22.
第二試験はインクの銃撃戦。
サヤはマシンガンで雨のようにカラーボールを降らせて攻撃した。
咄嗟に私の人形に抱きついた。すぐに我に返りスマートウォッチを押し「しゃがま」せる。それを上から包み込むように覆い被さった。
雷が当たっていくみたいだ。
その雨が止んだ。
私はその場で倒れ込んだ。体が痺れて動けない。
「全くだよ。アクリル板がなければ痛い目に会うし、得点はごっそり奪われるしで悪いこと尽くしだったよ」
コガネはアクリル板を傘代わりにして雨を防いだようだ。
映像で見た攻撃が通らない理由もアクリル板だったみたいだ。
コガネが色塗れの人形を撃つ。
そこにもう一つの攻撃が飛んできた。
遠くからフキがコガネとサヤの人形を攻撃したのだ。
そこで試験終了の合図が鳴り響いた。
結局、マイナス十四点のまま試験が終わってしまった。第一試験もよくない結果だったのに第二試験までも良くない結果だった。思わず涙が吹き出してきた。
「ごめんね。泣かせるつもりはなかったの。サヤ、本当に必死で、ナルミちゃんのことまで気が回らなかったの」
サヤのせいで涙が出たんじゃない。
これは自分のせいで涙が出ただけだ。それに不必要な涙だ。なぜ流れているのか私自身腑に落ちない。
動けなくなった私とクルマミチは病室へと運ばれた。
そこで処置を受けたら動けるようになった。
試験が終わった。
試験が終わったらすぐに風呂の時間となった。
「試験内容は下の代には他言無用でお願いします。天使様に誓って。それではインク塗れにもなっているので風呂に入って疲れとともに落としましょう」
背中につけられた沢山のインクを落としていく。
「ねぇ、ナルミちゃんは第二試験、何点だったの?」
「私は……マイナス十四点」
風呂に浸かっていると体が温まって眠たくなってくる。
「サヤは二点だった。コガネは四点で、フキさんは八点だったみたいよ。クルマミチ先輩は……分からないけどすごいマイナスになってるはずですわ」
結果は結果。受け入れよう。
私は風呂から上がった。
風呂の水に反射して映る私はどこかぶっきらぼうに見えた。
ついに試験結果が発表される日。
マザーから手紙を渡された。
その封を開けていく。
そこにあった紙にはこのように書かれていた。
ナルミ様
あなたをテンマ殿の執事に任命します
聖徒会より
私は試験に合格したのだ。
喜びを隠せない。
思わず顔をひしゃまげていた。
「やった、合格した。念願の執事になれるんだ」
嬉しさを隠そうとも隠すことはできなかった。
クルマミチも同じような表情をしていた。
「おやおや、ナルミ君も合格かい。この試験簡単すぎなんじゃないのかな」
コガネは相変わらずだ。
しかし──
「サヤ君もフキ君も浮かない顔をしてるね。もしかして不合格だったのかい?」
二人はどこか険しい顔を引き連れていた。
「そんな訳ないでしょ。も、もちろん、サヤも合格したんだから、ね」
強気な態度を取っているが、少し無理があるような気がする。奥底の辛そうな気持ちは拭いきれていない。
「おやおや、フキ君はどうだったのかい?」
「気にしないでくれ……」
彼は頬杖をついてみんなとは逆の方向を見た。彼の表情を探ることはできなかった。
どこか虚しい雰囲気が漂っているのに、私達だけが嬉しい雰囲気を放っているのがとても申し訳なく感じていく。それなのに、嬉しさを消すことができない。
やり場のない思いで私は天井の蛍光灯を見つめた。
【サヤとフキの運命は──いかに!?】




