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7話 剣聖を使い魔に

「くっ殺せ殺せ殺せ殺せ!!!!殺せ!!!殺してくれぇ!!!!」


 急に発狂を始める女騎士。

 どうしたのだまったく。


「俺がオークにでも見える呪いにかかってるのか?」

「くっ殺せー!」


 ダメだ。話にならない。


「殺してくれぇ!汚さないでくれぇ!私は綺麗な聖騎士として最後までありたいのだぁ!!!」


 だめだな。

 やはり話にならない。


 俺はニーナたちに目を向けてから声をかける。


「先に進もうか」

「ま、待ってくれ!」


 誰よりも先にそう言ったのは女騎士だった。


「お前たちは人間なのか?!」


 とそう聞いくる。

 今更過ぎないかその質問。


「そうだけど」


 約1名と奴1匹は違うが。

 この際細かいことはいいだろう。


「くっ………私はもうダメだ」


 そう言いながら鎧をガチャガチャ鳴らしながら立ち上がると俺に何かを渡してきた。


「くっ………見ず知らずの人に何かを頼みたくは無いのだが、良ければこれを届けてくれないか?」

「誰にだ?」

「くっ………私が田舎に残してきた妹たちにだ………」


 なるほどな。


「誰に、というのは分かったが」

「なら頼まれてくれるか?」

「どこの誰にだ?妹たちにと言われても俺はあんたの友達じゃないんだ分かるわけないだろ?」

「くっ………ならば殺せ………」


 何故殺されることしか頭にないのだお前は。


「私はこの森のボスであるポイズンスネークの毒にやられている。もう死ぬのは目に見えている」

「そうなんだな」


 それは大変だな。

 俺にしてもどうしようもないなのでニーナに目をやって見た。


「賢者どうにかならないか?」

「無理無理無理だよ。私は賢者の適性があるけどまだ魔法が使えないし………」

「そうか」


 この通り俺が出会った時には生きていたわけだから、見殺しにするという選択肢は出来るだけなしでいきたかったが、それも無理だな。


「悪いが俺たちでは゛今の゛あんたを救えそうにない」

「くっ………ならばどこの誰か分からない悪魔の手下め、宜しく頼むよ」


 そう言って俺の手にある封筒を指さす彼女。


「出来ればその手紙と共に伝えてやって欲しい………愛していた、と」


 ガクリと音が出そうなくらい首を横に曲げて死んでしまった女騎士。

 結局最後までどこに住んでいるのかについては口にしなかったな。


 だがまぁ仕方ないだろう。

 こうなってしまえば多分頭の回転も鈍るのだろう。


 そんなことを思いながら待っていると。


【剣聖カイリの死亡が確認されました】

 

 最早いつも通りと言えるほど身近になってきたウィンドウが俺の視界に浮び上がる。


【剣聖カイリを使い魔にしますか?以下現在の剣聖カイリのステータスです】


━━━━━━━━

【名前】カイリ

【ジョブ】剣聖(聖騎士)

【レベル】58

【体力】850

【攻撃力】458

【防御力】428

【すばやさ】480

【魔力】698


【固有スキル】

・剣聖EX

───────剣神が貴方に味方をする。

どんな剣でも剣であるのならば閃光のような切っ先を貴方は振るう事が出来る

━━━━━━━━


 俺は使い魔にすることを選んだ。

 生き返らせるな!とも言われそうだが、俺みたいなやつにこんな手紙を渡さずに伝えたいことは自分で伝えるべきだろうと思う。


【固有スキルの剥奪を行いますか?】


 この質問にはNOを選んでおく。

 別に剥奪しなくても大丈夫だろう。


【契約が完了しました。これより剣聖カイリは、マスターの使い魔です】


「くっ………」


 目覚め方もそれなのか。

 いちいち、くっ………という第一声でないと話し出せないらしい。


「くっ………何故私は………生きてる?」


 そう言いながらムクリと起き上がってくるカイリにこれまでの事を簡単に説明した。


「くっ………なら私はルイスの使い魔という事なのか?まさかこれから私は穢されるのか?!くっ………そんなことなら殺せ!私は綺麗なままでいたいんだ!」

「誰もそんなこと一言も言っていないが?」


 どこまで妄想しているのだろうこの人は。

 見た目だけは女性と言いたいタイプではあるが、女子と読んでも問題ないかもしれない。


「カイリは死んでも死にきれなさそうなタイプだったから迷惑だったかもしれないけどこの形を取らせてもらった」


 俺がなぜ使い魔にしたのかある程度は話しておこうと思った。


「どういうことなのだ?」

「さっきも自分で言っていたが俺に手紙を届けさせるんじゃなくて自分の口で伝えるべきじゃないかって俺は思うんだよ。だからこの形を取った」

「そ、そこまで私のことを考えてくれていたのか?!ルイスは?!」

「へ?」


 別に大したことじゃないだろ。と自分では思うんだが。


「私は感動したぞ?!ルイス!」


 そう言って俺の両手を取って飛び跳ねる少女。


「そうだな!私は自分の言葉で伝えなくてはならないかもしれない!その事に気付かせてくれてありがとうルイス!失礼なことを言ってすまなかった」


 そう言って謝ってくる少女。

 いちいち大袈裟だな。


 だが逆に何故か笑えてくる。


「どうしたのだ?ルイス」

「いや、なんでもない。愉快な人だと思ってな」

「くっ………つい素が出てしまったか」


 恥ずかしそうにそう口にした彼女。

 そうだな。とりあえずこの頭が愉快な剣聖のやりたかった事をさせてから次の動きについては考えようか。


 とは言えとりあえずだな。


「おのれポイズンスネークめ。だが今は倒せないか」


 そう言って頭を横に振って俺に目をやる愉快な剣聖。


「くっ………今回は悔しいが王都に戻るしかないか。それと今更だが助かったよルイス」

「なに、気にしないでくれ」


 そう言ってから俺は更に森の奥に足を向けることにした。


「え?そっちは奥だぞ?!ルイス?!」

「それが?」

「それが、って?え?!」


 まだ分からないのだろうか。なら口にしておこう。


「ポイズンスネークとやらはこの奥なんだろ?行こうぜ」

「「「「えぇぇぇぇぇぇ?!!!!!!」」」」


 愉快な剣聖とその仲間達の絶叫が森に響いた。

 それにしてもこれは何の悲鳴なんだ??





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