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こころぼしと、星の水平線

作者: 逢乃 雫

降り続いた翠雨に


葉の色はまた一つ


潤いをたたえて



雨宿りの樹から


謳い出す小鳥たちは



太陽のかけらを


その羽に纏いながら



おだやかな南風に


帆のようにゆれる


カーテンの淡い夏色



虹を待つ空の下で


アイリスの紫が


やわらかに微笑んで



やがて訪れる


星火の夜空へと


羽ばたく小鳥のように




こころの星は


雨上がりの空に瞬いて



北の空に浮かぶ


こぐま座の七つ星



尻尾の先に輝く


ポラリスは


心星と呼ばれて



決して沈むことなく


空を照らし続けて




こころの星は


(そら)の海を見つめて



北斗七星から


春の大三角を越えて



南の空に浮かぶ


帆かけ星



宙を渡る四つ星が


時の水平線を駆けて


夏という港へ




波沿いに辿り着く


紅き夏日星と


かに座の星々



その光は


ささやかでも



たとえ見えなくても


輝いているもの


大切にしたいものが


きっとあるから



こころからことばへ


ことばからこころへ



心という港から


心という港へ



言の葉という船に


想いをのせて




東の空から


溢れ出す天の川



その光の奔流は


星の一つひとつから


できているように



夢や未来という大海も


日々の一滴ずつから



風を信じて


進む日もあれば



同じ風でも


帆の向きで変わる


行き先も、きっと




夏めいていく空に


星を見つめるとき



星たちもまた


この惑星(ほし)を見つめて



見上げた空には


あたたかな風の中を


駆ける帆かけ星



ふり向く空には


やさしく照らし続ける


心星が、


きっとそこに














アイリスは、虹の女神イリスが由来で、小鳥のような紫の花が咲き、花言葉は「良き便り」「希望」です。星火は、5月のことです。


北極星はこぐま座の二等星で、北半球では沈まない星です。真北のこの星を中心に星々が廻るため「心星」として航海の道標とされ、作中では「こころぼし」の意味も込めました。


南の空の「春の大三角」の下に、帆船のような四つ星「帆かけ星」と波のように連なる星々(からす座とうみへび座)があり、西へ辿ると、かに座があります。


かに座の光は地球からはささやかですが、様々な伝説や、色鮮やかなプレセペ星団もあります。この5月は近くに「夏日星」とも呼ばれる火星が明るく輝き、目印です。


夏へと向かう花や星をモチーフに、詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ポラリスとは心星と呼ばれているのですね。 沈まない星を心に持っていたいなと 逢乃さんの詩を読んで思えました。 そしてその星は優しく何かを照らせるような ものでありたいですね。 翠雨、…
[一言] このところ、雨が降る日もあって、ちょっと憂鬱だなあなんて思ったりもしてしまったのですが。翠雨という言葉、潤いをよろこぶ自然や生き物の描写から、私の心も潤いを取り戻した気持ちになれました。 ま…
[良い点] こころぼしって何だろう? と、 わくわくしながらこちらの作品を拝読致しました。 逢乃様の詩は、内容はもちろんですが、タイトルも素敵で惹かれます。 「心星」……北半球では沈まない星なのです…
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