19.
第二試験である銃撃戦。一人に一つ人形がつく。相手の人形にインクボールを当てたら得点、逆に人形にインクボールを当てられたらそれ以上の点数がマイナスになる。
最初のミッションが繰り出された。
図書室に四つの道具が置かれた。インクライフル。アクリル板。人形へ指示できることを増やすアプリ。網鉄砲。この四つを早い者勝ちで手に入れることができる。
そんなミッションがある中、私はサヤと銃を向けあっていた。
お互いに体が邪魔で人形を当てられない。
「負けても文句はなしだからね」
「もちろん。正々堂々と戦いましょ」
冷えた空間をぶち壊したのはサヤだった。
走り出して私の横を抜ける。
人形を守るように人形が打たれないように立ち回る。だが、一瞬でもできた隙間をサヤは撃ち抜いた。私も負けずにフリーになった人形を撃ち抜いた。
お互いに一点を取って三点を失った。
つまり、お互いマイナス二点。
銃の装弾には時間がかかる。その合間に逃げ切ることにした。
金色のカラーボールのスローイン。何個かのボールが投げられていくが、命中はしなかった。
階段を降りて近くの影に身を隠した。
片手につけられたウォッチを見た。
軽く触れると点数が映された。マイナス二点。寒色で映されたそれが少し焦らせる。いきなりマイナス二点をくらってしまった。どこかで二点以上を奪わなければいけない。
私は地図を広げた。
図書室へと進む道。最短距離で行くとすると先程通った道を通ることになる。しかし、サヤがいるため行くなら遠回りした方が良さそうだった。
外を通って進む。
しかし、そこで撃たれる人形。
腕時計にはマイナス五点となっている。
周りを見渡したが、どこにも誰かがいる気配がしなかった。
撃たれた事実は拭えない。急ぎ足で建物の中に入り周りを警戒した。
ひとまず誰にも合わずに図書室へと着いた。
残っているアイテムは二つのみ。アプリとアクリル板だった。
私はアプリを選択した。
スマートウォッチを開く。そこから人形の操作ができた。最初は「その場で止まる」と「着いてくる」のみだったのに、アプリのお陰で「しゃがむ」と「攻撃する」、「逃げる」が増えた。
すぐにその場から離れる。
まだ道具は一つある。それを狙ってやってくる可能性も高い。はやくこの場から離れなければ。
階段から降りようとした時、下に誰かがいるのが分かった。
私は踵を返した。
図書室の横を抜けて進んだ先にサヤがいた。
何故かサヤは網に絡まって動けなくなっていた。
「ナルミちゃん。助けて」
抜けようとも空回りして抜け出せなくなっている。冷静になればきっと抜け出すことはできるだろう。
「友達じゃん? 友達なのに助けてくれないの?」
もどかしいのか乱雑に暴れている。
「友達を見捨てる気?」
今は敵同士。だが、見過ごせない気持ちも重かった。彼女の後押しで天秤が見過ごさないの方へと傾いた。
私は網を手繰り寄せてサヤを網から出した。
彼女が解放される。
「助かったわ。ありがとね」と言い残し、そそくさと図書室の方へと向かっていった。慌ただしい空気が広がっていた。
取り残された私は仕方なく廊下を走った。
階段を降りて一階を進む。
すぐ先にはクルマミチが待っていた。手には網鉄砲を持っている。
網鉄砲を受けると私は無防備になってしまう。
そうなれば当てられ放題だ。
何か対処しなければ、敵対するのは危険だ。ここは逃げた方が得策だろうか。
片腕のそれを見る。
マイナス五点──
結局どこかで点を取りにいかなければならない。ならば、ここで無茶した方が後々楽になるかもしれない。
しかし、一体どうすれば無傷で点を取れるのか。
その時、ふと閃いた。
袋からカラーボールを手に取りお手玉のように宙に飛ばしていった。
クルマミチが近づいてきた。
お互いに警戒し始めた。
武器を強く握った。
【ナルミ対クルマミチ (シャドウ) ──。どちらが勝つのか!】




