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実々:『略す』ではなく『増やす』

麻来の【誰にでも禁句はある】の対の話です。


 11月29日(木)  朝


 「普通質問する前に『違う』って言う~?本当にメソポタミア・メソポタミアだよー…」


 私の向かい側でたまご雑炊もどきを食べつつ、ひたすら喋り倒しているあーちに今一言言うなら…これしかない。


 「『めそめそ』をメソポタミアって無駄な字数で表現する人は、今のところあーちにしか会ったことないわ。それに、やっぱ一緒に行かないで正解だったね」


 …本当に一緒に行かないで良かった。

 たぶん最初に多神さんが『違う』って言った時点で私は羞恥で顔が真っ赤になっていたか、あーちに爆笑しているかだったと思う。

 というか『メソポタミア・メソポタミアだよー』って言われた時、一瞬分からなかった。

 女子特有の話が急に全然違う所に飛ぶ感じで、チグリス・ユーフラテス川がなんか急に話題に出てきたのかと思ったし、メソポタミア文明に関する何かの比喩かと思った。

 …なんでめっちゃ字数増やしてるんだよ。普通に『めそめそ』言ってろよ。

 

 「伝わってんだから良いじゃん…。うち的には何も見えない白い世界に味方が欲しかったよー」


 【メソポタミア・メソポタミア】しながらあーちがしおらしく行ってきたが、それよりも!


 「えっ?…うどっ……書斎的な所でいつも会ってるんじゃなかったの?」

 

 えっ?いつもうどん屋っぽい佇まいの書斎みたいな所で巫女ルックで会ってたんじゃなかったの!?

 何も見えない白い世界って何!?

 …あと『メソポタミア・メソポタミア』伝わってなかったからな!

 思わずあーちの発言に目を丸くしながら食いついたら、あーちは少しビックリしつつも深くは気にしないように言葉を続けてきた。


 「うーん…取り敢えず、書斎の地下で立川みたいにウドを育てているとは言ってなかったよ?で、書斎に行ったのは初回だけで、それ以降は自分の身体も何も見えない真っ白な空間で、墨汁の匂いの中で会話してただけだよ?」

 「そうなんだ…」


 あーちの『ウドの話』云々はもうツッコミするのも疲れたしこの際スルーするとして……


 「……………………???」


 えっ!?なんであーちは一度しか行ってないの!?

 あ、あれかな?多神さんがまた頭突きされるのを恐れてあーちと向かい合いたくないとか?

 それか面倒くさがって?

 あとはー…多神さんに限って無いとは思うけど、私が土下座するのを見越してて、変に気を遣ってうどん屋に招いてくれている説?

 というか、なに見えない空間で墨汁の匂いだけするってどういう状況?別に墨汁の匂いに癒し効果があるとは思えないんだけど…。

 あーちもあーちでちゃんと招待しろ!とは言わなかったんだね。…大人になってたんだね。


 しばらく悶々とカップを両手で包みながら考えてたけど…まぁ、答えは出てこないよね。

 気付けば紅茶も温くなっちゃったし、あーちもいつの間にか掃除機をかけ始めてたわ。

 まぁ、何も見えない空間で、あーちと一緒に多神さんの天からの声で『違う』っていうお言葉を頂く状況にならないで本当に良かったってことだけ分かっていれば良いか♪

 さ、洗い物と洗濯洗濯〜。


 パタタタタ……(小走りの音)


 この時、私は考えてる事が無意識にボソボソと漏れていて、あーちが私のことを少し遠巻きにしていたことにお昼ご飯の時に聞かれるまで全く気付かなかった。


 

*****


同日、お昼


 さて、今日のお昼は昨日買った茄子を使って甘辛茄子丼を作ります。

 まず、茄子を1センチくらいの輪切りにして、アク抜きの為に水を貼ったボールにしばらくさらす。

 それでアク抜きが終わったらナスの水気をキッチンペーパーで軽く拭き取り片栗粉をまぶす。

 そして油を少し多めに入れたフライパンにナスを入れてしなしなになるまで焼く。


 【ジューッ(焼いている音)】


 良い具合に焼けたら微塵切りにした生姜とみりん、醤油を上からジャーッとかけて絡めたら出来上がり!

 出来上がったナスをあったかいご飯の上に乗せれば完成。仕上げに上からすりゴマを振っても良いでしょう。ってな具合で茄子丼が完成した。


 さて、これから茄子丼を頂くわけですが…アレです、アレ。

 毎度お馴染みの『山椒ハァハァ女』がここでも降臨するのです。

 一度自分の中で荒ぶっている気持ちを鎮めるように深く深呼吸をして、そっと山椒を手に取り…差し出す。

 女は声には出さず、唯々ニッコリと深く笑んで例のブツを受け取った。

 そしていつもの如く『ハァハァ』するのだった…。    完


 ……山椒早く無くなれ!!



*****


同日、夕方


 「たーーーーーーーーっ!」


 いきなりロッキーかのように両拳を思いきり高く突き上げ、なんたが叫び出した。…たぶん完成したんだろう。

 今日は幕末辺りの日本をテーマにした小説を読んでいたので、武士口調で言わせてもらおうー…。


 「どれ、見てしんぜよう」


 ……………………。【わたにほの内容】


 (おっ、邪馬台国キター!…っていっても特段思い入れはないけど)

 (私は邪馬台国は九州説派かなぁ?)

 (みんな刺青してるとかやだわぁー)

 (なんで冬でも生野菜⁈土器焼いてんだから一緒に焼けよ!)


 ……………………。【読了】



 「今ここに、弥生の終わりを宣言致します!」


 あーちがどこか感慨深気になんだか宣言してきた。

 それはまぁ良いとして、質問に答えてもらおうじゃないの。


 「何で生野菜食べてるの?火を使うのは米と肉だけだったの?」

 

 さぁ、さぁ、さぁ、教えて下さいな?

 あーちの方に少し眼をギラつかせながら迫ったら「えっ?えっ?」と何故か少しキョドられた。

 いやいや、『えっ?』じゃないんだよ、あーちもなんで?って思ったでしょ?と、無言で眼で訴えたらあーちは私から微妙に視線を逸らしながら答え始めた。


 「気候が温暖だったみたいだから生で食べても平気だったのかもね。どんな料理を食べていたかは分からないけど、お米は大量のお湯で茹でて、茹で上がったら旨味が溶け出たお湯を捨てて食べていたみたい。調味料は基本塩で、高い身分の者は今の魚醤みたいな、大豆を発酵させた醤をのせて食べたらしい」


 ……………………。


 「お米可哀想っ…!」


 お米ちゃんが殺されてる!

 弥生人、お湯も一緒に飲んだら良かったじゃん!

 あーちでさえ分量間違えて炊いちゃった時だって炊き終わったお湯は捨ててなかったよ!?

 

 あの日は本当に戦慄が走った。

 あーちが久しぶりに米を炊いたと思ったら炊き上がった米はお粥…いや、赤ちゃんが初めて食べる感じのモノになっていた。

 そもそも最初の計量カップの段階から間違えていた。

 あーちが使ったのはお米用のじゃなくて母が薬を飲むのに使っていたMAX.70ccのカップだった。普通だったら違うって直ぐに気づく…だって明らかに小さいから。

 もしもそれでお米を研いでしまったとしてもお釜に水を張った時点で絶対気づく…だってお米がめっちゃ水面遥か下で泳いでいるから。しかも、その日は七合炊いたから水とお米の量の幅が半端なかった。……目を瞑っていたの?

 もちろん後で母にあーちは凄く怒られていたけど、あーちは自分のお茶目(?)さに笑ってた。

 そんなあーちでさえ、お粥を超えたお粥のお湯を捨てずに食べてたのに弥生人……どうしてなの?

 お米の冷遇に思わず瞳がうっすら潤んできた気がする。

 このままだと気持ちが辛くなる一方だから次の話題にしよう…ぐすん。


 「あーちは邪馬台国は何処にあると思う?私は北九州派だな~。倭人伝にはやっぱり日本海側のクニが記載されている可能性が高くない?それに文化も先に発展してたしさ」

 「ほほーう…」


 あーちの『ほほーう』って言った表情が、一発芸を期待していた時の多神さんに一瞬ダブって見えた。…つまり、上から目線ってことね。

 でもその上からな態度は一瞬でなりを潜め、


 「この時代の立派な遺跡も発掘されたし、銅鏡も畿内を中心に出土しているから畿内説派だったんだけど、色んな本を読んだりまとめていく度に、自分の意見を持てなくなったなう」


と、しおしおとハの字眉で語り出した。


 「あ、そう」


 まぁ元・畿内説派だと分かっただけ良いか。…絶対北九州だと思うけどね。 

 そしていつものクイズがさっきまでハの字眉していた人物から出題された。


 「卑弥呼の墓の長さが『径百余歩』とありますが、何mでしょうか?」


 チッチッチッ……チーン【考え中の音】


 「えー…50mくらい?」


 一歩を50㎝とすると、その100倍で50mくらいじゃない?


 「1歩が約1.5mだから、百余歩は約150mらしいよ!じゃあー…銅鏡は円形なのに何で『三角縁』って名前が付いているでしょうか?」


 150mって長いな。

 そして余韻に浸る間もなくそのまま次の質問に入っちゃうんだね…まぁ良いけど。


 「う~ん」と思わず唸りながらも正解を目指して自分の今まで培ってきた知識を掘り起こす……これで如何でござろう!?


 「縁の形が三角形なんじゃない?それか地名とか」

 「おぉーっ!地名が三角って斬新!で、みっちゃんの答えの通り縁の断面が三角形だからだよ」

 「いぇ~い☆」


 嬉しさで思わず普段は余りやらない万歳をしてしまった。

 人は嬉しくなるとついつい万歳しちゃうって分かったわ。

 さて、気分も良い所でそろそろ晩ご飯でござる。


 「夕飯は如何する?」

 「肉じゃがじゃー」

 「御意」こくり。


 肉じゃがのリクエストを貰ったので私が好きな『塩肉じゃが』を作ることにした。鶏ガラベースの優しい肉じゃがで、かなちゃんもお気に入りのやつ。

 本来の茶色い肉じゃがはあの醤油と味醂、砂糖のあまじょっぱいやつだよねー。あれはあれで良いんだけど、なんかご飯進まないんだよね…。


 塩肉じゃが大好き♡



11月29日(木)


 昨日の予想通りにあーちが恥をかいたらしい。本当に一緒に行かないで良かった。多神さんがどうしてあーちと面と向かって会わないのかが少し謎…。


 弥生人がお米を美味しく食べていなかったのを知って悲しくなった。というかそのお米を炊いたお湯で野菜茹でろよ!!って強く思った。


 今日はお昼は茄子丼、夜は塩肉じゃがにして2食白米が食べられて幸せな日だった。

 白米はやっぱり最高だな☆            

               end.



次回は幕間です。

今まで書けなかった事実とかもちょいちょい出て来ます。



先日、TVで「災害級の暑さ」と報道されていて、斬新な表現だな!と、思いました。皆さまどうかご自愛下さいませ。

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