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書いてあると助かる 後編 / 古墳part3

夕方からの話です。


夕方 曇り


 「古墳ふんふんふーーーーんっ!」


 達成感に酔いしれながら、丸まった身体を座ったまま上下に思い切り伸ばしつつ終了を告げる。


 「え?そのアホげな言葉は終わった合図って事?」

 「アホかは分からんけど、終わったからカムヒヤ~」


 椅子から立ち上がり、両手でおいでおいでをして現状をまだ把握しきれていない女性を誘う。

 それに対して、不満げな顔を惜し気もなくこちらに向けながら空いた椅子に座った実々氏は、キンちゃんとうちの間の空間をフワッと見ながらポツリと疑問を漏らして来た。


 「あーちって普通に呼びたくないの?」

 「ほへ?拘りなんて全く無いけど…。でもそう言うんだったら世間で1番使われている、人を呼ぶ方法を教えてくれたらそれにするわ」

 「ウザうぃ……」



【わたにほ】

《古墳時代part3》 ※ワイドショー風でお楽しみ下さい♪

●前回の続き、今回は後期〔6世紀初頭~592年〕の話


□いらっしゃいませ、渡来人

・5世紀末から半島では高句麗の勢力が増したことで、百済の人々を中心に渡来して来た!←よぐきたねし(ようこそ)!

・ヤマト王権はこれらの渡来人を『帰化人』と呼んだ。

・帰化人の皆さんは、文字/鉄製産技術/治水技術/須恵器etc...多くのものをもたらしてくれた。←感謝!



□支配体制っぽいの出来る


Case1.中央 《氏姓制度》を確立!

氏:大王家(のちの天皇家)に仕える豪族の親族集団

  ex)蘇我氏・物部氏・大伴氏

姓:大王に地位や職に応じて与えられた称号

  ex)臣・連

☆これらは皆、有力な中央の大豪族で、その下に中・小豪族で構成された[伴造(とものみやつこ)]や[伴]がおり、王権の職務を分担していた。←トップダウン構造!


Case2.地方 《国造(くにのみやつこ)制》

 それぞれの地方で1番力がある豪族を、[国造]に任命し、いくつかの地域をまとめた〈国〉という行政区域を支配させつつ、王権に奉仕させるもの。←市区町村の首長のようなもの!

屯倉(みやけ)》王権の直轄地を各地に設置し、地方支配の拠点にした。



★麻来的!~朝鮮半島と倭国物語~

〔最終話〕 権力の届かぬ者

 6世紀に入り、新羅は急激なスピードで国家体制を固め、524年に半島南部の加羅諸国への侵攻を始めた!

 倭国がこの暴挙に指を咥えて見ている訳も無く、527年に6万の軍勢を送ろうとした矢先、筑紫の国造である磐井(いわい)が玄海灘を封鎖し、これを妨害。

 この事件を人は【磐井の乱】と呼ぶ。

 翌年乱を鎮圧するも、532年加羅諸国は新羅に滅ぼされた…。

                    完



□文化が来る!

・513~ 〔儒教〕が五経博士によって伝えられる! *1

・538年or552年 〔仏教〕が百済の聖明王から公伝される!金銅の釈迦如来像や経論を送ってくれた。 *2



□この頃の古墳は…

・前方後円墳の規模が縮小!(畿内を除く)

・北部九州では石を削って造る、[石人(せきじん)]や[石馬(せきば)]を古墳の周りに設置!

[群集墳(ぐんしゅうふん)]が出現!地方の有力農民も古墳を造るようになり、小さな円墳が数百基まとまって造られるようになった。←壮観!

・人物や馬など、動物を模した埴輪が増加したよ。


↓代表的な古墳はコチラっ!

岩戸山(いわとやま)古墳 @福岡県八女市

・あの磐井の墓とされている!

・九州最大の全長135mの巨大前方後円墳!

・ヤマト軍によって破壊された、石人・石馬の跡もある!←生々しい…。



□暮らし

<豪族の場合>

・周囲を濠や柵に囲まれた広大な屋敷に住む!

・服装は男性は[衣(ころも)]と袴、女性は衣と[裳()]を着用し、おそらく靴も履きはじめた。

※衣は今で言うロンT、裳はロングのプリーツスカートみたいなもの!

・[須恵器]を使用。渡来人にによって伝えられた、登り窯で約1200℃で焼いた薄くて丈夫な青灰色の焼き物。


<一般の人々>

・豪族の屋敷から離れた所に竪穴住居や平地式建物、高床倉庫の集落に住む。

・竈が設置され、お米は(こしき)で蒸すようになった!

・服は弥生からほぼ変化は無く、貫頭衣に女性は裳。靴の有無は不明。

・焼き物は脆い赤褐色の約800℃で焼いた[土師器(はじき)]を使用。


<呪術>

太占(ふとまに):神意を問うために、鹿の骨を焼き、そのひび割れで占う!

盟神探湯(くかたち):熱湯に手をいれて、そのただれ具合で真偽を判断する。←怖っ!

(はらえ):身に付いた穢れを取り除く。ファッサファッサ。



■この頃世界は…■

・571年 イスラム教の創始者ムハンマド生誕!

・589年 隋が中国を統一!



○まとめ○

・弥生時代よりも身分差が明確になった。

・仏教が権力者の中で広まり、墓は古墳から氏寺へとこれから姿を変えてゆく。

・6世紀に入ると、渡来人によって国内で鉄生産が可能になった!

・古墳時代は、中央集権の土台を築いた!



*1五経博士:儒教の経典を講じる官吏。人の名前じゃないよ!

*2仏教:当時、最先端の学問とされた。年表は552(午後に)538(御参拝)と覚えればOK!

(1521字)


☆諸説あり!

☆あくまで個人の意見です!

           To be continued…



 「さぁさぁ質問しちゃって~っ!古墳時代で曖昧な年表や内容が終わるよー。飛鳥時代から詳しくなっちゃうよー」

 「絶妙に質問したくなくなる前のめりさ…」


 失礼しちゃうな。

 わたにほを打ちながら、(これはみーちが遂に心待にしている理想通りの質問してくれるんじゃない?)って思ったから期待してるだけだもん。

 むぅ~と右頬を膨らませながら年甲斐も無く右斜め下の童顔を横目で非難すると、うちを遥かに上回るジト目が即座に返ってきた。そのリターンに思わず怯んで仰け反ると、気を良くしたのか一瞬でユルい雰囲気に戻った。妹の情緒が心配。


 「はい、質問ね。何で磐井は出兵を妨害したんですか?朝鮮が嫌いだったの?」

 「取り敢えず、磐井はツンデレじゃないから」


 古墳時代を代表する事件が感情にクローズアップしたドラマのように捉えられている…。

 うちの脳内では磐井が船首に両手を目一杯広げて立ち、「朝鮮になんて構うな!倭国に留まれ!行くんじゃないっ…!た、頼むっ…行かないでくれーっ!」って慟哭しているのが自動再生された。それと同時に、(朝鮮を良く思っていないのなら一緒に出兵するのでは?)と、冷静にツッコミを入れる自分も居た。

 歴史の当事者が不在な為、乱の真実は不明だけど、歴史書に記載されている内容をここでは伝えるしかない。

 1つ頷いてから、優しく見えるように口角を少し上げ、目を柔らかく細めながら語りかける。


 「磐井は新羅と繋がってたの。賄賂を貰ってたらしいよ。北九州はヤマト王権の影響力が弱かったんだー」

 「なーんだ」


 いったい何を期待していたんだ。

 歴史上の人物で「この人が好きーっ!」とか、所謂《推し》は特に居ないけど、磐井に対しては今確かに感情が芽生えた。[憐憫]の2文字が。過度に期待されてさぞ苦しいだろうに…。

 磐井の古墳がある福岡県八女市には八女茶を飲んだ事があるくらいしか繋がりが今のところ無いけど、機会があったら行くからね!と、瞼を閉じて西国に思いを馳せていたら、元凶が此方の気も知らないで時を進め出した。


 「あとはー…人口は何人くらいになったの?」

 「どのくらいになってると思う?」

 「えっ?うー…ん、100万人弱ってとこかな?」

 「正解は約540万人でしたー。兵庫県の人口と同じくらいだよ。増えたねー」

 「ふっ…私がワザと少なく答えたお陰で増加が際立ったね」

 「何で通販のやり口をここでやった…。普通に答えれば良いものを」


 この状況を誰かが見ている設定で、みーちは【わたにほ】に向き合ってくれてたんですか?やだ怖い。いや、違うな…やっぱ答えを大外ししたから強がっているだけだわ多分。それにしてはやけに澄んだ綺麗な目を向けてくるけど。

 そんな心の困惑が口元に苦笑いとして出てしまったけど、案の定用意したクイズを質問として聞いて来てくれなかったので、話を変えるためにも出すっきゃない。


 「チャチャンッ!では、問題です。6世紀に新羅が国家体制を固める事が出来た事と、倭国が中国の冊封から離脱する事を可能にした共通の理由は何でしょうか?」


 いかにも日本史勉強しちゃっていますなクイズじゃない?これ。更に言うと、実はその答えが【わたにほ】の文中にあると言う抜かりのなさ。これで脳にしっかりとポイントが刻み込まれますよ、奥さん。

 チラチラと得意気な視線を斜め上から何度も降り注いでいたら、俯き口を真一文字にして困ったような顔で考え込んでいた頭がガバリと上向きに動いた。


 「はい!中国がゴタゴタしてたから!」

 「にこやかにで他国の混乱を指摘するんじゃない。で、えー…と確かにそれも答えの1つだろうけど、用意していた答えは『鉄の国内生産が可能になったから』だよ。では、石人は高さが何cmくらいあると思う?」


 石人は大層マニアックな知識かと思いきや、しっかり図表に写真が載っていた有名人だった、石人だけに。さっき『せきじん』ってキーボードで打ったら1発で変換出来たのにも驚いた。『あさき』って打つと絶対に変換されない自分、負けた。

 勝手に対抗意識を燃やして、勝手に煮え湯を飲まされていたら、こちらも一発変換されない人間が自信ありげに回答を提示して来た。


 「んーとね、50cmくらい!」

 「ちっさ!160cmくらいのもあるんだよ。等身大サイズなの」

 「ほら、また私が低く言ったから大きく感じられたね」

 「えあ?……うん、そうだね」


 口では面倒だから肯定したけど、こればっかりはワザとでは無かったと絶対に言い切れる。

 表情から察するに、みーちは神社の狛犬くらいの大きさだと考えていそうな雰囲気を出していたし、2回もヤラせをするようなタマでは無い。何よりの決定的な根拠としては、『ほら』って言った時に若干目線と声が震えていたのを確と捉えましたから。

 そもそも別に正解を遠慮がちに述べろって言っていないんだから、正解よりスケールを大きく言ったりしても良いのに。ま、その理解に苦しむ思考もまた可愛げがあるけどね。面白ければ良し。

 今度は作った微笑みではなく、自然と形成された慈愛の表情で肩にポンっと右手を乗せて笑いかける。しかし、即刻嫌な顔で埃のように思いきり払い落とされ、天敵との邂逅かのように警戒心剥き出しで椅子の反対側に慌てて立たれた。酷い、冤罪です。


 「夕飯はシチューのドリア風で良いんでしょ?」

 「うん。チーズは良く焼きでよろしく~」

 「分かった」


 了承の言葉を言いながら、みーちはそそくさとキッチンに消えていった。

 どうしたんだ妹よ。全く分からないから、差詰ここはお腹が空き過ぎたからと言うことにしといてあげるね。

 キンちゃんをまた触る前にと、冷蔵庫を丁度開けた後ろ姿に『明日は図書館に行こうね』と、短距離のテレパシーを送ってから椅子に座り直し、夕飯の完成を待つことにした。



12/3(Mon)


 自分の夢なのに、思いがけない事が起きるのが夢なのかしら?なーんて、ポエムみたいな事を書いてみる。

 しかしながら、死んだら夢も現も見られなかったので住吉大神様に感謝。多神さんも「麻来はろくでもない人間だ」とか、うちのネガティブキャンペーンを神界でかまさずにいてくれてるようで何よりです。これからは更に良い子にしときます。

 2週間で古墳時代まで終わったけど、飛鳥時代からは本当に何日かかるのかは分からないです。そして、山椒の残量もあとどれくらいなのか分からないです。

 分から無さ加減は、前触れもなく別れ話を切り出されるのと一緒ですね。誰かか「フラれる側は終わりの予兆に全く気付かない。フラれるのはいつだって突然…」って言っていたのを思い出しました。切なひ。

 熱々チーズで負ったベロの火傷が痛いです。

                  おわり


[字数 14640+1521=16161]←凄い!


次回からは暫く実々視点の話です。


ちなみに『よぐきたねし』は津軽弁です。双子は一昨日まで「よぐきたにし」だと思っていました(笑)


【古墳編参考文献】

・『日本史史料〈改訂版〉』駿台日本史科、駿台文庫、2013年

・『大学の日本史 教養から考える歴史へ 1古代』佐藤信 編、山川出版、2016年

・『はじめての日本古代史』倉本一宏、筑摩書房、2019年

・『キッズペディア歴史館 日本史の大事件そのとき世界は』小学館、2020年

・『明日の防災に活かす 災害の歴史1 日本列島の誕生~奈良時代』伊藤和明 監修、小峰書店、2020年

・『5分間のタイムワープ ザンネン!?な日本史』山口正 監修、チーム・ガリレオ、朝日新聞出版、2019年

・『5分間のタイムワープ びっくり!?日本史の大事件』チーム・ガリレオ、朝日新聞出版、2019年

・『岩波講座 日本歴史 第1巻 原始・古代1』岩波書店、2013年

・『神話の世界をめぐる 古事記・日本書紀探訪ガイド』記紀探訪倶楽部、メイツ出版、2011年

・『ジュニア地図帳 こども歴史の旅』高木実、平凡社、2018年

・『大研究!日本の歴史 人物図鑑①弥生時代~鎌倉時代』歴史教育者協議会 編集、岩崎書店、2017年

・『ゼロからの古代史事典』藤田友治・伊ヶ崎淑彦・いき一郎 編著者、ミネルヴァ書房、2012年

・『日本史史料〔1〕古代』歴史学研究会 編、岩波書店、2005年

・『総図解よくわかる日本史&世界史同時代比較年表』関真興 監修、新人物往来社、2010年

・『《歴史ごはん》食事から日本の歴史を調べる 第1巻 縄文~弥生~奈良時代の食事』永山久夫・山本博文 監修、くもん出版、2018年

・『ビジュアル日本の服装の歴史①原始時代~平安時代』増田美子、ゆまに書房、2018年

・『山川 詳説日本史図録』山川出版社 2018年

・『新 もういちど読む山川日本史』五味文彦・鳥海靖編 山川出版社 2017年

・『歴史ごはん 信長、秀吉、家康たちが食べた料理 つくって、味わい、歴史を知ろう』永山久夫 監修、くもん出版、2020年

・『世界史とつなげて学べ超日本史』茂木誠、KADOKAWA、2018年

・『流れがわかる!年表でおさらい日本史』田崎俊明、ベレ出版、2019年


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