表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
証明 〜Gray Secret〜  作者: 狐猫嶺
Ep.1 恨救の傘
3/8

二時半の集合命令

目が覚めた。

携帯には「2:30」と映し出されていた。

「んーー。」と疑問を声に出した。

なぜ携帯がついているのか…。

理由はすぐにわかった。

それは「誰かからの通知」であった。

メールが2通届いている。

1通目には、上司から「県警に来い、新たな情報が手に入った」とのメール。

これは30分ほど前であった。

私は「はい。すぐ行きます。」とだけ送った。

2通目には、名前を『スズメバチ』と名乗る謎の人物からであった。

スズメバチからは「あなたの◾◾はわたしの◾◾」とのメールが送られていた。

私は、記憶の一角のことを思い出した。

今は県警に行こう、と思い咄嗟(とっさ)に家を出た。


その後すぐにタクシーを呼んだ。

少し肌寒かったが、タクシーの中は暖かかった。


県警に着き、捜査一課へと向かった。

私は上司の元へ向かった。

上司は私に新たな情報について話しはじめた。

「被害者の彼女、永田は浮気の可能性は感じられないと言っていたが、被害者の周辺を調べると、被害者の浮気相手が見つかった。」

この瞬間、頭の中に『殺した可能性』が生まれた。

上司が続けて話す。

「名前は、花守杏奈(はなもりあんな)。24歳で無職。被害者とは本屋で知り合ったそうです。」

私は単純に「やっぱり」とだけ思った。

私は心の奥底で「なーんだ、それだけか」と叫んだ。

私はまたタクシーを呼んだ。


家に着いた。

私はこの情報から永田が大山を殺害した可能性が出てきたと思った。

浮気の証拠を一つも残さないなんて0%に近しいし…。

そんなことを考えながら昔のことを思い出した。


あれは1年前の夏。

私には荒木進(あらきすすむ)という恋人がいた。

花火大会の前日に進は、私に一枚の写真を送った。

その写真には進自身の姿と、奥にある玄関やリビングなどが写っていた。

だが私は、進の姿には目が行かず、奥の玄関が気になった。

よく見てみると、玄関には女のものと思われる靴や日傘などが写っていた。

私は、涙を流しながら別れを切り出した。


そんなことを思い出しているうちに、眠っていた。

時刻は4:52。

少し早めの出勤をしようと思った。

私は、お気に入りのクロワッサンを食べ始めた。

やっぱり美味しい。


私は事件のことを思い出す。

何かおかしな点はないか…。

そんなことを考えていると疑問が思い浮かんだ。

「被害者は階段から突き落とされたあと、なぜか上に登った…」

そしてもう一つ、思い出した。

「被害者は19時30分頃に家を出て、その頃には雨が降っていない」

「それから20分後くらいには雨が降っていた気がする…」

「傘は持っていなかった…。調べたところによれば被害者は歩いて殺害現場へ向かったんだったな」

「こう考えると、永田が傘を持っていった可能性もある…」

「ちょうど到着した頃には永田は落とされていて、そのときには意識があった…」

点と点が線で繋がった。

私は、急いで準備をして出勤した。


県警に到着した。

私は考えられたことを上司に話した。

「永田は、被害者が落とされたあとの意識があるうちに、傘を持っていき、ちょうど到着したのではないでしょうか…」

不安を含ませながら話した。

だけれど上司は私に鋭い言葉を投げかけた。

「ならなぜそれを永田は証言しない」

私は納得した。

だけれど、永田の家に行ったときには傘が濡れていた…。

永田は「外には出ていない」と話していた。

大山は何らかの理由で上に登ったのは確かだ。

なのになぜ、嘘をつく…。

嘘の証言をする…。

私は苛立ちが止まらなかった。


その瞬間、私は気付いた気がする。

牧本と永田の出会いに…。


私はもう一度あの家へ訪ねようと思った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ