表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/10

第9話 撃退のムキデレラ

 数分前、もうすぐでお城に着くというところでムキデレラはお城の屋根を飛び回るバッタのようなものに気が付きました。

 ムキデレラは余計な火を使うなと言われていたので暗闇の中動き回っておりましたので夜目が良く利く方でしたし、何より今宵は満月でしたのでとても良く見えました。


「む?」


 目を凝らしたムキデレラはバッタの正体を見ました。

 全身黒づくめの人間でした。

 その人間達はロープと剣を持っておりました。

 武道会への参加者でしょうか?にしてはドレスコートがなっていません。


 黒い人間達が上の方への窓に何かを投げ入れ、一斉に飛び降りました。

 途端に響き渡る悲鳴にムキデレラは察しました。


 これは参加者ではなく、ルールも守れずに乱入して暴れる不届き者だと。


 ムキデレラは怒りました。

 自分でさえキチンとドレスコートを整えてきたのに、そんなことは許さないと。


「スレイプ!!!突撃よ!!!」

『ヒヒヒヒヒーーーーン!!!』


 門番がムキデレラに驚き尻餅を着き、入り口の階段を蹴っ飛ばして上がった先にはたくさんの兵でひしめいていました。

 みな何処かへと行こうとしているみたいですが、どうやら前方でつっかえているようです。


「おどきなさい!!!」


 ムキデレラの声に呼応して、馬は大きく跳躍しました。

 普通の馬はここまで飛びませんが、ムキデレラと共に鍛えてきた筋骨隆々な馬だから出来る芸当でした。


 着地の際、兵士の武器をへし折ってしまいましたが、些細な事です。


 固く閉ざされた門の前でムキデレラは声を張り上げました。


「不法侵入者ああああああああああああ!!!!!!!!!!!」


 ムキデレラはナックル付きの拳で扉を殴りますと、内側から掛けられていた鍵も何のその、バキバキに砕けて扉か大きく開きました。


 一体何事かとフロアの人間達が一斉にムキデレラへと視線を向けました。


 色鮮やかな人達に交じり、明らかに場にふさわしくない黒いの連中に向かってムキデレラは怒鳴りました。


「ドレスコートも出来てない不届きものらよ!!!筋トレからやり直しなさい!!!!」


 馬から飛び上がったムキデレラは近場にいた黒いのから順に殴り飛ばしていきました。

 もちろん黒いのだって、ただやられるやけにはいきません。

 武器を取り出し、一斉にムキデレラへと襲い掛かりました。

 しかしそんな攻撃も、お屋敷の牛の暴走に比べたら可愛いものです。鶏を食べようとやってくる狼に比べたら全く連携がなっていません。

 剣をヒールで蹴り折り、ドレスの裾を目隠しに殴り飛ばし、最後に高そうな男の人の近くにいた黒いのに向かって強化ガラスのヒールを投げつけてやりました。

 顔面ど真ん中に命中した男は鼻血を流して転倒しました。


 ふう、と手を叩くムキデレラ。これで掃除は終わりです


「き、君!!!凄いじゃないか!!!是非私と踊って下さい!!」


 そんなムキデレラに笑顔で駆け寄ってくる人がおります。先ほど剣を首に宛がわれている人でした。

 男の言葉に首を傾けたムキデレラ。


 オドル?武道会でオドルとはどういう事でしょう。

 そういう競技なのでしょうか?

 そう言えば以前、男に踊って勝負する競技があるというのを聞いたことがあります。


 なるほど、武道会といっても競技が殴りあいだけとは限らないと、ムキデレラは自分の視野の狭さを恥じました。

 今私はこの人に勝負を挑まれている。

 なら、受けなければならない。

 この筋肉に掛けて。


 男の手を取りムキデレラは踊り始めました。

 とはいえムキデレラはダンスを知りません。

 せいぜい猫のやんのかステップが関の山です。

 なので跳び跳ねながら何とか男の動きを観察していると、男が突然閃いたような顔で躍りのリズムを変えました。

 素敵な音楽が響き渡ります。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ