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9話 二人目の襲撃者

「シャァァァァァ!!!!!!」


 ポイズンスネークが声を出しながら首を持ち上げた。


「ほ、ほんとに起きた!」


 カイリがそう叫んだ。

 驚きのあまり声が出たのかもしれない。


「え?だって死んでたよね?!え?!」

「これがネクロマンサーのスキルだよ」


 死人を使い魔にする。


「でも使い魔ッテヨリ生き返らせたみたいダヨネ。私逆らえない以外は基本的に生前と同じダシ」


 そう口にするエリザベート。


「確かにそうっすよね。私も本で読んだことがありますがネクロマンサーの使い魔って喋らないし意思も持たないのが普通みたいですけれど、ルイスさんのは真逆ですよね!」


 そう言ってくるフィーネ。


「そうなのか?」


 興味が無いので知らなかったが真逆らしいな。

 一般的なネクロマンサーとは。


「ナンツーカ私ももう1回人生遊べてるみたいで嬉しカッタリスルンダヨネ」


 そう口にしたのはエリザベートだった。


「魔王様のためとは言えよく考えたらルイスには酷いことしちゃったシネ。これからの人生はルイス様を崇拝して生きていくことにスルヨ」


 なんだよルイス様って。

 そんなことを思う。


「私に信頼もクソもナイだろうけどこれからは一生懸命マスターの役に立てるよう御奉仕するからねルイス様。覚悟しててヨネ☆」


 何故覚悟せねばならんのだ。

 そして何故そうやって顔を赤くする。


「私なしじゃナンにもできないくらいにしてアゲル☆」

「それは怖いな」


 軽く笑ってからポイズンスネークに目をやる。

 どうやら体調なども問題ないようだな。


「王都にとりあえず戻るか」


 俺は人間サイドに受け入れられなかったみたいだし、自分で死者の国を作るつもりだ。

 しかしそれにも色々と準備が必要になるだろうから一旦戻ることにした。



 ポイズンスネークをアイテムポーチに放り込んでから俺達はとりあえずカイリの生まれ育った村を訪れ、カイリは伝えたかったことを伝えた。

 そうして俺たちは王都まで戻ってきた。


 念のため聞いておくことにしておくか。


「本当に良かったのか?俺に着いてくることを選んで」

「私は決めた。私を生き返らせてくれたマスターのためにこれからは動くことにする。それに目指すところは同じだろう?魔王の討伐、それなんだろう?」


 頷く。

 そうだな。


 俺は魔王を討伐する。

 あいつを許さない。


「なら私は元仲間達とは違うルートを通る、それだけの話だよ」


 その道が俺と歩む道だと言うわけか。


「だからこれはお別れなんかじゃなくて新たな旅立ちだ」


 そう言ってカイリはにっこりと笑った。

 そうか。

 物は言いようと言う奴だろうか。


「さて、色々とアイテムなんかを買い込むことにするか」


 そう言って俺は必要になりそうなものを買っていくことにした。

 ポーション、エーテル。基本はその辺だ。


 そうして買い物を終えて王都を出ていこうとしたその時だった。


 ドゴーン!!!!!!


「な、何なんすか?!今の音!」

「見て!きっとあれだよ!壁が壊されてる!」

「ほ、ほんとっす!しかも王都を囲む壁の外に何かいるっす!」


 フィーネとニーナの会話を聴きながら俺もそちらに目をやった。


「アイツ………」


 それを見て俺よりも先に反応を示したエリザベート。


「知ってるのか?」

「四天王の1人デューダ」


 エリザベートに教えてもらった。

 あれが四天王か。


「俺は四天王の1人デューダだ!」


 そして高い声でそう俺達に宣言してくる。

 ………それ教えちゃうのか。


 てか


「女?」

「女だヨ」

「あの一人称でか?!」


 俺!と言ったので思わず男かと思ったが女らしい。

 だがしかし


「きゃー!!!!!」

「ひゃーはっはっはっは!!!!」


 人間の女の子の悲鳴とデューダと名乗った女の笑い声が聞こえてくる。


「くたばれ!死ね!」


 デューダが手を天に向けてかざす。


「あ、あの構えは!マスター!止めに行かナイト!」


 エリザベートが俺の腕を掴んで走り出す。


「そうだな。まずそうだ」

「そうダヨ!マズイヨ!あれはグランドクロス!世界が壊れてもおかしくない大魔法!」


 まじか。

 そんなものどうやって止めればいい?


「俺に任せな」


 俺のアイテムポーチから飛び出してくるボタン。


「俺があれを食い止めてやる」

「ボタン。任せたぞ」

「ブヒーーーーーーー!!!!!!!」


 デューダに向かって突進していくボタン。

 速い!速すぎる!


 その瞬間。

 デューダか天にかざしていた手を下げた。


「な、何だこりゃ………」

「ブヒーーーーーーー!!!!!!!」

「ば、ばかな……軍神が迫ってきている………何だこの気迫!」


 デューダの声が自然とここまで聞こえたと思った次の瞬間。


「ブヒーーーーーーー!!!!!!」


 ボタンの突進が炸裂した。


「かはっ………」


 それで倒れそうになるデューダだったが


「分が悪いな………退いてやる!ボア!」


 そう言って踏ん張って立ち止まり魔法でどこかへ消えていくデューダ。

 どうやら危機は脱したらしい。


「ブヒーーーーーーー!!!!!」


 戻ってくるボタン。

 それを見て俺達の周りに人が集まってきた。


「い、今のボアはいったい何なんだ?!あ、あんたテイマーなのか?!」


 一人がそう聞いてきた。


「いや」

「ならそのボアはいったい?」

「俺はネクロマンサーだ」


 そう答えるとやはり煙たいものを見るような目で見られた。

 しょせんはこんなものか。


 そんなことを思いながら俺は王都の外へ足を向けることにした。

 その時


「待ってくれないか?」


 1人の女性にそう声をかけられた。


「君の使い魔の強さ、いいものを見せてもらった。あんな強さのボアを私は知らない」

「ぎ、ギルドマスター………」


 何人かの人々がそう声を上げ始めた。

 この人がギルドマスターなのか。


「何処の人なのかな?君のようなネクロマンサー初めて目にしたが。それに今のボアは?」


 一方的に質問攻めにされた。

 面倒なことにならないといいが。

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