8話 新たな仲間
俺たちはあの後ポイズンスネークとやらに会うために更に森の奥深くまで潜ってきていた。
「ね、ねぇ?!ルイス帰ろうヨ」
エリザベートが情けない声を出す。
「ビビってるのか?」
「ビビってなんかないヨ!」
ビビってそうだな。
「庭でビビるなんてやっぱり庭じゃないんじゃないのか?」
「ビビってなんてネーシ!!!」
必死に否定しているエリザベート。
なるほどな。そう思いながら先に進む。
「なぁカイリ」
「どうしたんだ?ルイス」
すごく真面目な顔をしてそう聞き返してくるカイリ。
「ポイズンスネークってのは何処にいるんだ?」
「この辺にいるはずなんだが………」
そう言われて探し始めて既に1時間が経過したはずだ。
「何処かに移動したか、とか?」
考えられるとすればそれくらいしかないが。
「いや、ポイズンスネークはここのボスだよ。だから移動するなんて考えられない」
「そうだネ。ポイズンスネークは白骨の森のボスだヨ。ダカラここから移動するなんてありえないヨ」
「じゃあ何で居ないんだ?」
その理由エリザベートなら分かるかと思って聞いてみたがどうだろう。
「ワカンナーイ」
なんてことを言い出すとは思ってもいなかった。
「分かんない?」
「うん。分かんないものはワカンナイヨー」
そんなことを聞いていたらボタンが俺の足に軽く前足を当ててきた。
「どうしたんだ?」
「おうよ。マスター」
俺の事をマスターと認めてくれているらしいボタン。
その彼の話の続きを待つ。
「もしかして探してる蛇ってあれの事か?」
そう言ってボタンが前足でとある方角を指さした。
そこには
「デカい蛇だな」
呟いた。
俺の視界の先では10mを超えるであろうデカさの蛇が丸まって倒れていた。
あんなに大きければ普通気付くはずなのに、気付けなかったのはこの薄暗さのせいか。
そしてそのせいであれが大きな岩程度にしか見えていなかったのだ。
それにしても俺の目に映るあれは普通の状態であるとは到底思えなかった。
なんと言うかただとぐろを撒いているだけじゃなくて。
「あれ、死んでないか?」
「歩いてたらミミズがいたので踏んでしまったら、あの状態になったのだ」
ボタンはそこまででかくないしあの蛇と比較すると体格差は何十倍もある。
それを
「ミミズ?」
とそう行ったのか?ボタンは。
「ミミズだった。踏んでしまったら死んでしまった申し訳ない」
やはり俺の使い魔は世界を滅ぼしてしまえそうな気がしてきた。
そんな事を思いながら俺はニーナ達に目を向けた。
「今探してたモンスターだが、どうやらボタンがポイズンスネークを踏み潰したらしい」
「「「「えぇぇぇぇ?!!!!」」」」
そんな驚愕の声が上がる。
「ボタンが踏みつぶした?!」
「あのポイズンスネークヲ?!」
ニーナとエリザベートが息を合わせてそう聞いてきた。
「そうみたいだ」
俺だって驚いてる。
たかがステータスを上げただけであのデカさの蛇をミミズと言ってしまうボタンにも驚いてしまうし、何よりもここまでエリザベートがビクビクしていた相手を俺達に気付かれることなくワンパンで倒してしまうのだから。
「ボタンさん凄いっすね!でも育てたのはルイスさんなんすよね?!ルイスさんはもっと凄いっす!流石っす!」
そう言って俺に飛びついてくるフィーネ。
「私も使い魔にして欲しいっす!」
「また今度な」
俺の使い魔になるということは死ぬということなので出来るだけ勘弁して欲しいところだが。
「な、なんと………」
カイリに目をやると彼女は目を真ん丸に見開いていた。
「あのポイズンスネークを倒してしまわれたのか?」
そんなことを言いながら土下座するカイリ。
急な土下座なので驚いた。
「ボタン師匠!私を弟子にしてください!」
急にそんなことを言い始めた。
「キュムキュム(いいよ)」
「いいのですか?!ありがとうございます!師匠!私達がパーティで倒せなかったあの化け物をソロで倒してしまうなんてボタン師匠には顔が上がりません!」
「キュムキュム(顔上げてけ)」
「はい!この顔はあげません!」
全く逆の解釈をしているな。
そうして今度は俺に目を向けてくる彼女。
「大師匠!」
「大師匠?」
「ボタン師匠の師匠なので大師匠です!ルイス大師匠ですよね?!」
そう言われても俺は師匠になった覚えはないが。
「ボタン師匠に行った指導私にも今度してください!」
ステータスを上げただけなんだが。
まぁそれくらいでいいなら今度検討してもいいか。
と、さてとこの辺りでそろそろ話を変えるか。
「とりあえずあれを使い魔にする」
そう言って歩き出す俺を見てまた声が上がったのだった。
※
最早見慣れたウィンドウが現れる。
【ポイズンスネークの死亡を確認しました】
━━━━━━━━
【名前】ポイズンスネーク
【ジョブ】アンデッド
【レベル】75
【体力】1580
【攻撃力】652
【防御力】562
【すばやさ】1080
【魔力】1680
━━━━━━━━
ポイズンスネークはデフォルトでかなりの強さを持っていた。
最早ステータスを割振る必要は無いだろう。
俺は現状の数値でポイズンスネークを使い魔にすることにした。
【大きさを変更する事が出来ますがしますか?】
見慣れないウィンドウが表示された。
大きさの変更が出来るのか?
まさか?
そんなことを思いながら続くウィンドウの表示を待っていた。
どうせ何か出てくるだろうと思ってのことだ。
【大きさの変更を行ってください。任意の数値を入力してください。尚大きさ変更でステータスに強弱が出るなどは特にありませんが、小さくしてしまうと前までの戦法が出来なくなるという事もありえますので注意してください。なお、大きさは何時でも変更可能です】
ふむ。
特にそこまでは考えていなかったが色々と説明してくれたウィンドウ。
「ならばとりあえず」
━━━━━━━━
↓1↑
━━━━━━━━
どうやら1を基準に決めていくらしい。
とりあえずデカすぎるので0,9にしてみる。
「小さくナッタ?!」
「小さくなったっすね!」
死体を見ていたエリザベートとフィーネが現状を教えてくれた。
ふむ。いい感じだな。
ならばとりあえず一気に0,1まで落としてみた。
すると、
「俺の2倍くらいのサイズになったな」
横に並んでくれているボタン2匹分くらいの大きさになった。
まぁ、大きさとしてはこんなものか。
調整を切り上げた。
さて力を貸してくれ。