第1ゲーム
参加メンバーが全員集まり主催者のソール社長からルールの説明が入る。
「改めて、今日は集まってくれてありがとう。今回は新しく4名参加してくれた。それぞれ自己紹介をお願い」
「まず僕からですね。『バイオハザード』シリーズや『夜回り』などのホラーや『テイルズ』シリーズや『ファイナルファンタジー』シリーズなどRPGのゲーム実況をしているヴァイオレットです。以前から参加してみたいと思ってたんです」
「バイオの実況は見てるよ。僕のおすすめは初見攻略と縛りプレイかな。今度のReの新作も実況するんだよね?」
「オーム課長、見てくれてるんですね。ありがとうございます。もちろん実況しますよ。Reの新作ももちろん実況しますよ」
「『フォートナイト』や『APEX』などのFPSを中心にゲーム実況をしているメビウスです。今まで培ってきた技術を使って活躍しますよ」
「あまり本気を出さないでね?メビウスちゃんが本気出したら人狼関係なく全滅しちゃいそう」
「大丈夫ですよ、ペッパーさん。怪しくなければ攻撃しませんから」
「自作のイラストの作成過程やイラスト講座をしている空色パレットです。ルナさん、シーロンさんの紹介で来ました」
「いつも動画のサムネありがとね、パレット」
「こちらこそ、曲の提供ありがとうフございます、ルナさん」
「シーロンさんと同じく『小説家になろう』で小説家デビューしているながれザクラです。絶賛1巻発売中の『桜散る青春』よろしくお願いします」
「どんな小説なの?」
「ある私立高校に通う普通科のある男子生徒が個性が強い芸術家コースの生徒と青学生生活を送る恋愛小説です」
「新メンバーの自己紹介を終えたところで、ルールを説明するぞ。今回は13名だから村人8人狼3共犯者1吸血鬼1で進めよう。特殊ルールはなしでエリアはランダム、貿易も変更なしのスタンダードで。それではスタート」
ソール社長の掛け声で役割が発表されスタート地点に飛ばされます。最初の役割は村人、エリアは密林エリアですね。まずは敵Mobを探してコインを手に入れなくちゃ。
密林を進んでいくと敵Mobである毛玉を3体見つけました。早速初期装備である木の棒を持って叩きに行きます。プレイヤーは最初木の棒とステーキ2枚が配布されます。
普通の敵Mobなら3体ぐらいなら問題ない。多少のダメージは無視し毛玉を叩き続け倒します。コインは2枚、まあまあかな。
さらに進んでいくと初プレイヤーと遭遇です。今回初参加のヴァイオレットさんです。ヴァイオレットさんは毛玉10体に追われてました。さすがに危ないだろ、それ
「ヴァイオレットさん、手伝いますね」
「お願い、シーロン君」
毛玉の群れの後ろからポコポコ叩き、前からはヴァイオレットさんが叩き倒す。お互いステーキを食べて体力を回復する。
「シーロン君助かったよ。最初は3体を相手していたんだけど次々集まってきたんだ。もうちょっとでショボ死するところだったよ」
「初参加最初のターンでショボ死は嫌ですもんね」
ショボ死とは敵Mobに倒される・エリア外に落ちる・落下死などのプレイヤー以外の要因で死ぬこと。ショボ死は絶対あり得ないという時によくおこり、いろいろな憶測を生むから。ヴァイオレットさんとはその場で別れ僕はショップを探すことにする。さっきの戦闘でコインが合計6枚になったからね。
ただ今の感じヴァイオレットさんは吸血鬼ではないと思う。吸血鬼だったら逃げる必要がないし(吸血鬼ムーブ)、初参加初ターンで偽装する余裕もないだろうし。これが2ターン目以降なら吸血鬼ムーブなのか騎士の祈りを使用したのかわからないけど。
さて近場のショップで買い物を始める。ステーキは確定として残り5枚、ここで村人ムーブとしては
・ひたすら占い師の心で人狼・吸血鬼(人外)を探す
・よりたくさんのコインを集めるために魔物狩りの剣を買う
・対人戦ができるようにグレネード+ハンドガンを買う
今後の動きも見たいから最初は魔物狩りの剣を買おう。30階しか使えないけど敵Mobなら一撃で倒せる。これで毛玉を見つけ次第殲滅だ。
『朝を迎えました。会話が可能となります』
「皆、生きてる?」
ソール社長の生存確認に関してみんなが返事を返す。お、最初の夜は誰も死ななかったみたい。それからは情報収集が始まる。まずはさっきのヴィオレットさんの話だ
「最初、毛玉3体と戦ってたんですけどわらわらと周りから集まって10体の群れとと戦うことになったんですよ」
「それは危ないですね。初日からヴァイオレットさんショボ死するところじゃないですか?全員倒したんですか」
「シーロンさんが途中から助けてくれて倒すことができました」
「いきなり目の前の道をヴァイオレットさんと毛玉の群れが通り過ぎるんですよ。さすがに初参加の人は見過ごせないでしょ?HPも満タンでしたし」
そんな僕のコメントに雷オ副社長からツッコミが入る。
「他のプレイヤーだったら助けなかったの?」
「HPが減っていて前回参加組なら無視していたかもしれませんね。だって自分の身は大切だから」
「誰か占いした人はいる?」
ソール社長が占い結果を聞いているけど誰も占っていないみたい。これは次のターンで占った方がいいかもしれない。
そして次の夜が始まる。とりあえず魔物狩りの剣を使いきろう。エリア内をさまよいながら毛玉を倒しているとソール社長とアイアンさんに出会った。
「こんにちは」
「こんにちは。シーロンは早速魔物狩りの剣買ってるんだな?」
「はい、コインが欲しいんですよね」
「シーロンはヴァイロン意外に誰かと会った?」
「いや、まだ会ってないですね。そっちはどうですか?」
「こっちもまだ。でもそろそろ占いたいよな。2ターン目だからそろそろ動きそうだし」
確かに今夜あたり人外勢が動きそうだしね。僕は2人と別れコイン集めを続ける。さっきの二人は人外ではないと思うんだよな。だって人外コンビなら僕倒せてたもの。ただ丁度アイテムが無かったときのことも考えないといけないから二人が生きている間はワンセットって考えとこう。
魔物狩りの剣を使いきって手に入れたコインは12枚、なかなかの戦果だ。さて魔物狩りの剣は確定として一度占い師の心を買って占いをしよう。占い師の心を使うとメンバーのリストが現れ職業を判別することができる。相手だけどやっぱりあの人かな。
『ソール社長は村人です』
さっき会ったソール社長を占った。これでソール社長は結構安心。となるとアイアンさんも結構安心かな。
再度魔物狩りの剣を買い毛玉を狩っていると
「あ、シーロン!」
ルナと空色パレットに遭遇した。ルナの手には魔物殺しの剣がある。
「二人は一緒にいるんだ」
「ええ。偶然会ったのよ。シーロンは一人?」
「ああ」
二人とはそれで別れ毛玉を狩っていると
「あ、占い師の心ドロップした」
これはラッキー。でもすぐには使わないでおこう。そろそろ動きがありそうだし。
『朝を迎えました。会話が可能となります』
「皆、生きてる?」
ソール社長の生存確認に返事をしないプレイヤーが二人いた。オーム課長とハッピーだ。これはとうとう犠牲者が現れたみたい。まず倒されたであろう二人の目撃情報を聞いたけど誰もいないみたい。それから占い結果などの情報共有が行われる。
「シーロンですけどソール社長&アイアンさん、ルナ&空色パレットに会いました。そして占った結果ソール社長は村人です」
「シーロン君、ありがとう。これで俺は白確かな?共犯者じゃなければ」
ソール社長はながれザクラさんにも占われていて村人だったからほぼ白確。それからミミ部長からルナに向けて村人判定が出ていた。
「とりあえず、占いを進めて人外を特定しよう」
えーと、今の状況は
シーロン・・・村人
ルナ・・・村人?
ソール社長・・・村人確定 共犯者の可能性あり
雷オ副部長
ミミ部長
オーム課長・・・死亡?
ペッパー
アイアン
ハッピー・・・死亡?
ヴァイオレット
メビウス
空色パレット
ながれザクラ
だな。これは『霊媒師の遺灰』で2人の死亡を確定させた方がいいかもしれない。とりあえず魔物狩りの剣を消費しよう。近くにいた毛玉に攻撃してみるが
(あ、ダメージが2倍になってる。吸血鬼が『吸血鬼の威圧』使ったな)
魔物狩りの剣があるからって複数の敵を相手してたら死ぬかもしれないな。慎重に行こう。そして毛玉を倒しているとハンドガンをドロップした。集まったコインは8枚か。先に遺灰を買ってから考えよう。
『霊媒師の遺灰』を使ってみると
シーロン・・・
ルナ・・・死亡
ソール社長・・・
雷オ副部長
ミミ部長・・・死亡
オーム課長・・・死亡
ペッパー
アイアン
ハッピー・・・死亡
ヴァイオレット
メビウス
空色パレット
ながれザクラ・・・死亡
5人死んでるんだけど。えーと、新しく死んだのはルナ・ミミ部長・ながれザクラだ。待てよ、ルナが死んでるのにパレットは生きてるってことは人外か?さっきの残ってた占い師の心があるから。
『空色パレットは吸血鬼です』
パレット、吸血鬼じゃん。初参戦初戦で吸血鬼って運があるのかないのかわからないな。さすがに吸血鬼だとほっとけないもんな。本当は魔物狩りの剣を買いたいところだけど、手元にはハンドガンがあるから捜索用の『プロビデンスの眼光』・襲撃用の『透明化のポーション』。
それから夜のターンの間毛玉を倒しつつパレットを探した。そして朝になる時その姿を見つけた。ナイスタイミング。
『朝を迎えました。会話が可能となります』
『透明化のポーション』を飲みゆっくり近づこう。
「皆、生きてる?」
パレットの背後に周りハンドガンを取り出し
「パレット、生き パーン」
「え、パレット?」
「大丈夫?」
「こちら、シーロンです。先に報告したいことがあります。昨日遺灰を使ったところルナ・ミミ部長・オーム課長・ハッピー・ながれザクラが死亡していました。前のターンでルナとパレットが一緒にいたのにパレットだけ生きてるのは怪しい為占ったらパレットは吸血鬼でした。なので殺しました」
「ナイス。これで吸血鬼はいなくなった」
「一応シーロン以外の誰かが占いで確認した方がいいな」
「誰か占い結果はある?」
「ペッパーさん占いました。人狼です」
「僕もペッパーさん占いました。同じく人狼です」
「雷オ、アイアン、ナイス。これでペッパーは確定だな。何かペッパー言い訳ある?」
「二人に占われてたらどうしようもないじゃん」
「よし、雷オ発見次第討伐で」
今の状況は
シーロン・・・村人
ルナ・・・死亡
ソール社長・・・村人確定 共犯者の可能性あり
雷オ副部長
ミミ部長・・死亡
オーム課長・・・死亡
ペッパー・・人狼
アイアン
ハッピー・・・死亡
ヴァイオレット
メビウス
空色パレット・・・死亡
ながれザクラ・・・死亡
残り人数は7人。仮に人狼が3人とも生きているとしたらあと一人村人陣営が死ぬと人狼勢の勝ちだから早くペッパー(人狼)を倒さなくちゃ。それとペッパーを人狼と特定したアイアン・メビウスは村人と考えていいからあと占われていないのは雷オ副社長とヴァイオレット。最悪2人共人狼の可能性があるから占って確定させたいところだ。
魔物狩りの剣を使いきり毛玉を倒す。今のコインは11枚、ここは時間との勝負な気がするから占い師の心を優先して、プレイヤーの位置も知りたいからプロビデンスの瞳も買おう。
『雷オ副社長は村人です』
シーロン・・・村人
ルナ・・・死亡
ソール社長・・・村人? 共犯者の可能性あり
雷オ副部長・・・村人
ミミ部長・・死亡
オーム課長・・・死亡
ペッパー・・人狼
アイアン
ハッピー・・・死亡
ヴァイオレット・・人狼の可能性大
メビウス
空色パレット・・・死亡
ながれザクラ・・・死亡
プロビデンスの瞳も使おう。すると周りに人の姿をした光が現れる。使用した俺は光らないから全員生きてたら6個光があるはず。あ、今2個光が消えた。後は2個、めっちゃ人が減ってる。距離が開いてるから誰が残ってるかも確認できない。でも後人狼は一人、ここは次の朝の話し合いで生き残ってる人を確認して動いた方がいいからコイン稼ぎをしよう。
マップを動きながら毛玉を木の棒で倒していると目の前に金色の毛玉が現れる。あ、これはレアエネミー。倒すのに時間かかるけど確定で5コインもらえる。これで次の夜まで商人の近くで隠れていよう。そして
『朝を迎えました。会話が可能となります』
「メビウス、シーロンが人狼だ。光った後生き残りを霊媒師の灰で確認して占ったから確実だ」
な?先手を取られた。これはソール社長が人狼だ。占いでは村人だったけど本当は共犯者で、アイテム(共犯者の人形)の効果で役割を入れ替えたな。でもソール社長を占ったのがメビウスだろう。信用度が違いすぎる。とりあえず反論だけはしとかないと
「俺じゃないよ。ソール社長じゃないの?」
「俺はメビウスに占ってもらって白だったから。シーロン諦めるんだな」
結局疑いを晴らすことはできなかった。これは2体いと考えたほうがいい。村人陣営の勝利条件は
・2人に狙われながらソール社長の身を倒す
人狼陣営は
・俺かメビウスどちらか倒す
圧倒的に村人陣営が不利だ。どっちに転んでも先にメビウスに会うしかない。となるとこれらのアイテムを買った方がいいな・・・
それから数分後、目の前にハンドグレネードが飛んで来る。俺は手で持っていたプロビデンスの瞳を使う。
「あ」
あたりにハンドグレネードの光が包む。その光で俺は目が見えず、動けない。
(なんで最後プロビデンスの瞳使ったんだ?操作ミスか?)
俺はこのゲームを終わらせるために手裏剣を取り出す。下手に近づいて抵抗されたくないし、騎士の守りからの反撃で逆転されたくないからな。メビウスも向こうの方で光ってるから完璧だ。そして
パン
第一試合が終了した。結果は
『村人陣営の勝利です』
「え?どうして?」
驚いている俺の肩を同じ陣営だったペッパー・ヴァイオレットが叩く。
「最後の朝まで完璧だった」
「でも最後間に合わなかった」
「どういうこと?」
さて、最後の夜に何があったかというと・・・
僕はいくつかのアイテムを買ってマップ内を動き回る。早くメビウスに会わないとこちらの勝ち目はゼロだ。でもプロビデンスの瞳を使えば向こうにも居場所が分かるから使えない。
パン
大きな樹の側を抜けるとスナイパーライフルの弾丸が当たった音がする。でも事前に騎士の守りを使ってるため一発は大丈夫。でも周りを見てもプレイヤーの姿は確認できない。これは賭けに出るしかない。
僕はその場で遠くに『占い師の心』と『スナイパーライフル』、残りのコインを投げその場で座り込み手を上げる。その状態で10秒ほど経つと樹の影からメビウスが現れる。メビウスはこちらにハンドガンを構えながら俺が投げたアイテムを拾う。お願いだから意図を理解してくれよ。俺はうしろを向きメビウスにあるアイテムを使わせる時間を与える
シーロンを見つけたのでスナイパーライフルで狙撃したけどまだ生きているわ。これって騎士の守りを使っているのよね。慌てて身を隠したんだけど、シーロンはなぜかアイテムとコインを遠くに投げその場で座っている。何故逃げないんだ?アイテムも捨てるってどういうこと?
私は少しずつ近づきハンドガンを構えながらシーロンの前に出る。だけどシーロンはこちらに気づいているけどてをあげたまま。警戒しながら彼が投げたアイテムを拾ってみると『占い師の心』と『スナイパーライフル』、数枚のコイン。何で今更占い師の心なの?もうシーロンが人狼で決定じゃないの?どうしよう、ここで撃っちゃう?それとも占いをしてみる?でも占いしている間に攻撃されたりするかも
シーロンはこっちの考えを呼んだのか後ろを向いたので、シーロンの事を占ってみると
『シーロンは村人です』
どういうこと?彼は人狼じゃないの?ソール社長も占ったけど村人なんだよ・・・まさか人狼が入れ替わる『共犯者の人形』を使ったの?だとするとソール社長が人狼ってわけ?ちょうどさっきシーロンからもらったコインでもう一個占い師の心を買えるから試してみよう。
『ソール社長は人狼です』
トントン
肩を叩かれたので振り向くとこちらにOKサインを送るメビウスの姿が。よし、うまくどちらかをもう一度占ってくれたみたい。後は最後の仕上げだ。メビウスに最後のアイテム『プロビデンスの瞳』を渡し使ってもらう。これで向こうもこっちの居場所が分かるはず
シーロンからもらったプロビデンスの瞳を使った後、いつでも狙撃できる位置に潜む。プロビデンスの光が消えて数分後、シーロンを強烈な光が覆う。それと同時にシーロンがプロビデンスの瞳を使用・・・いた。ソール社長はシーロンの向かいにいる。急いでスナイパーライフルのスコープを除く。そこには手裏剣を取り出しているソール社長の姿が。さっきのシーロンへの狙撃でこの銃の扱い方はわかったわ。
パン
「メビウス、ナイスショット」
「シーロンもナイス判断」
二人はハイタッチを行う。まさか、先にメビウスと会ってたなんて。それにアイテム全部渡して信用を得るなんて思わなかった。これは完敗だ。