表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
万引きJKGメン、盗賊に転生する。  作者: ざとういち
18/21

第18話 不運

死神(ライフスティール)”と交戦するレオ。しかし、彼のスキルである“ギャンブル”で生み出したサイコロ2つは、唯一のハズレである“1”を出して並んでいた。


「どうしたの?攻撃しないの?」


死神(ライフスティール)”は鎌を解除して素手になっていた。


「くッ……!!」


“1”を出したレオには戦う術がない。挑発には乗らす、距離を取りつつ再び1分経つのを待った。


レオはリスクを少しでも減らしたい心理状態になり、振るサイコロをひとつにする。


「……頼むッ!!」


“1”だった。レオは青ざめていた。普通は1が続けて出るなんてことは珍しいことではない。だが、運が良い時のレオが“1”を出すことはありえなかったのだ。


「な、なんで……ッ!?」


素手のまま“死神(ライフスティール)”がレオへ迫った。ショックで硬直しているレオをそのまま蹴り飛ばした。


「ぐあぁッ!!」


細身の男のただの蹴りで、レオの顔は激痛で歪んでいた。レオの打たれ強さすら最弱になり、なんてことない攻撃で大ダメージを受けてしまっていた。


「君の能力。面白いね。

 自分で自分をそんなに

 弱くしちゃうなんてさ。」


死神(ライフスティール)”は地面に倒れているレオを見下ろしながらクスクスと笑っている。


レオは倒れながらコイントスをする。


「お、表。」


「……う、嘘だろ。」


裏だった。今日は運が良いはずだった。実際能力はフルに使えていた。それなのに何故かコイントスは運の悪さを表していた。


諦めきれずレオは再びサイコロを振る。


“1”だった。何度振っても“1”が出てしまう。


「あ、あぁ……。」


レオは絶望していた。先程までの威勢の良さは鳴りを潜め、変わることのないサイコロの目をずっと見つめ続けている…。


「ふふふふ。」


そんなレオの姿を満足そうに眺める“死神(ライフスティール)”。もはや勝敗は決していたが、レオに何故サイコロの目が“1”しか出ないかを説明し始めた。


「さっき鎌が当たってたよね?

 あの時奪ったのは君の命じゃない。

 ……君の運気だよ。」


「運気は人間の命と

 切っても切り離せない物だ。

 だから命を司る僕の能力で

 奪えちゃうんだよね。」


「…………。」


レオは何も言葉を返すことが出来なかった。“死神(ライフスティール)”は、何も反応しなくなってしまったレオに不満そうな顔をしていた。


「あ〜あ。つまんないな。

 もっと遊べると思ったのに。」


死神(ライフスティール)”は再び鎌を構える。今度は命を奪うつもりだった。


「さっきのでいっぱい

 命使っちゃったからさ。

 やっぱり君で補充させてよ。」


鎌を振り上げる“死神(ライフスティール)”。レオはそれをただ呆然と眺めることしか出来なかった…。


「レオッ!!」


突然、少女の声が辺りに響く。猫耳のシルエットが“死神(ライフスティール)”を鋭い爪で攻撃する。


「くっ……!?」


マイカだった。ツムギから力を借り、嗅覚と聴覚を強化させてレオの後を追っていたのだ。


「大丈夫!?レオ!?」


「マ……マイカ……。」


マイカは、目の前の人物がレオだと信じられなかった。あまりにも弱々しく、生きる希望を失ったかのような目をしていた…。


「レオに……何をした……!?」


マイカの髪が逆立つ。牙が生え、爪が伸び、猛獣の力を解放していた。


「君も見たことない顔だ。

 それなのにツムギと同じ能力。

 面白いね。君も。」


「……いや、そういえば

 噂を聞いたことがある。」


「万引きJなんとかのマイカだっけ?

 相手の能力を奪う厄介な力を

 使う少女がいると、一部の盗賊の

 間では話題になっているよ。」


死神(ライフスティール)”はマイカのスキルを警戒していた。強力な能力を使う存在ほど、能力を奪われた時のリスクは高いのだ。


「僕の力、奪われたくないし。

 もういいや。帰るよ。」


「帰れると思ってるのッ!?」


マイカが“死神(ライフスティール)”に飛び掛かろうと体を縮める。次の瞬間、“死神(ライフスティール)”はレオを狙って斬撃を飛ばしていた。


「思ってるよ。」


「“命の切断(ライフイントゥ)”!!」


「……ッ!!レオっ!!」


マイカはレオを抱えながら斬撃を回避した…!…“死神(ライフスティール)”は姿を消していた。


マイカは匂いを追って追跡しようかと迷ったが、放心状態のレオをほうっておくことは出来なかった。



…レオを連れ、馬車に戻ったマイカ。そこで目に入った物は、ベッドで苦しんでいるツムギの姿だった。


「ツ、ツムギ……?」


恐る恐るツムギに歩み寄るレオ。ツムギは虫の息と言えるほど弱っていた…。


「……さ、さっきお医者さんに

 診てもらったんですけど……

 て、手の施しようがないって……!」


リナが涙を溢れさせながら、嗚咽を漏らしてその場に崩れ落ちた。レオは棒立ちのまま、そのまま動くことはなかった。


リナの泣き声が馬車に響く。マイカはそれを聞きながら拳を震わせていた。


(な、なんで……?なんでツムギとレオが

 こんな目に遭わないといけないの……?)


マイカは一人馬車の外へ出る。それに気付いたリナは、涙を流しながら慌てて後を追った。


「待ってよマイカ……!!」


「あいつにはレオさんでも

 敵わなかったんでしょ!?

 マイカ一人でどうする気なの!?」


「ウチには“オールハント”がある。

 能力を奪えば、ツムギの寿命を

 元に戻せるかもしれない……!」


「でも“オールハント”を

 使っても、相手は能力を

 所持したままじゃない……!?」


「生きて帰れなかったら

 元も子もないわよ……!?」


マイカは頭を冷やす。リナの言う通りだと、友達の言葉に耳を貸した。


「うん……。そうだね。ごめん。

 ……だから、協力してくれる?」


「2人であいつを倒そう。」


「……っ!!」


「それがウチらの……。

 2人への恩返しだよ!」


リナは涙を拭う。果たせていない2人への恩返しを今こそ果たそうと、マイカの覚悟に共鳴し、頷いた。


それを見たマイカが、懐から1枚の布切れを取り出す。


「それって……。」


死神(ライフスティール)”が体に巻いていた包帯だった。マイカは爪で攻撃した時に“死神(ライフスティール)”から引き千切っていたのだ。


「これで匂いを追える……!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ