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3話 ボタンとの会話

 俺はエリザベートの死体を見てからローエンの近くに寄った。


「お疲れ様」


 その開いていた瞼に手を当てて閉じさせた。

 この様子じゃニーナは、どうだろうな。

 念の為に探すか?


「………」


 考えるのをやめて黙ってエリザベートに近付いた。


【四天王の1人エリザベートの死亡を確認しました。エリザベートを使い魔にしますか?】


 俺はYESを選んだ。


【オプションとして四天王エリザベートの現在のステータスを減らすことも可能です。減らした場合減らした分のステータスはマスターの憎しみ数値に加算されます。なお9999を超える場合のポイントは反映されません。以下が現在のエリザベートのステータスです】


━━━━━━━━

【名前】エリザベート

【ジョブ】アンデッド

【レベル】78

【体力】1500

【攻撃力】858

【防御力】798

【すばやさ】900

【魔力】1850


【固有スキル】

・虐殺の天使EX

───────神が貴方に味方をする。貴方に斬られた生物は無限の苦しみを味わう

━━━━━━━━


 俺は適当にこいつのステータスを減らすことにした。

 増やした時とは逆で数値の横にある↓を押せば減っていくようだ。


 代わりに俺の【憎しみ】という数値が上がった。


━━━━━━━━

【名前】エリザベート

【ジョブ】アンデッド

【レベル】5

【体力】69

【攻撃力】28

【防御力】24

【すばやさ】25

【魔力】0


【固有スキル】

・虐殺の天使EX

───────神が貴方に味方をする。貴方に斬られた生物は無限の苦しみを味わう


━━━━━━━━


 何か怖そうな固有スキルはやはり残ってしまうみたいだ。

 これもどうにかしたいのだが………。


 そう思っていたらまたスキルウィンドウが表示された。


【固有スキルを剥奪しますか?剥奪した場合、ティーチャブルスキルとして使用可能です】


 と出たので、よく分からないがとりあえず剥奪しておくことにした。

 なんだ、これも剥奪できるんだ。


「げほっ!げほっ!」


 一通りの作業を終えたら咳き込みながらエリザベートが起き上がってきた。


「こ、ここは………あれ、私死んだんじゃ?」

「死んだ。お前は今俺の駒だ」


 簡単にここまでの経緯を説明する。


「私は今ルイスの使い魔ってこと?」

「そう」

「はー?有り得ないんだけど」


 そう言って俺から離れようとしたが


「な、何で?」


 教会の外に出られない。


「使い魔はマスターから一定以上離れられない。せいぜい俺の駒として働いてくれ」


 そう言ってからボタンに目をやった。


「ふっ………ガキが、ませやがって」


 ダンディーな声が聞こえた。

 誰の声だと思って見回してみたが。


「俺だ俺」


 下に目をやると


「俺だボタンだ」


 ………だ、誰ですか。


「この俺をアンデッドにするなんてな。あれだけ嫌がってたネクロマンサーのスキルを使うなんて大人になりやがったなお前も」

「本当にボタンなのか?」

「あぁ。俺がボタンだ」


 何で俺はこいつに父親面されてるんだ?

 キュムキュム言っとけよキュムキュム。


 まだ可愛げがあるだろ?!


「どうやらな俺とお前が主従関係になった事で会話が出来るようになったらしい。もしあれならキュムキュム言ってやるが」

「ならそれで頼む」


 今更喋るボタンなど違和感しかない。


「キュムキュム」


 本当にキュムキュム言い始めた。

 でも有難い。今はいろんなことが起きたせいで戸惑いの方が大きいし。


 後で話をすることにしよう。

 そう思ってからエリザベートを見た。


「何人殺した?」

「私は殺してナイカラ」

「何人殺させた?」


 あくまで殺していないというのなら質問を変えるだけだ。


「村人全員」

「目的は?」

「魔王様に言われて」

「魔王様の目的は?」

「知らない」


 知らないか。

 本当に知らないのだろう。


 俺の前で使い魔は嘘をつけない。


「くそ」


 一言漏らしてから俺は教会の外に出ることにする。


「ねぇねぇルイス」

「何だ?」

「私どうなるのカナ?」

「駒として働いてもらう」

「そんな………」

「当然だろ?お前自分が何をしたのか理解しろ」


 そう言ってから俺は教会の外に出ようとしたその時


「ま、待ってルイス」


 神父のいた方から声が聞こえた。

 これはニーナの声だ。


 振り向くとこちらに向かってニーナが走ってきた。


「ご、ごめん。体が震えてて中々出て来れなかった」

「それより生きてて良かった」


 見る限り死んではいないようだ。


「生き残りがいたなんて………私もマダマダダネ」


 悔しそうに足で地面を踏みつけたエリザベート。

 俺の駒になったと言っても性格までは簡単に変わらないか。


 固有スキルに残虐な天使というものを持っていただけはある。


「神父が守ってくれたの」

「そうか」


 最後に守ってくれたんだなローエン。

 心の中で礼を言ってから俺はもう一度教会の扉に目をやった。


「ねぇ、ルイスこれからどこ行くのカナ?」

「兎に角外の惨状を確認したい。話はそれからだ」


 そう言って外に出ると俺は今の村の現状を確認する。

 生き残りはいるか。


 どの程度壊されたのか、その道中で何度も何度もモンスターが襲いかかってきたがエリザベートに黙らせた。


 弱体化しているとはいえ流石元四天王と言うべきなのか直ぐに黙るモンスターが多かった。


「やっぱり私の可愛いもんすたちゃん達が全部ぶっ壊しちゃってるネ☆」

「ボタン。やれ」

「ちょ、待って待って!ごめん!冗談!」


 必死にエリザベートが否定してくるのでやめておく。

 既に死んだやつを何度も何度も殺すつもりにはなれないな。


「お疲れさま」


 目を開けたまま死んでいる奴らの目を塞いでいく。

 もう生きている存在なんて俺たちを除いて誰もいなかった。


 俺の育った村は完膚なきまでに潰されていた。

 もう何も残っていない。


「どうするの?ルイス」


 不安そうに俺の腕に抱きついてくるニーナ。


「とりあえず王都に行こう。ここにいても何も始まらない」


 金もない。

 何も無い。


 そんな状況でこんなところにいても仕方がない。

 それどころかこの惨状だ。直ぐに第二波が来ても不思議では無いのだ。


「分かった」

「私も行くんだよね?ソレ」


 聞いてくるエリザベート。


「当然だろ」

「私四天王だけど大丈夫カナ?」

「俺はお前の顔を知らなかったし名前も知らなかった。王都に知っているやつがいるのだろうか、お前が四天王だということを」

「ンーワカンナイ」

「まぁ気付かれたら気付かれたでその時は俺が話す。お前は今俺の使い魔だということを」


 兎に角今は王都に行こう。

 ここに残るのは危険だろうし。



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