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第一話 最悪の目覚め

目が覚めた。


そして周りを確認する。



・・・・・ありえない

周りは灰色だった、いや、コンクリートだった。

触ってみると硬く、冷たかった。


おかしい、絶対におかしい、笑えない。

起きる前までは自分のアパートの部屋で寝ていたはずだ。

その証拠に青い縦じまパジャマを着ている。


周りを見渡すと、和式の便所、蛍光灯、蛇口があった。

そして蛇口の隣にはA4サイズの紙がセロハンテープで張られていた。





─────────────────────────────────

貴方は閉じ込められました。


この蛇口からの水は飲んでも平気ですが、限度があります。


食べ物は毎日パン一つと肉五枚で、午前8時に鉄格子から落とされます。


貴方と同じ状況下に置かれているのは貴方を含め4です。


また、ここから脱出する方法はありません。

万一脱出したとしても、生きて帰ることは出来ません。

















─────────────────────────────────

紙の半分しか使っていない短い説明だ。

しかし、状況が理解できない。

だから何なんだよ。何がしたいんだよ。

叫びたくなった。


でもそれはただの体力の無駄遣いだ。





「いやああああ!!」


近くで叫び声が聞こえた、いきなりでビックリしたが、すぐに

「だれかいるんですか!?」

と叫び返した。


「だ、誰かいるの!? もしかして貴方も閉じ込められているの?」

若い女性の声だった。


「そうです、さっき目が覚めました。」

冷静に話しているつもりだったが、やはり声が震えている。


「これは・・・意味わかんない」


「自分も分かりません。そういえば時計持っていませんか?」

自分の感覚的には今は早朝4時というところだ。


「時計ですか?今は5時48分ですけどなんでですか?」


1時間48分も違ったが、あと1時間12分で食べ物が来るということが分かった。

しかし、この人は紙を見ていないのだろうか。


「多分その部屋の蛇口の隣に紙が張ってあると思うんですけど、そこに理由が書いてあるはずです。」

彼女が動く音が聞こえた。


「ありましたけど、食べ物のことなんて書いてないですよ?」


「気味悪いことしか書いてないです・・・。


 貴方は閉じ込められました。


 この実験は人の行動を比較して見るためにしています。

 もともといた場所に帰ることはないと思ってください。

 しかし、4人閉じ込められていますがその内の3人が死亡した場合

 最後の一人は元々いた場所に帰ることが出来ます。」


彼女は泣いていた。




実験・・・俺たちは鼠か・・・。


「わ・・・私ね、昨日までは普通に生活していたのに・・・

 何で・・・何で・・・。」


そうだ、俺も昨日までは普通の生活をしていた。

別に彼女がいたわけでもないけど、それなりに充実していた。

ほかの人と比べると結構賢い方で、しっかり大学を卒業した後

銀行で働いた・・・。

特に人に恨まれるようなことをした覚えはない。



「こんなところ出てやる!死んでたまるか!」


気がつくと俺も涙を流していた。


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