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詩集箱  作者: 野々村鴉蚣
2/2

夕暮れのマタニティー

男がいた。

『お腹の中に赤ちゃんがいます』

そう書かれたシンボルを手に

男がいた。

車両の最前列で、

満足げに腹をさすって、

ほほ笑みを浮かべて。

スマホを見て。


隣の老婆が尋ねた。

「おめでたですか?」

男は答えた。

「えぇ、幸せな気分です」


下校時刻にしては

今日はやけに物静かだった。


────────────────


下校時刻になれば、子供らはどうなるでしょうか。

各々遊びに行くかもしれません。

電車の中で騒ぎ立てて、お年寄りや妊婦さんを傷つけてしまうかもしれません。

お腹の中に赤ちゃんがいます。

その言葉はどういう意味でしょうか。

本当に赤ちゃんがいるのでしょうか。

それは誰の……いや、なんの赤ちゃんなんでしょうか。

人は人というなりをしていますが、それは本当に人なのでしょうか。

もしかしたら、私一人だけが人なのでしょうか。

そもそも人とはなんなのでしょうか。

そもそも生命とはなんなのでしょうか。


どうして、私は男の形をしているのでしょうか。

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