第14話 万引きJKGメン、敗れる
休日を楽しんでいたマイカたち。しかし、突如現れた下着泥棒により、楽しいひと時は崩壊していた。
「ど、どうしよう……。
あ、あれが無いと……
ウチの替えの下着が……。」
「そこ!?違うでしょ!?
いや、それもあるけど!!」
「でも下着が無くても別に大丈夫だよ!
あたいはたまにそういう日あるから!」
「えぇっ!?だ、駄目でしょ!!
特にツムギは絶対着けてないと駄目!!」
意識の低い2人に翻弄されながら、リナは冷静に状況を確認する。
「やっぱりこれは下着泥棒……。
釣りを始めてまだそんなに
経っていない……。そう遠くへは
逃げていないはず……。」
「ツムギ……!猫の力で
匂いが分かるんでしょ……!?
お願い!怪しい匂いがないか
急いで探して……!!」
「わ、分かった……。
やってみる……!」
涙目になりながら懇願するリナ。ツムギは猫の嗅覚を鋭く高め、洗濯物があった場所を念入りに嗅いだ。
「嗅いだことのない強い匂い……。
これなら後を追えるかも……!」
「やった……!ありがとうツムギ……!
じゃあ、みんなで私たちの下着を
取り戻しましょう……!!」
「お、オー。」
「なんでそんなにテンション低いの!?」
イマイチやる気のない2人に困惑するリナ。一行は下着泥棒の追跡を開始するのであった。
一方その頃、アジトへ向かって歩いていたハムは、スタミナが切れていた。
「はぁ……はぁ……。ひ、日頃の
運動不足が祟ってもう体力が……。
こ、こんなところで某の夢を
諦める訳にはいかない……!」
「マイカ氏、リナ氏、ツムギ氏……。
某に力を貸してくれ……!」
被っているヒョウ柄のパンツを撫でるハム。そこから力を貰い、無事アジトへ帰還しようと奮起する…!
「あっ!あれじゃない!?
下着泥棒って!!」
「げげっ!?」
最後の力を振り絞ろうとした矢先、ハムはあっさりマイカたちに追い付かれていた。
「あっ……!!あのパンツは!?」
見覚えのある派手なパンツ。頭に被っているパンツに一同は動揺を隠しきれなかった。
「そ、そんな……。あ、あれを
か、被るなんて……。」
「や、やっぱり変態さんなの……!?」
「ツムギ!見ちゃダメ……!!
あなたには刺激が強すぎる!!」
リナは慌ててツムギの目を覆う。彼女たちの動揺する姿を見て、何故か興奮し始めるハム。
「ふふふふ……?どうだね諸君?
某は君たちの体の一部と
同化しているのだよ?」
「もっと恥じらうが良い……!!
フハハハハハハハハッ!!」
圧倒的な威圧感に思わず怯む一同。リナは負けるものかと一歩前に踏み出す。
「下着を返しなさい……!
さもなくば、撃つ……!!」
手のひらをかざし、“水鉄砲”を撃つと威嚇するリナ。しかし、それでもハムは強気な姿勢を崩さない。
「撃てるものなら撃ってみるが良い。
ただし、水で君たちの下着は
びしょ濡れになるだろうがね……。」
「せっかく乾かしたのに、次濡れたら
夜までに乾かないかもね……?
今日の下着を明日も着続けたら
臭っちゃうかもよ……?」
「それとも、明日はノーパンノーブラで
過ごすのかな?アハハハハハッ!!」
「くっ……!!外道が……!!」
下着を盾にされ、“水鉄砲”を撃つことが出来ず、リナは唇を噛み締めていた。
リナの悔しそうな顔を見ると、今度はツムギが前に出る。猫の力を攻撃に転換しようと手足に力を込める。
「友達が困ってるの……!!
大人しく下着を返して……!!」
「返せと言われて返す
盗賊がどこにいるのですかな?」
「じゃあ、力尽くで……!!」
ツムギがハム目掛けて飛び掛かった…!マイカもリナもツムギの勝利を確信していたが…。
「にゃっ!?にゃにゃーん♡」
次の瞬間、ツムギが甘い声を出して地面に転がっていた。唖然としてその様子を見ているマイカとリナ。
「こんなこともあろうかと
用意していたのですよ……。
ツムギ氏対策のマタタビをね!」
ツムギは惚けた顔でマタタビにじゃれついていた。明らかに戦闘不能な状態だった。
「つ、強い……!!」
次々と弱点を突いてくるハムに、マイカは恐れを抱いていた。だが、マイカは友達のために戦う決意を固める…!
「ウチは万引きJKGメンのマイカ……。
人の大切な物を盗む人間を
ウチは絶対に許さない……!!」
「偉そうに吠えますが、
あなたは盗賊専門の盗賊の
一員ですぞ?盗人に
変わりないですぞ?」
「そう、ウチらは盗賊。
盗賊なら、盗賊らしく。
ウチも好き勝手に自分の
理想を押し通す……!!」
「ぐッ……!?」
芯の強い瞳。論破出来ると踏んでいたハムだが、マイカの掲げる信念に圧倒されていた。
ハムが怯んだ隙に、マイカはハムの能力を奪おうと一気に接近し、ハムの体に触れた。
「“オールハント”!!」
「…………。」
「…………え?」
「フフフフフ……。」
驚愕するマイカを見て、不敵に笑うハム。ハムはマイカの“オールハント”すら攻略していた。
「な、なんで……!?
の、能力が奪えない……!!」
「当然さ。某には能力なんて
何も“無い”んだからね!!
ハーッハッハッハッハッ!!」
初めての事態にマイカは困惑する。震えるマイカにハムが至近距離に接近していた。
「どうだい?驚いたかね……?
能力が奪えない君など
何も怖くないんだよ……?」
「あ……あぅ……。」
「ちょ、ちょっとマイカ!?
しっかりして……!!」
“水鉄砲”と猫の力を封じられ、さらには“オールハント”をも無効化されたマイカたち。心が折れたマイカは戦意を喪失し、立ち尽くしてしまった。
ハムはマイカの精神をさらに汚染しようと、最後の切り札を使おうとしていた…!
「動けないのかい……?
可哀想に……。この際だから
“本人”も某のコレクションに
加えようかな……?フフフ……。」
「この下着のように。大事に大事に
保管してあげるよ……。このとっても
恥ずかしいヒョウ柄の下着は、
一体誰の下着なのかなぁ……?
フフフ……。君かなぁ……マイカ?」
「え?それレオのだけど?」
「え?」
ハムは固まった。そんなはずはないともう一度マイカに確認する。
「いやいや、この下着は
マイカ氏、リナ氏、ツムギ氏の
誰かの下着じゃ……。」
「いやだからレオだって。
ツムギの“お兄さん”の。」
ハムの中で何かが砕け散っていた。
「う……。」
「うぎゃあああああああッ!?」
マイカの精神を汚染しようとしていたハムは、思わぬカウンターを喰らい、逆に一気に精神が汚染されてしまった。そのまま泡を吹きながら白目を剥いて倒れた…。
マイカたちは美少女ハンターのハムに勝利し、なんとか下着を取り戻すことが出来た。
「な、なんだったのこいつ……。」
リナはハムに呆れながら、これから下着を干す時は、二度と洗濯物から目を離さないようにしようと心に誓うのだった…。




