行っているようですね」

「はい。それが何か?」

「あなたはそこで、近々呪われるとでも言われたのでしょう。そのためには、辿る道を変えなければいけないだとか…」

永田はまた焦りを見せた。

演技がうまくても本当の思いは時折見せてしまうものだ。

「そこであなたは、殺害を牧本さんに委ねたのでは?今日の午前中に、牧本さんを取り調べしたところ、そう話していましたが」

「あなたは、傘を持っていったんですよね。心配を装って」

心の太陽は輝いている。


そしてその瞬間、永田は本性を表した。

「はい、そうですよ、殺したけど何ですか?浮気する最低なやつを殺して何が悪い。最低なやつを潰しただけ。傘を持っていったのも呪われるのを避けたからに決まってる。やっぱりあんなやつに頼まなきゃよかった…」

私は話し始める。

「そもそも殺そうとするのが悪いですけど、大山さんも悪いんです。殺すという選択肢をとったあなたは、きっと大山さんに恨まれていますよ。せめて罪を償ってください。」

渋々と(うなず)いた永田を、私は連行した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ