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白狼と猟犬 第三十話

「なるほど。炎熱系の魔石……、君が今放ったのは炎の魔法が出る魔石が組み込まれている。銃火器には火薬の発する火を使うのが一般的だというこれまでの認識により、なおかつ威力も高そうな炎熱系を使用するのが適切ではないかという上層部の見解を元に組み込まれている。他の物を使い区別するつもりは無かったが検討してみよう。


 そのためにまずは威力を抑えないままで他二種類を用いた銃を一丁ずつ作り、政府・軍上層部を集めて軍の施設でデモンストレーションさせよう。新兵器開発という技術進歩は国民に蔓延した停滞気味の戦意昂揚、意気軒昂に繋がる。


 政治家の人気取りのアキレス腱だ。デモすると言えば、来いと言わなくても無駄に視察に来るような偉いのが、他所の用事をキャンセルしてまですぐに馳せ参じるからな。その後はテストの結果を逐次報告し、実戦で使い物になりそうだと判断させれば変更も容易いだろう」


「よくわからん大人の話はそれはそっちに任せる。顔の目の前でさっきの高火力でぶっ放して、ロマンとかいう寝言を言うヤツらに寝ションベン垂れさせてやれ。より実践的な検討は私にやらせろ。現場で本当に使い物になる銃を吟味するのは私だ。で、二種類って何だ?」


「魔法には炎熱系以外に氷雪系と雷鳴系があるらしい。そのほかもあるらしいが、よくわからない。我々には手に余るのだろう」


「氷雪系ってのは氷か? 氷の弾か」


「研究ではまだ解明されていないが、放たれるもの自体は氷そのものではないそうだ。だが“冷たい魔法”だ」


「爆発はしなさそうで悪くないけど、気温と湿度の影響をかなり受けそうだな。暑すぎれば銃身内部で溶けそうだし、寒すぎるとくっついて詰まっちまいそうだな。水分は火薬を使っていなくても、金属にとっていただけない。錆びちまう。水分の管理で銃がダメになるのが早そうだ。それに冷たいと痛いだろうな」


「では、雷鳴系か。電導性から考えると、絶縁性を考慮しなければいけないな。現行のままでは持ち主が撃つと同時に感電してしまう。それは材料次第でなんとかできる。だが、うまく放てた後、的に当たって痺れるだけではな。兵器としてその威力はどうも……。雨では不向きかもしれない。雨粒により拡散、雷雨の場合は最悪避雷針のようになるかもしれない。やはり全天候型なども考慮すると、まずは炎熱系ままで出力で落としてみよう」


「頼むぜ、ウィンストン。的が消し飛ばなけりゃ、ナニ系を使おうと勝手だ。だが、こちとら仕事だ。それも私の専門分野である銃のな。本気でやらせてもらうよ。譲れないところは我が儘と言われても通させてもらう」

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