二人の過去
家に着いて、私は手を洗った。
その間に、牧本さんからのメールが2通届いていた。
私は、通知音に気付き、内容を見た。
1通目には「家帰りましたか」と書かれており、
2通目には「今日飲まない?駅前の居酒屋!行けるか教えて!」と書かれていた。
仕事の時とは全く違う言葉遣いに少し笑えてくる。
私はすぐに「ちょうど今帰ったよ!」「行ける!じゃ、またあとでー!!」と2通のメールを送った。
私は駅前までの電車に乗った。
時刻は20時、土曜日なこともあって混んでいる。
私は電車を降り、駅前の「和み家」に行った。
中に入ると、牧本さんの特徴的な鞄が見えた。
私は、「よっ!」と言った。
牧本さんは「あ!やっほ!」と言った。
生ビールを頼んで酒を交わし、30分ほど経った。
話は昔は何をしていたかになった。
牧本さんが先に話し始める。
「俺は、東京の劇場で役者してたんだ」と話した。
私は、驚きを口にした。
また続いて話し始める。
「その劇場でNo.2だったから演技には相当自信あるよ」と笑いながら話す。
牧本さんは「椿原は?」と尋ねる。
私は「喫茶店で働いてた」と口にした。
牧本さんは「えっ!?意外だ」と話した。
それから1時間ほど飲んで私は自宅へ帰った。
私はその後すぐ、お風呂に入った。
私はいつもお風呂の中で捜査したことを思い出している。
忘れっぽい私はその手段を高校生の時から始めていた。
私はいつも通り喋り始めた。
「容疑者と思われた永田にはアリバイが成立している。大山には浮気の可能性は感じられないと話していたな。」
「確か捜査会議で、永田は、地方の小中高に通い、大学は静岡っていうのを聞いた気がする」
ここで一つ私は疑問を抱いた。
それは、『牧本とどこで知り合ったのか』という単純な疑問だった。
「牧本は小中高・大学もずっと東京の学校に通っていたはず…」
出会うはずはない二人はどこで出会ったのだろう。
私の頭には『不倫』しか浮かばなかった。
でもそんなことは考えたくなかった。
私はそのままお風呂を上がり、歯磨きをして何も考えずに寝た。