彼女とデートその1
前回のあらすじ
とうとう始まったクラスの親睦会。
親睦会幹事の俺(神原真司)は、順調に進行を進めていた。
そして、カラオケ大会では香取と奏を下し俺が優勝した。
クラス内の評価は高くなり以前より話しかけてくれる人がぐんと増えた。
そして、月曜日になり順位を掲示板で確認すると100位近く上がっており下克上は成功した。
香取は、順位が下がっていた。
五話
【彼女とデートその1】
クラスの親睦会から一週間がたった。
おれは、大幅に順位を上げたので学年中で話題となっていた。
廊下を歩いているとこんな会話が聞こえてきた。
「5組の神原ってやつ100位近く順位上げたらしいぜ」
「名前は聞くけど、誰だよそいつ」
噂になってるだけで俺個人の知名度は、まだまだ低いらしい。
それもそうだな、去年はまるで陰キャだったやつがいきなり順位upしたって、誰だよそいつってなるよな。
それより気になるのは香取の事だ。
順位が随分と下がっていたな………。
俺と一触即発し、かつ俺の下克上が成功したからか?
気になるが今まで通り生活しよう。
今日も平和に授業が終わり帰り支度をしていると奏に話しかけられた。
「明日からゴールデンウィークじゃん!どこか遊びに行こうよ」
そうだな新刊の〆切はまだ先だし、一通りほとぼりも冷めたし行ってみよう。
「いいね、どこ行く?」
「ここで話してたら時間かかるし、話ながら帰ろう」
「うん、分かった」
帰り支度を終え教室を2人で出ようとすると後ろから冷やかしが飛んで来た。
「お二人さんお熱いねー」
「ヒュー、ヒュー」
「ガキか!やめてくれ」
笑いながらそんな事を言った。
「ああ、またな」
「またな」
教室を出て歩き始めると、奏はクスッと嬉しそうに笑いながら言った。
「ほんと変わったね。」
本当にちょっぴり変われたと思う。
「うん。変われたよ君が隣にいてくれたから」
「ちょっとクサかったかな?」
奏はみるみるうちにカーっと赤くなっていった。
多分俺も同じ顔をしてると思う。
「ま、またそう言う事を言うんだから真司は」
幸せな時間だ。この時がずっと続けばいいのに。心の底からそう思う。
咳払いし奏は言った。
「それより、どこに行くのか決めよ」
「俺はねー、今の所無いかな。奏は?」
「私はね、あるんだ行きたい所。さてそこはどこでしょう?」
クイズ形式にしてきやがった。
奏の行きたい所だろ。言わずもがな奏は陽キャだ。
ということは、大抵の場所は友達と行っているだろう。
奏が友達と一緒じゃいけない所を考えよう。
奏の趣味はアニメ、漫画、ラノベだ。
ここだけ見ると陽キャじゃないだろ。ヲタクだろ。
だから隠れヲタやってたんだと思うけど。
「ねぇ、早く答えてよ」
チッ、催促してきたよ。
奏の行きたい所は……………、そうかここだなきっと。
「そこはだな、『映画館』だ」
「凄っ!正解だよ。よく分かったね。でも何で分かったの?」
随分簡単な事だ。彼氏なんだから。
「それはだな、奏が『ヲタク』だからだ」
ビシっとポーズを決め指を指す。
「奏はヲタクだ。だからこそ『アニメ映画』は、見れないんだ友達と一緒じゃ。大方最近話題のあの映画だろ。それにもう一度言うが奏はヲタクだからな、憧れているんだ映画デートを!!」
俺もだよーーーーーー、とは口が裂けても言えない。
ボンって聞こえそうなくらい顔がまた赤くなった。
「な、なあそこまで分かってるなら言わなくていいよ。恥ずかしいじゃんか!!バカ!」
な、何故罵倒される?クイズ形式で聞いて来たのはそちらだろ。
「悪かったよ、言及して」
「そうだよ、ほんとに………」
「で、いつ行く?」
切り替えはやっ!ビックリするわ。
「明日って空いてる?」
「空いてるよ」
「じゃあ明日にしよう」
「分かった。それじゃあ明日の朝最寄り駅で」
最寄駅?俺と奏じゃ住んでる地区は隣同士だが、最寄駅は違う。
「そっちの最寄り駅行くよ」
「うん、ありがと。じゃまた」
「また明日な」
ここで、奏とは別れた。
えっ?最近鉄彦はどうしてるかって?
コミカライズの新刊の監修で忙しそうだよ。
俺は着々と仕事を片付けてるよ。
明日初デートだ。
どんな服で行こうかな?やべー全然分からん。
今までろくに友達と出かけたことないからな。
しゃーね母さんに聞くか。
いや、母さんに聞くと父さんの耳に入り絶対いじられる。
それだけはごめんだ。
妹を金でつるか。
コンコン
「はーいどうぞー」
「萌香様俺にオシャレを教えてください。この事はどうか他言無用で」
そう言いながら頭を下げ千円を渡した。
とその前に妹の紹介をまだしてなかったな。
妹の名前は神原萌香。中学一年生で、ブラコンだ(俺調べ)。
妹は俺とは違い陽キャ陣営だ。
この家、俺と父さんは陰キャなのでいつも尻に敷かれてます。
兄の尊厳?そんなもん妹が生まれた瞬間に投げ捨てたぜ。
どうも、すいませんシスコンだったのは俺でした。
とまぁこの辺で紹介は終わろう。
「兄さん、あともう千円くれたら嬉しいなー。ん?オシャレ?」
妹の頼み叶えてあげたいがデートの予算がなくなるから無理だ。
「すまん萌香、それは……」
萌香の言葉遮った。
「陰キャな兄さんが出かけるの!見た目が変わるだけで中身も変わるんだ」
おい、失礼だな。実際そうだから言い返せないけど。
「ああ、彼女ができたからデートに行くんだ」
「か、彼女!!おっ、おかー」
妹の口を咄嗟に押さえた。
「他言無用でって言ったじゃないか」
「そうだったね、兄さんに彼女か」
少し暗い表情でそう言った。
「なら尚更失敗できないじゃない!私の未来のお義姉さんのために」
なんで結婚する前提なんだよ。ま、まあそりゃ結婚できたら嬉しいけど。ふー気持ち悪いな。
やめよう考えるの。
「兄さん服一式持ってきて」
「了解しました。萌香様ご指導の程よろしくお願いします」
妹の熱いファッションコーディネートで服はバッチリと決まった。
明日どこ回ろうかな?
そんな事を考えてるとラインが来た。
『明日楽しみだね』
『そうだな』
『楽しみすぎて寝れなくて寝坊するなよ』
今妙なフラグを立てた気がした。
『そっちこそね』
『おやすみ』
『おやすみ』
本当に楽しみだ。早く明日になれば良いのに。
そう思いながら眠りについた。
どうだったでしょうか?面白かったでしょうか?
今回のお話は初デートの前夜という1番緊張するであろう時を書きました。
皆さんは初デートどうだったでしょうか?
楽しかったーて人もいれば上手くいかなかったという人もいるでしょう。
私は、どうかって?さぁどちらでしょう?
ともかく次回はいよいよデート編です。
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