彼女とデートその2
六話
【彼女とデートその2】
ピピピ
目覚ましの音でしっかりと目が覚めた。
昨日寝坊しそうなフラグを立てたがラノベの世界じゃないのでそうはならなかった。
今日は人生初デートの日だ。
とても楽しみだ、こんな高揚感は自作のラノベがアニメ化決まった以来だ。
よし、行く準備するか。
程なくして準備は完了し、玄関の扉を開けようとしたら後ろから声がかけられた。
「エスコート失敗しちゃダメよ」
「分かってるよ、母さん。上手くやってみせるよ」
するとドタバタと妹が階段を降りて来た。
「お土産買って来てね」
「うん、行ってきます」
「「いってらっしゃい」」
そして家を出た。
今から向かうのは奏の最寄り駅だ。
奏の最寄り駅と俺の最寄り駅は、電車一本で行け、かつ一駅しか変わらないのですぐに着くはずだ。
改札を出て、待ち合わせ場所に着いた。
時計を見ると待ち合わせ時刻より30分も早く着いたのに人影があった。
その人影の正体は奏だった。
今日の奏は、ポニーテールでロングスカートに春物のカーディガンを羽織ったもので随分と大人っぽく美しく見えた。
率直な感想を言うと可愛い。
可愛いより美しいの方が表現として正しいのかも知れないがこの際どうだって良い。
ただ素晴らしいのだ。
奏の服装が。
「おはよう、早いね。待たせちゃってごめんね」
と声をかけた。するとパァと顔を明るくし言った。
「おはよう、そんなに待ってないよ。それに真司も早いね」
そしてどう?と言わんばかりにクルっと体を一回転した。
「どう?似合ってるかな?」
俺はさっき思った事をそのまま伝える。
「めちゃくちゃ似合ってるし可愛いし、美しいよ。もう最高って感じ」
言ってて顔が熱くなった。それは向こうも同じだったのか赤面していた。
「あ、ありがと。そっちもか、か、カッコいいよ」
また、お互いの顔が赤くなった。
「じゃ、じゃあ行こっか」
「そ、そうだね。電車も来た事だし」
危ない危ない俺の彼女が可愛すぎて理性が壊れる所だった。
久しぶりだなあそこまで照れて赤面するのは、それこそ告白した日以来だな。
そんな事を悶々と考えていた。
「今日どこから回る?」
「まずレストランでご飯食べない?それからショッピングして映画見るって考えてるけど」
俺が昨日考えたプランはこんな感じだ。映画の時間が中途半端だったので、まずレストランで腹ごしらえをし、その後に楽しくショッピングで映画を見て、見終わったらカフェに行くと言うものだ。
「いいねそのプラン。ひょっとして昨日考えてくれたのかな?」
ちょっとイジワルな言い方で聞いてくる。
分かってるんだから聞かなくても良いじゃないかと思ったが奏を照らさしてやろうと思い少しクサイ言葉を言った。
「頑張って考えたよ。奏がどうやったら楽しんでくれるかな?って」
案の定照れた。
「そ、そうなの、、。ありがと」
俯きながら言った。
ここで俺に度胸があれば、『えっ?なんて?もう一回言って』とか言えるんだかそんな度胸ないので言えなかった。
そうこうしているうちにショッピングモールに併設している駅に着いた。
「まずレストランからだね」
「うん、美味しい所知ってるから連れて行くね」
そしてそっと手を差し出した。
向こうもそれを察して手を握ってくれた。
これはさっきの仕返しなのか
「紳士だ、紳士」
と言ってる。
えっ?お前陰キャなのにショッピングモールにある美味しいレストラン知ってるのかって?知ってるよ。
家族で何回か行ったことがあるし、妹がここなら絶対ハズレなしと言っていたからだ。
レストランに着いた。
「二名様でよろしいでしょうか」
「はい、お願いします」
実は陰キャにとってこういう会話も少しばかり緊張すんのだ。
こういう会話の代表例は服屋さんだ。
まじであの人達毎回毎回話しかけてくるよな。
どこの主人公とは言わんが、『服屋さんが話しかけるのやめたら売り上げ伸びる』って言うのは本当だと思う。
「へー、雰囲気良いお店だね。誰かの入れ知恵かな?」
ば、バレてる。確かに妹のお墨付きだか、提案したのは俺だ。
「ち、違うよ」
嘘は言ってない。嘘は。
「本当かなー?」
「さっさと注文しようぜ。これなんか美味しいだよ」
なんとか話題を逸らした。ほんと勘が鋭いな。
それからしばらくしお互いが注文を終え世間話をしていた。
「新刊の進捗はいかがですか?」
「奏は俺の担当か!?」
「うんそうだよ。あ・な・た・の担当だよ」
色んな意味を含んでいそうな言葉はあざとらしく言った、、が照れている!
照れるくらいなら言わなきゃ良いのに。
しゃーないここは流してあげよう。
「はいはい、ありがと。進捗の方は順調だよ」
「そうですか、そうですか。また今度見せてね!絶対だよ」
「うん。結局ドタバタして家に来れてないし、来た時に見せるよ」
話していると料理が来た。
「美味しそうだね」
「そうだね、それじゃあ」
「「いただきます」」
俺は奏が食べるのを待った。
少しの不安があったのだ。
いくら俺や萌香が美味しいと思っても奏にとってはそうでないかもしれないからだ。
自分がそうだと思ってもそうじゃない場合は実際にあるのだ。
「ん!美味しいね。なんで食べてないの?」
よかった、口にあったみたい。
俺が作ったわけじゃないけど奏に喜んで貰えると俺は無条件に嬉しくなる。
「今から食べるよ。それより口にあって良かったよ」
「うん、美味しいね」
それからも色んな話をしてご飯を食べ終わった後もゆっくりした。
そろそろ出ようかと考えていると嫌な声が耳に入ってきた。
この声は………………………。
「お前、神原じゃないか何してるんだ?」
「や、やあ久しぶり」
なんで弱気になってんだよ俺!
「誰?この方達は」
「中学の同級生だよ」
できれば奏には紹介したくなかったのにな。
「えっ?てかこの子神原の彼女さん?めっちゃ可愛いじゃん」
「そんなわけないじゃん。遊びだろ遊び。だって神原だぜ」
『きゃっははは』と仲間内で勝手に盛り上がってくれている。
こいつらなんかほってさっさと行こうとしたら自己紹介を始めた。
「俺、小西 京でーす。神原とは中学のクラスが一緒でしたー」
これだけじゃ説明が足りないのでこちらから補足しておく。
さっきも言った通りこいつの名前は小西 京。
陽キャか陰キャでいうと陽キャだが香取とは違ったウザさのあるやつだ。
香取は単体にカリスマ性があり陰キャを馬鹿にする奴だがこいつはその反対だ。
トップカーストの金魚の糞になり陰キャを馬鹿にするタイプのやつだ。
ハッキリ言ってこいつも嫌いだ。
「てか、なんでこんな冴えないやつと遊んでんだ?俺らと遊ばね?」
「同級生の彼女かも知らない人をナンパっすか!さすが京さん」
また『きゃっははは』と笑っている。
それ、他のお客さんに迷惑だからやめて欲しいんだが。
てか、京さんて。こいつ金魚の糞じゃなくなったんだ。
「残念それには及ばないわ。私真司の彼女だもの」
「おい、静かに…………」
小西の声が遮った。
「チッうるせー、お前と喋ってないんだよ」
「ねぇなんでこんな陰キャと付き合ってんの?確かに髪を切った?かでイケメンにはなってるけどこいつゴリゴリの陰キャだぜ。そんなダセー奴とは別れて俺らと遊ぼうぜ」
すると奏の雰囲気は香取と話した時みたいにみるみると凍っていった。
「はあ、ふざけないでもらえるかしら。まずあなたみたいな不誠実な人は嫌いです。自分の承認欲求を満たす為に人を見下すような方は。それに『ダサイ』と言いましたがあなた方のように店内で他のお客さんの事を考えずに大声で笑う方が『ダサイ』と思いますが。何か」
「は、はあ?ふざけんなよお前。あまり俺は馬鹿にするんじゃねー」
そう言いながら奏に殴りかかろうとした。
それを受け止めて足をかけ、転ばせ、組技をかけた。
「あ、お前何をする。は、離せ」
「ふざけんなよ。お前女に手をあげる気かよ。ましては、俺の彼女に。お前だけは許さない」
そう言っていると店員さんが
「すいません、そちらの男性方お客さん様の迷惑になりますのでお帰りください」
「そーだー、そーだー帰れー」
「飯が不味くなる」
そう言われて怖気付いたのか小西らは店を出た。
「すいません店員さん迷惑をかけて」
「いえいえ、絡んできたのはあちら側なのは見てましたから」
「そう言って貰えたら幸いです」
そうして俺達も店を出た。
「ごめんね、奏嫌な思いさせちゃって……」
彼氏失格だ。初デートで彼女に嫌な思いさせるなんて。
「そんな事ないよ、、って言ったら嘘になるけど良いの私が許せなかったんだよ」
「ごめん、俺全然変わってないよ。あれから、何も」
本当に何も変わってない。つくづく自分が嫌になる。
奏の為に変わるとか言っておきながら何一つとして変われていない。
変わったのは見た目だけだ。中身は以前の陰キャのまんまだ。
奏に相応しい男になんてなれるのかな………。
「今度こそ言える。そんな事ないよ、君は変わった。だって過去のトラウマ?から守ってくれたじゃない、それに順位だって大きく上がった。ちゃんと変われているよ、見た目だけじゃなく」
そうか奏はそう思ってくれていたんだな。
じゃあ俺も誠実に答えないと。
「ありがと、そう言ってもらえると救われるよ。折角のデートだ、楽しもう!」
「うん!嫌なことなんて忘れるくらいに楽しも!」
「次はショッピングだったね。私行きたい所があるんだ」
それから奏の行きたい所に次々に回っていった。
奏はまず、どこに行きたいって言ったと思う?
正解はだな『アニメショップ』だ。
まず付き合いたてのカップルが来る所じゃないが実に俺達らしい。
『ラノベ作家』と『ヲタク』こんな面白い組み合わせがあったっていいと思う。
それから本屋さんで漫画やラノベを探したりもした。
王道に服屋さんに行ったり雑貨屋さんにも行った。
そんな感じで映画の時間になり、今座席に座っている。
「いよいよ始まるね」
顔を近づけてコソコソって言う。
これは心臓に非常に悪い。
心臓がドキドキなってる。
「今日エスコートしてくれてありがと」
映画が始まった。
もちろん映画も見たがそれ以上に隣にいる奏に目が吸い付けられた。
スクリーンの光で照らされた横顔はとても可愛かった。
幸せだなとしみじみ思う。
こんな経験した事なかったから上手くできているか不安だったけど奏が楽しそうだから本当に良かった。
程なくして映画が終わった。
「んー、面白かった!」
ナビをしながら言った。
伸びをした時にふっくらとした物が強調された事はここだけの秘密だ。
「面白かったね時間も時間だし帰ろっか」
ほんとはカフェに連れて行ってあげたかったけど時間がないからまた今度にしよう。
「そうだね、帰ろ」
帰りの電車はお互い疲れていたのか特に喋る事はなく肩を貸しあっていた。
奏の最寄り駅に着いた。
「じゃまた学校で」
「いや、送っていくよ。時間も時間だし」
「ありがと」
歩きながら映画の感想会をした。
あそこのシーン面白かったよねとか、作画凄かったとか声優神ーとか。
楽しい時間だった。
いよいよ本当の別れの時間が来た。
「それじゃ送ってくれてありがと。今度こそさよならだね」
「うん、さよな……………」
1人の男の声が遮った。
「か、奏そ、その、、男は?」
「あっパパ、彼氏だよ」
待て、待て待て待てこのタイプの親父さんは娘が大好きな激甘なお義父さんだ。
「ほーう、君が奏の彼氏なのかな?少し中でお話でもしようじゃないか。ん?」
「あっはい、お願いしますお義父さん」
この鉄板ネタやってみたかったんだよなー。次の言葉は、君のお父さんではない!ってくるはずだぜ。
「私は、君のお父さんではない!」
ほら、来た。
こんな余裕かませるのも今のうちだろう。
「ちょっと待ってなんで話進んでんの」
「この男と話があるからだ」
「さあ、入りたまえ神原くん」
「お、おじゃまします」
ん?なんでこの人俺の名前知ってんだ?奏は言った素振りなかったけど、なんでだ?
この時の俺は知らなかった、この人が俺を知っている理由を。
「さあ、話をしようじゃないか」
どうだったでしょうか?面白かったでしょうか?
今回のお話はデート回です。少々お話が重かったような気もしますが………まぁ大丈夫でしょう!
今日も少し忙しいのでこの辺で失礼を
ブックマーク登録お願いします!
次回もまた見てください!
では、次回のあとがきで会いましょう。