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【ない】がある 後編 / 飛鳥part1

久しぶりの【わたにほ】です。

12月5日(水) おやつ前 晴れ


 ガチャ!

 「ふへ~ただいまー。鍵開けといてくれてありがとー。帰ったぞーう」

 「41分……」


 ミッションをコンプリートして満足げに帰宅したうちに返ってきた言葉は『おかえりー』では無く、仁王立ちかつ無表情で出迎えてくれたみーちのタイムの読み上げだった。

 一瞬何の時間か分からなかったが、おそらくうちが家を空けていた長さとみた。どうやら目標の30分以内での帰宅は叶わなかったようだ。でも目標タイムをオーバーした分、人生が豊かになった自信が今まさに手元にある。

 しかし、突然何も言わずに飛び出したうちが何をしていたのかをみーちは知らない。41分さぞやヤキモキしただろう。悪い事をした。

 バッグを置いて、靴を脱ぎながら戦果を朗らかに報告する。


 「山椒を買いに行ったのね!でね、レジに行く前に野菜売り場をチラ~っと見たら、アボカドが1個98円になってたの!爆安って思って2個買っちゃったー♪折角だからみーちも1口食べてみる?美味しそうなの選んだんー…」

 「座りなさい」

 「ひへっ…」


 めちゃめちゃ怒ってるっ……!!

 胸の前で組んでいる腕に凄い力を入れたのか、着ているパーカーがギチィと擦れる音が良く響いた。綿生地は楽器だったのか。

 また同時に、[怒ると目が三角になる]と言う眉唾の事象が真実であると言う事が至近距離で実証された瞬間だった。

 うん、その怒りは甘んじて受けよう。知り合いが居ない過去で突然唯一の身内が居なくなったらそりゃ誰だって怒る。知らない場所に置き去りにされたら誰だって置いていった奴が儚くなったとしても恨み続けるもん。

 でも、それにしては些か怒り過ぎな気がする。多分だけど、これは世に言う親の仇を見る目をしている。貴女と私の親は同一人物なんですが。

 そこまでの怒りの理由が分からず首を傾げながら靴を揃えて立ち上がり、再び憤怒の炎に揺らめく両目を見たところで気が付いた。


 「……はっ!スマホに連絡してくれてた!?キンちゃんの横で鳴っちゃったでしょ?忘れー…」

 「それじゃねえよ!何勝手に山椒だけでなくアボカド無許可で買ってんだよって話だわ!グダグダくっちゃべってないでとっとと手ぇ洗って着替えてテーブルんとこ座りなさいっ!」

 「はわっ…」


 違った。無断で消費行動をした事に対する激怒だった。

 冷たいお茶を飲みながら『池田さんの生け垣の所で人にちょっとぶつかっちゃってね~』と、のんびりと報告してから飛鳥時代に集中して取り組もうと思ったけど無理そう…。

 いや、人の怒りは最長で20分とテレビでやっていたから、走ったあとのクールタイムと思えば苦には感じないはず。


 「……返事」

 「は、はいっ!」


 返事をしてから剣幕から逃れるように洗面台にあたふたしながら向かったことで、何故か開きっぱなしになっている洗面台下の収納扉に思いきり脚をぶつけた。……いつも閉めきったままなのに何で開いているんだろう?

 その疑問に対する答えは、急いで着替えて向かったリビングのテーブルの上にあった。


 誰が予想出来ようか。うちの分であろう熱々の緑茶と共に多神さんが押し付け-…うちらを案じてくださった赤と青のスイッチが置いてあることを。

 あまつさえ、みーちが赤い方を右手で青い方は熊のぬいぐるみの手を使って同時に、かと思いきや時折交互にカチカチと何の躊躇いも無しに無表情で押しまくっていることを。……着替えている時に(なんかカッチカッチってウィンカーみたいな音聞こえるなー)って思っていたら、発信源それかっ!

 てか、非常事態じゃないのに押して良いの!?何処かで地殻変動とか起きてない!?

 じゃなくて、多神さん今何してるの!?止めなくて良いの!?

 麻来は、この奇怪な行動してる人の前に座るの嫌です…。


 でだ。

 検証:本当に20分で怒りの炎は鎮火するのか?


 その結果は…【怒りの度合いによる】だった。

 まず、うちが席に着く前に熱々のお茶を用意している時点で憤りは天井知らずだったんだろう。もうもうと立ち上る湯気から『ハッ!冷たいお茶?お前にそれを飲む権利があると思ってんのか!』ってニュアンスの強いメッセージを感じた。

 時間にして約1時間ぶっ通しで怒られた。うちが家を空けていた時間を越えた。

 辛うじて何とか伝える事が出来た『青年は縫ってないから安心して』の言葉は、『何を!?』と返され、主語無しで双子は会話が成立する説も見事に崩壊した。



*****


夜 晴れ 心は曇天


 「あ、あのー…お手隙で見て貰えませんか?」

 「………」

 「あっ!あのー!」

 「聞こえてっから!ちょっと待ってろ!」


 スタート時間がお説教(不可抗力)で遅くなってしまったため、本日のお夕飯のリクエスト権は無効となったが、実々様は慈悲深くもカレーを作って下さった。心から感謝しております。

 明日はカレーうどんですね。山椒買っておいて良かったです。

 

 カチャッ!

 「ふーう。やれやれ…。見せてみぃ」

 

 ガスを消してスタスタとこっちに向かって来てくれたので、すかさず席を立って迎える。


 「お願い致します」


*****


【わたにほ】

《飛鳥時代part1》 ※お手隙で結構ですのでワイドショー風で…ね。


◇飛鳥時代の少し前の話◇ ―頂を狙う者―

 

 昔、男ありけり。名を蘇我馬子。この男、少々頭が切れる。

 欽明(きんめい)天皇が没し、その子である敏達(びだつ)、次いで用明(ようめい)が即位した。

しかしその後も継承権を巡り、争いは一向に耐えない。

 そこで策を一つ講じた。仏教や朝鮮半島などの政策方針で何かと争ってきた物部守屋(もののべのもりや)を討ち倒し、崇峻(すしゅん)を即位させた。

しかし、これでは駄目だと直ぐに分かった。

 大陸では589年に隋が中国を統一、倭国への影響は計り知れない。

 ならばと592年に政治手腕に不安のある崇峻を殺害し、敏達の皇后として政治的資質が広く知られていて、かつ自身の姪である推古を擁立することにしたのである。

 すべては蘇我氏を中心とする理想のために…。



□飛鳥時代、はっじまるよー♪□ れっつ時系列☆


・593年 推古元年、つまり飛鳥時代開始 *1

叔父の蘇我馬子と甥の厩戸(うまやど)皇子[聖徳太子]と共に政治を行う! ※1

 推古は女性初の天皇!別称[豊御食炊屋姫(とよみけかしきやひめ)]←美味しそう!

   

・600年 第1回遣隋使派遣!

 この事は『隋書』に記載はあるが、『日本書紀』には無い。

 倭国人が中国の都に行くのは百年以上ぶりで、見事に国力の違いを見せ付けられ焦る…。


政権関係者A「いやぁ~倭国も諸制度の整備をしないとマズイと思いましたね…」って事で、急ピッチで取り掛かっていく。↓以下↓


・602年 百済僧観勒(かんろく)が歴法・天文地理学の書を伝える!←これ以降、物事を年月で記録するようになるのです。


・603年 冠位十二階を定める! *2

 上から徳・仁・礼・信・義・智という儒教の徳を大小に分け、十二階とした。個人の才能や功績に応じて授けられ、冠位はその者一代限りのもので、昇進可。

 位色が各々何色であったかは不明。ただ大小は色の濃淡で差別化していたそう。


・604年 憲法十七条制定!

 諸豪族に対する政治的服務規程や道徳的訓戒を説いたもの。

 Ex)和を尊べ・仏教を敬え・早く出仕して遅くに帰れ←突然のブラック企業臭!


麻来「ちなみに604年は甲子(きのえね)革令の年で、【甲子】は天意が(あらた)まり徳を備えた人に天命が下される年なのです!」


―これで国家体制は最低限整えられた…。よし、リベンジだ!―


・607年 第2回遣隋使派遣!

大使は小野妹子!渡した国書がさも隋と対等関係であるかの形式で、バッチリ煬帝(ようだい)の不興を買ったのは有名な話。

◎この遣隋使のポイントは、朝鮮半島の三国が以前と変わらず冊封を求めているのに対し、倭国は求めなかったことにアリ!

→翌年、隋の使者の裴世清(はいせいせい)と倭国に帰国する。


★[日出づる処の天子、書を日没する処の天子に致す]の問題点は、『天子』!なぜなら…天子は皇帝唯一人であって、倭国王が自称するのは失礼千万だからです。


・608年 第3回遣隋使派遣!

 裴世清を送りがてら、高向玄理(たかむこのくろまろ)南淵請安みなみぶちのしょうあん・僧(みん)らを留学生・留学僧として隋に派遣。←後に活躍する!


・610年 高句麗僧曇徴(どんちょう)が紙・墨・絵の具の製法を伝える!←助かります。


・620年 聖徳太子&馬子、『天皇記』・『国記』を編修!←内容不明!


・622年 聖徳太子没



■この頃世界では…■


・598年 隋、科挙による官吏登用制度を開始! ←1905年まで続く!

・618年 隋が滅び、唐に! ←早っ!

・622年 ムハンマドがメッカからメディナに還る![ヒジュラ]



□飛鳥文化□

 初めての仏教文化。中国・朝鮮半島だけでなく、ギリシャやインド等の影響も受けていて国際色豊かなものとなっています。

以下、代表例↓↓


◎法隆寺:世界最古の木造建築!

・1993年12月11日、日本で初めて世界文化遺産に登録された。いぇいっ☆

・柱の中程が膨らんでいる【エンタシス】はパルテノン神殿と類似!


◎飛鳥寺:蘇我氏の氏寺として建立されたが、同時に飛鳥時代の仏教拠点として繁栄!

・仏舎利(釈迦の遺骨)を納める塔を中心に東西と北を金堂が囲む伽藍配置は朝鮮様式を受け継いでいる。

・日本で初めて瓦屋根を採用!

◇麻来の予告「次回、この場所でドラマがっ!」


◎飛鳥寺 釈迦如来像:飛鳥大仏とも呼ばれる。

鞍作鳥(くらつくりのとり)の作の現存最古の仏像!

・275.2㎝!アルカイックスマイル!


◎中宮寺 天寿国曼荼羅繍帳てんじゅこくまんだらしゅうちょう:聖徳太子の死後、妃で推古の孫である橘大郎女たちばなのおおいらつめが作らせたもの。

・現存するのは1辺90㎝弱四方だが、本来は2m×4mの繍帳が2帳あったとされる!←大きい!

・当時の貴族の服装が分かる史料としても貴重!



◆麻()話◆ ―聖徳太子って…―


・太子の母は救世観音菩薩と名乗る金色の僧が胎内に入る夢を見て懐妊した。←ホラー!

・2歳の時に合掌して「南無阿弥陀仏」と唱える。←何があった…。

・少年の時に父である用明の死と叔母の推古の即位を予言。←イヤな子どもっ!


・【夏日星(なつひぼし)】敏達天皇の時代のこと。歌詠み名人のもとに夜、童子が突然現れる。名人は歌で童子の正体を尋ねると、童子が「あまの原、南にすめる夏日星、豊聡(聖徳太子)に問へ、よもの草とも」と返してきた。なので言われた通り太子に聞くと、夏日星は[火星]のことと教えられる。←火星は地球の半分の大きさだけど…え?


・【天寿国繍帳】太子は膳部(かしわで)妃と暮らし、彼女の死の翌日に亡くなった。一緒に暮らせなかった橘大郎女の哀しみと妬みは計り知れず…。生前太子に「世間虚仮、唯仏是真」(世の中は仮の宿であり、ただ仏だけがこれ真である)と聞かされていたので、あの世では永遠に一緒に暮らせると思い作らせたのが天寿国繍帳だった!

 何故なら天寿国は阿弥陀浄土の事で、相当高貴な身分でないと入れない。天皇の孫である自分は入れるけど、膳部は入れない。つまり太子を独占出来ると考えたらしい。←女のマウント!



○まとめ○


・蘇我氏は王権と密着し、勢威を振るった。

・推古朝は国制整備や遣隋使派遣による東アジア世界での地位確率を目指した。

・仏教を通して文字が浸透していった。

・仏教は支配者層を中心に広まっていったが、[深い理解]をしているのは極一部のみであった。



*1:593年の覚え方!【広まる仏教外国産(593)!】

*2:冠位十二階は皇族と蘇我氏ら最上層豪族、地方豪族は対象外。

※1:20歳で皇太子・摂政になったと言われていたが、当時は皇太子制は未確立。また『日本書紀』に「政を録り(ふさ)ねしむ」とあり、摂政の役割も疑わしい…。

 そして、<厩戸>を「うまやと」と読んだり、聖徳太子と表記するなと言う文献もあるが、ここでは分かりやすく聖徳太子とす。

(2566字)


☆諸説あり!

☆あくまで個人の意見です!

        To be continued…


*****


 「飛鳥時代は今のところpart4までの予定。もしかしたら5になっちゃうかもだけど、そしたら深掘りし過ぎちゃうかなーって思って、自重するために4回」

 「聞いても無いのによう喋るな」

 「ひっ…」


 酷いっ…。

 Part何回まであるか気になるかなって思って、目線が画面から外れて一呼吸置いたところで伝えただけなのに。

 アボカドと山椒購入の罪はいつ刑期を終えるんだろう…。


 「で、質問して欲しいんでしょ。じゃあー…何で紫色が1番高貴な色なの?まぁ中国の影響なんだろうけど…」

 「えっ…紫?」


 これが世に言うサトラレなのだろうか。

 (冠位十二階で1番上の[徳]の色の定説は紫だったけど、今は研究が進んで真緋(あけ)色が有力説。でもそれも確証は無いから書かないでおーこう)って思っていたのがバレていたの?

 うち、紫なんて単語を今回1個も打ってないよ!?

 あと、確かに質問があるならばして欲しいけど、それはあくまで内容についてだよ!?


 口元が勝手にヒクッと引きつって目の焦点も定まらない中でも、みーちが喧嘩腰とも思える表情でうちを見上げたまま一切微動だにしてない様子だけはハッキリと分かった。

 な、何としても答えなきゃっ…!

 書き散らかしたノートのページを見えない恐怖に追われる気持ちになりながらバラバラと捲り、それらしき記述を探していく。ない、ない、これじゃない。……あっ、あったーっ!

 平安時代になってからその質問してよと言いたいのを堪え、何とか無難にこの場を乗り切るべく、待ちの姿勢を崩さない御方の目を見る。はわっ…直ぐに目が合った。震える。


 「えーと…陰陽(いんよう)五行説の五常が<仁・礼・信・義・智>で、各々当てはまる色があるんだけど…紫はそのどれにも当てはまらない色だから、五行を統べる色だって考えだったらしい。あ、あとこれは個人的意見になっちゃうけど、紫は染料が貴重だったのもプレミア感を出してた理由の1つだったのかも」

 「あ、そう」

 「うん……」


 貴女は本当に興味があってこの質問しましたか?とは、絶対に聞かない。思うだけ。

 何故なら…マルタイはもう次の質問をしようと口を開いているから!…決して怖いからじゃない。


 「んじゃ、次ね。日本では科挙的な官吏登用試験無かったの?」

 「んんっ?」


 隋の時代から科挙が始まったよーって紹介しただけなのに、予想に反して食い付かれてしまった…。

 はっ…!アレか!みーちは大学時代に科挙についてのレポートをやったから黙っていられなかったのか。くっ…怒っていると思いきや可愛いところを見せてくるとは…ギャップを見せ付けてきたな。


 で、何て答えようかな。試験はあるんだけど、もう少し後になってからなんだよねー。それに詳しい知識がまだ無いから、変に答えて後々になって『この、嘘つきがっ!』って罵られたく無いし…。

 眉毛をハの字にして気難しげに、でも正直に答えておく。これが麻来の今出来る精一杯です。(料理人風)


 「試験はあるけどもうちょい後になってからなの。それにこの時は字の読み書きが出来るのは、僧尼とかの仏教の経典を読んだりしてる人と支配者層や知識層だから、試験いらないよね」

 「ん」

 「いてっ」


 つねった!

 右前腕中程をエンタシスされた!

 もしかして、うちが言った最後の『試験いらないよね』が、みーちを小バカにしてると思ったの!?…だとしたら冤罪だよ。

 喋っている間中、何の感情も抱いてなさそうな表情だったから、つねられるなんて微塵も思わなかったよ。おまけにヤり慣れている自然な動きだったし。

 はい、これでもう麻来は心が折れました。

 クイズを2つ用意していたけど、1つにしよう。もう1つは明日出す。

 横に1歩離れてみーちと距離を取ってから、変に誤解を抱かれないように真面目な顔で問い掛ける。


 「では、クイズです。今までの宗教と仏教には明確な違いがあって広まったんだけど、その違いとは何でしょう?」


チッカチッカチッカチッカ……カンカンカン!【脳内の音】

 (はわわっ…無意識にさっきのボタンのカッチカッチ音にシンキングタイムの音が引っ張られた…!)


 「んー…仏教は修行して神になるとかの要素が謙虚!堅実!な精神を養う上で良かったとか?あと絶対神みたいのが居なかったのが良かったんじゃん?」

 「お、おーう…」


 機嫌の良し悪しは横に置いておいて、ちゃんと答えてくれた。

 ただ、『謙虚!堅実!』と言った時は鋭利な視線でうちを射ぬいてきた。…この質問こそ今日じゃ無かったかもしれない。

 そして用意していた答えといつも通りと言うべきか、ベクトルが違くて困った。みーちは生真面目な修行僧のスタンスだった。


 「えっと…今までは山とか巨石とか巨木に神が宿っていて、神自体は視認出来なかった。そこに仏像と言うバッチリ見えるものが登場して、信仰しやすかったのが理由の1つって本にはあったよ」

 「ほう。質問の仕方が悪いな」

 「はい…以後善処します。で、最後にこれはみーちの意見を聞きたいんだけど、冠位の<義>は白色だったって考えられてて、白色の濃淡って何だと思うー?」


 ダメ出しをされてもめげない強い気持ち、大切にしたい。

 そして明確な答えの無い疑問を考える楽しさ、共感したい。

 高校時代から(白の濃淡って何だよ。小の方がちょっと黄ばんでんの?それとも大の方がオフホワイトなの?真っ白なの?)って、ずっとモヤモヤと考えていた。

 史料が無いからこれに関しての真の正解と言うものは無い。故にロマンしかない。好き勝手に考えられるなんて最高だと思う。

 折れた心がすっかり元通りになって、そわそわとみーち説を待っていたら、眉毛をグッと寄せた怪訝な顔をされた。…あ、怪しい者ではございやせん。


 「生地の厚さじゃん?透けてたら薄く見えるし。もう良いでしょ。カレー温め直すわ」


 うちを警戒する表情を崩さないまま意見を言い切るや否や、キッチンに戻っていってしまった。

 でも今はそれを引き留める余裕は全く無い。

 何故ならーーー 


 「しっ…、し、新説だーーっ!」


 目から鱗だから!

 生地の厚みなんて微塵も考えた事なんてなかったよ。凄いよ実々ちゃん!

 『お前の位階は太陽の下に出れば分かるんだよ。まさに白日の元に晒されるってな!クハハハハッ!』って事だね!

 どうしよう、滅茶滅茶興奮してる…。

 この感情は一人きりだったら絶対に味わえなかった。多神さんはきっとこの事も見越してみーちを連れて来てくれたんだ。神だ…。

 いや、元より多神さんは神様だ。


 ん?……んあ?


 た、たたたっ大変だ!

 お説教中にみーちがボタンを連打しているのをやんわり窘めた時に、『こんだけ押しても神様は何もしてくれなかった』って言っていたのを忘れていた。新説に熱を上げている場合じゃなかった。

 みーちの多神さんへの信頼が、日本海溝最深部レベル(8020m)まで落ちているのを一刻も早く何とかせねばだった。

 『多神さん』と言う愛称ではなく『神様』って疎遠な呼び方をする程だもん、関係改善は急務だわ。

 そんでもって、うちがちょいとぶつかってしまった青年は本当に大丈夫なのかも聞こう。忙しくなるわー。


 左手人差し指にすっかり馴染んだ気がする指輪に向かって、今晩お話ししましょうねと念を送っておく。


 「カレー食べる人…?」(小声)

 「はい!はいはーいっ!」


 でも今は、ボソッとキッチンから聞こえたみーちの問いに両手を挙げて全力で答えるのが先決。多神さん、後程っ!



12/5(Wed)


 今日はとても悲しい事がありました。

 まず1つ目は、山椒が無くなった事です。

 2つ目は、みーちに怒られまくった事です。

 3つ目は、みーちにエンタシスを腕に作られた事です。

 最後の4つ目は、わたにほで[百年]と打った時に予測変換で【百年の孤独】と言う麦焼酎の銘柄が出てきた驚きと、小野妹子が第3回遣隋使の役目を終えた後は消息不明だと言うプチ情報を伝えられずに終わった事です。


 あ、訂正。ちょっとしたアクシデントがあると、何気無い話題を出せなくなると言うのが5つ目でしたね。ハハッ…。


 青年はイカしたパーカーを何処で買ったんでしょう?流石にそれを聞くのは、あと3回くらい会わないと聞けないです。でも次に会った時に、「その髪留めの構造はどうなってるの?」って聞くのはセーフな気がします。めっちゃ聞きたい。

 

 最後に、みーちに数えきれぬ回数を押されたボタンが壊れていないか不安だと書いておきます。カッチカッチ。

             終わり

[字数 16161+2566=18727]



*真緋は当時伝わったばかりの茜染めによる深い赤色のことです。

 紫は研究で蘇我氏が冠に使っていた色であるとされ、冠位には使用されていなかったのでは?と、現在では考えられているそうです。



気付けば長文になってしまっていました。

次回は実々視点の投稿か、飛鳥part2です!


ちなみに、この話の無いがあるは…

無いはずのボタンがテーブルの上のあった!でした。

実々によるお説教の全貌は実々視点の方でやります!

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