六、〈大都〉主な組織と人物——〈講白相〉
〈講白相〉(冒険者の組織、非ギルド)
「偶然にこちら(この異世界、また今の場所)に来て、(凹むより)むしろ、楽しんで遊んだ方がいいでしょう。今日は僕たちの話を聞いてください、みんな!」
〈講白相〉最初は非ギルドの形で、緩い〈冒険者〉の自発的な芸能を披露するグループである。〈真穿事件〉直後に、〈大都〉に溢れている陰鬱な気分を打開するために、ひとりの〈エルフ〉の冒険者とひとりの〈ドワーフ〉の冒険者が〈大都〉各地で上海方言で「滑稽戯」を即興的に披露し始めた。これは早く、上海出身のプレイヤーさんと呉方言を話すプレイヤーさんの目を引いて、人々を集めて、興味を唆ってきた。自動翻訳機能のお陰で、他の方言、言語の話者も理解できていた(もちろん、翻訳は間違いだらけだ)。初期の披露した内容の中には、〈エルフ〉の冒険者はよく上海地元生活の「克勒」というイメージのキャラクターを演じて、〈ドワーフ〉の冒険者はよく「模子」というイメージのキャラクターを演じていて、二人が言い合いをしていた。後ほど、他の上海方言を話す〈冒険者〉もこのチームに参加してきた。
(日本語読者ための説明:「滑稽戯」とは、上海地方の喜劇であり、ほとんどの場合は上海方言で演じている。「独脚戯」とも呼ばれる。日本の「漫才」と似ている。
「克勒」とは、上海の地元の生活の中で、定番的な人物のイメージの一つであり、欧風で格好よくて、品がある紳士であり、イメージ連想キーワード:金メガネ、ジャズ音楽、葉巻たばこ、などなど。たまに「驕り高ぶる」というイメージもある。「克勒」の語源は宝石の質量単位であるカラット(carat)だと言われている。
「模子」も上海の定番的な人物のイメージの一つであり、信頼に値するおじさんで、たまに「武骨な人」というイメージもあり、義理堅いである。)
上海方言「講白相」の意味は「講」(話す)と「白相」(楽しんで〜てみる、楽しんで〜て遊ぶ)で、「講白相」は「楽しんで話す」という意味である。最初の段落のセリフは、彼らがよくこの話を披露の最初に挨拶の言葉として使っている。彼らは常に楽観的な思考でこの異変(〈真穿事件〉、ヤマトの〈大災害〉)に向き合う。
彼らの巡回演出に対して、一部の他の地方出身の〈冒険者〉たちも同じようにそれぞれの芸能チームを組んできた。一方、反対の声も上がってきた。上海方言を話し続ける彼らの行動には、地域差別や他の地方の人を排斥する意味があると指摘されていた。
〈大都〉が〈真穿事件〉後の中期、後期には、〈講白相〉の参加者たちはこの批判の声を受け入れて、組織の主旨や構成を急に変更して、〈大都〉範囲での各〈冒険者〉団体、組織の話し合う体制を提案し、成立して、〈大都〉地元〈冒険者〉のコミュニティ組織になった(日本語読者は〈アキバ〉の〈円卓会議〉を参考してもいい)。さらに、〈講白相〉は〈大都〉を〈蒼王閥〉、〈紅王閥〉、〈白王閥〉の間に繰り返して起こっている紛争によて泥沼化した環境から脱出させることを推し進めて、地元意識に基づいての斬新な〈冒険者〉コミュニティを築き上げた。




